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㈱三好不動産
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一業者と業界団体、2つのスタンスで
賃貸管理業務の喫緊課題に対応
少子高齢化、人口減少などで賃貸管理業界、賃貸住宅経営を取り巻く環境は年々厳しさを増す。三好不動産の三好修社長は、経営者として、同時に業者の全国組織である日本賃貸住宅管理協会(日管協)会長として、業界が抱えるさまざまな課題に取り組んでいる。
家賃の消費税課税化は“大問題”
平成26年度、消費税率が現行の5%から8%に、さらに27年度後半からは10%に引き上げられる運びになっている。賃貸住宅の家賃は平成3年以降非課税となっているが、税率改定に伴った見直しの可能性もにらみ、日管協では自民党の国会議員で組織する賃貸住宅対策議員連盟に対して、家賃が再び課税対象とならないよう働きかけをしている。
三好社長は「税制を見直す流れの中で、現状非課税のものにもかかってくることもありうる。入居者の負担費用も大きすぎるし、家主・オーナーの立場からすると、空室が増加し続ける中での課税は賃貸住宅経営の破たんに直結する大問題」と訴えており、賃貸管理業者の立場から、入居者の生活とオーナーの賃貸経営双方を支えていこうとしている。
相続税改定は「物件管理」から「資産管理」への機会
また27年からは、相続税の基礎控除が縮小、税率も引き上げられる。不動産を所有するオーナーにとって大きな問題だが、三好社長は「相続でもっと大きいのは『分割問題』。しかし今回は『自分にも相続問題がある』ことに気付く機会になるという面で意味がある」と語る。
三好不動産では相続問題も含めて、オーナーの「不動産」だけでなく「資産全体」の管理を目指しているが、日管協でも三好社長を委員長として「相続支援研究会」を発足。今年から同協会が発効する「相続支援コンサルタント」の資格制度を開始。こうした制度も活用して、賃貸管理業者がオーナーの物件管理から資産管理へ移行していく機会を広げようとしている。
外国人入居は賃貸経営に不可欠
三好不動産では中国人など外国人留学生の入居促進に努めている。その一環として同社はこの春、福岡市東区の賃貸物件を借り上げ、外国人中心の学生寮運営にも乗り出した。ワンルーム全161戸のうち約半分をサブリースで賃借してスタート。1階の大食堂では朝・夕の食事をとることもできるほか、コミュニティスペースなども備えている。
三好社長は「外国人向けとすることで、日本語学校や大学などとのネットワークも出来、継続的な入居を確保しやすい」と狙いを説明する。
日管協でも以前から外国人の賃貸住宅への入居をサポートしており、昨年秋には「外国人住生活アドバイザー」資格制度を発足、共通のマニュアルも作成して入居時の説明にあたり、外国人の円滑な入居を促進する取り組みをスタートした。三好社長は「福岡だけでなく、全国的に外国人の入居は増えていく。というよりも『増やさざるを得ない』のが現状」と語る。少子化の中で全国の大学は海外からの留学生獲得に力を入れており、さらに人口減少によって賃貸住宅の空室率上がり続ける状況下、外国人の入居促進は賃貸経営にとって不可欠な要素となりつつある。
「賃貸管理業者登録制度」の法制化を推進
また日管協は、賃貸管理業者登録制度の法制化を目指している。24年度に始まった任意の登録制度は、借主と貸主の利益保護のため、賃貸住宅管理業務に関して一定のルールを設け業務の適正化を図るのが目的だ。
三好社長は「任意の登録制度では、問題が起こった時に十分な対応できず入居者もオーナーも被害者になる恐れがあるので、法制化による罰則も含めたルール作りが必要」と力説、平成28年度に予定されている制度の「見直し」に照準を合わせ、法制化に向けた活動を展開している。
三好 修(みよし・おさむ)社長 福岡市出身、1955年2月1日生まれの58歳。77年西南学院大学法学部法律学科卒業。積水ハウス㈱勤務を経て80年に㈱三好不動産入社、92年常務取締役、98年代表取締役社長。趣味は旅行、ジョギング、朝風呂 |
〈企業DATA〉
所在地 〒810-0054 福岡市中央区今川1-1-1
TEL 092-715-1000
FAX 092-722-1515
URL http://www.miyoshi.co.jp/
創業 1951年7月
資本金 5,000万円
年 商 31億円(2012年9月期)
従業員 283人(2012年10月現在)
事業内容 不動産の賃貸仲介・賃貸管理・売買仲介・土地の有効利用の企画提案
出先 天神本店、賃貸仲介店舗「スマイルプラザ」12店舗、天神本店、法人営業部、横浜支店、上海事務所
関連会社 ㈱ミヨシアセットマネジメント、㈱福岡相続サポートセンター、㈱ベン、㈱サンコーライフサポート、㈱エム・サポート、㈱サンコーマネジメント、㈲サンコー管理
(ふくおか経済EX2013年)