FEATURE

ふくおか経済EX 2010

㈱ワールドインテック


九州から世界へ、既存事業の磐石化と新事業の創出

(写真)トップ交代の会見にのぞむ伊井田会長(左)と菅野社長(右)

3月から新トップ体制

「今後、業界は大きく変わっていく。経営責任と事業責任を明確に分けようと決意した」(伊井田栄吉会長)。
「コア事業を建て直し、地域に根ざす部分と人材以外の事業でも利益ポートフォリオをつくっていく。今まで築いてきたインフラを活かし、さらに多角的なサービスを提案していきたい」(菅野利彦社長)。
3月19日、総合人材ビジネス業の㈱ワールドインテックで、これまで会長兼社長を務めていた伊井田栄吉氏が会長に専任し、新しく菅野利彦社長が就任するトップ人事があった。世界同時不況の影響を受けて、人材業界全体で市場が縮小する中、同社はいち早く社内全体の構造改革と整備に着手。既存事業の体質改善も済み、今後、新体制で反攻に転じる考えだ。

今期は3期ぶり増収増益見込む

現在、同社はグループ全体で、自動車、半導体、電子部品等向け請負・派遣の「ファクトリー事業」、技術分野向けの「テクノ事業」、研究開発支援向けの「R&D事業」、販売員派遣の「各種サービス事業」、携帯電話ショップ等展開の「情報通信事業」の5事業が柱。景気変動が少ない製薬や食品の研究開発分野を中心に展開したR&D事業は対前年比プラスと健闘したものの、最近の市況を受けて他の事業は軒並み前年実績を下回った。しかしながら、2009年12月期連結決算は当初予想を上方修正。今期業績も売上高で09年度比7.6%増の313億円、経常利益で同30.1%増の7億円と3期ぶりの増収増益の見通し。菅野社長も「構造改革に早くから取り組んだことで、今の財務力と早期回復を考えると、これからが楽しみ」と期待を込める。

既存経営資源をストック性・付加価値高い分野に集中

これらの回復基調を受けて、今後短期的には、既存経営資源を最大限に活用できる分野に集中させていく。具体的にはストック性が高く高付加価値である、製造請負(構内)、新サービス請負、研究員派遣、エンジニア派遣、EMSなどの分野だ。事業別には、ファクトリー事業では高度領域に向けた新たな請負プランを投入。請負技術を駆使した新たな商材も開発する。テクノ事業ではエンジニア領域を拡大、R&D事業や各種サービス事業でも対応領域を広げ、情報通信事業では直販営業強化と代理店拡大で安定収益を確保する。

人材ビジネスに限らず新規事業を計画、海外は5倍に拡大

さらに、中長期的には人材ビジネス以外で、不動産サービスや金融、リース、保守とった全く新しい事業エリアを創出していくという。これらもストック性と単価が高く見込める分野で、主に伊井田会長が先頭に立って展開していく考え。一方、前述の集中分野に製造派遣、一般派遣、販売員派遣などを加えた既存事業エリアは、アジアを皮切りに海外展開を推し進めていく。実は、同社は既に台湾、中国、シンガポールにおいて研修生事業や人材ビジネスおよび教育のコンサルなどで売上高7億円(09年度)の実績をあげている。同社によれば、競合他社は海外での実績はほとんどなく、大きな強みになっているという。今後、4年間で全社売上の海外事業比率を5倍まで拡大させる計画だ。

同社社員や地域の人材に向けて積極的に技術支援事業などを実施している

リペアと教育の新会社設立

新しい事業エリアへ注力していくため、グループ体制も強化中だ。
昨年12月、成長を続けるデジタル製品のリペアニーズに対応するための修理センター業務委託の子会社㈱エレクトロニクスアンドエコロジーを設立。アフターサービス全般と修理センターへの人材派遣も行う。これにより、人材育成と技術の蓄積をもって他事業へのシナジー効果を狙う。今年2月には、教育事業参入のため、パソコンスクール運営の㈱アドバンを設立した。九州・中国地区を中心に地元密着の「アドバンスクール」を展開するほか、教材販売、官公庁などからの委託訓練請負、コンテンツ制作なども手掛ける。
この2社が加わったことで、グループ会社は人材系の㈱ワールドエキスパーツ、台湾英特科人力(股)公司、情報通信サービス系の㈱イーサポート、㈱モバイルサービス、㈱ネットワークソリューション、㈱ワールドオンライン、九州地理情報㈱の合計9社となった。

地域の1500人以上に教育・就職支援

同社を語る上で、もうひとつ欠かせないのが地元に対する人材創出と育成の実績。伊井田会長が起業して以来これまで30年間で、行政からの委託のほか大学や民間企業とも連携し、若年者の就職支援、自動車関連産業向けの人材教育など数多くのプロジェクトを手掛けてきた。中には、地元の理系大学生を対象に、九州の複数の半導体企業が連携し、得意とする製造工程毎に各社で学生を受け入れるというユニークな職業体験事業もある。
現在は、年間に約500社と連携し、1500人以上の教育・就職支援を実施。こういった地域との連携も同社の大きな強みになっている。
業界全体が厳しい中において、回復へのシナリオは始まった。“強靭なチャンスパートナー”を目指すという同社から今後も目が離せない。

菅野 利彦 社長
かんの・としひこ/東京都出身、1968年9月23日生まれの41歳。米国・ウエスタンビジネスカレッジ卒。趣味は釣り、旅行、アウトドア全般

 

企業DATA
所在地 〒802-0077 北九州市小倉北区馬借1-3-9 クエスト第2ビル4階
TEL 093-533-0540
FAX 093-513-1352
創業・設立 1993年2月
資本金 6億9756万円
事業内容 研究開発・設計技術・製造・販売等各分野の請負・人材派遣
年商 290億9400万円(09年12月期)
代表者 伊井田栄吉代表取締役会長、菅野利彦代表取締役社長
従業員 6537人(連結・09年6月末)
出先 ファクトリー事業25カ所、テクノ事業20カ所、R&D事業9カ所、各種サービス4カ所
関連会社 ㈱ワールドエキスパーツ、台湾英特科人力(股)公司、㈱イーサポート、㈱モバイルサービス、㈱ネットワークソリューション、㈱ワールドオンライン、九州地理情報㈱、㈱エレクトロニクスアンドエコロジー、㈱アドバン
URL http://www.witc.co.jp/

採用情報
募集職種 技術職、研究職、営業職
応募資格 技術職…高専卒以上、大卒以上 研究職…大卒以上 営業職…大卒以上
採用実績(2009年)技術職…10人 、研究職…34人、営業職…14人 (2010年)技術職…13人 、研究職…35人、営業職…14人
採用予定(2011年)技術職…25人、研究職…50人、営業職…15人
問合せ先 リクルーティング部 〒104-0028 東京都中央区八重洲2-7-12ヒューリック京橋ビル 6F
TEL:03-3516-1440(直通)
担当 大家

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