FEATURE

ふくおか経済EX 2009

㈱データリンク


LEDなど高付加価値商品事業をオフィス通販に続く第2の柱に

新商品OCEDEL(オセデル)と従来のLED蛍光灯との点灯比較

 『e—SUPPLY』の名称でカタログやインターネットによるオフィス用品の通信販売を手がける㈱データリンクは、ここ福岡を拠点に“本当に良いものを、もっとリーズナブルな価格で”というコンセプトのもと、代理店を使わないダイレクト販売による「安さ」を強みに、関東以西で法人3万社の顧客を抱え、年商は20億円を超える。
ここ数年で一層資本力のある大手数社によって寡占化が進むオフィス通販業界にあって、同社はそうした大手との体力勝負に経営資源を注ぐのはなく、環境関連分野などで“データリンクにしかない“高付加価値商品の通販ルートを使わない直接販売で活路を開こうとしている。特に消費電力・CO2を約半減、長寿命を実現した新タイプ「LED蛍光灯」は、今年3月のテスト販売で福岡の大型商業施設や東京の大手メーカーなどに試験導入されるなど、幸先の良いスタートを切った。「まずはオフィス通販事業に続く第2の柱に育成し、ゆくゆくはそれを超えていきたい」と意気込む川島幸雄社長のもと、新たな挑戦が始まった。

消費電力が約半分、寿命が約5倍を実現した新タイプ「LED蛍光灯」

その川島社長が最もその商品力に自信を持ち、今後の成長を期待するのが、4月に発売した新タイプLED蛍光灯「OCEDEL(オセデル)」だ。オセデルは一般蛍光灯と比較して消費電力が約半分、寿命が約5倍で、エネルギー起源CO2排出量や交換のためのメンテナンスコストも削減できるほか、調光機能や面発行技術といった他社製LED蛍光灯にない独自技術を採用しているのが最大の特長だ。
写真の通り、オセデルは見た目にも従来型蛍光灯と変わらないが面発光技術の採用により、照射角度を広く保つことができ、LED光源の弱点と言われえた指向性の強い発光特性を完全克服し、従来型蛍光灯と変わらず自然に広く照らすことができる。また、調光機能により、明るさを5段階に切り替えることができ、例えば室内の明るい窓側と暗い壁側でそれぞれで明るさを調節するなど、必要な場所に必要な光量を設定することで、さらに消費電力の削減効果が見込める。オプションで蛍光灯1台毎にIPアドレスを付加すると、リモコンやパソコンで調光を遠隔操作ができる。
このほか、オセデルは①チラツキゼロで目にやさしい②水銀ゼロで分解・分別処分可能③管に耐衝撃性・耐熱性・難燃性に優れたポリカーボネートを使用し、割れても飛散することなく安全④低紫外線で虫が寄り付きにくく衛生的⑤低温時でも点灯でき、冷蔵庫・冷凍庫などでも使用できる、といった従来型蛍光灯に勝る特色を持っている。

大型商業施設、大手メーカー事務所、全国施設の公衆トイレでも試験導入

3月からテスト販売を開始していた同社だが、すでに福岡の大型商業施設や東京の大手メーカーの事務所、全国展開するサービス施設の公共トイレなどに試験導入されており、初年度販売目標を当初の1万本から10万本に上方修正する勢いだ。
事実、提案先の担当者が口を揃えるのが、「数々のLEDを見たが、こんなLEDは見たことがない」という点だ。特に見た目も照射角度も従来蛍光灯と変わらない点が高い評価を受け、ある駐車場大手では「LEDと判別できないから、盗まれる心配も少ない」といった声も。調光機能はもちろん、電力を食う安定器が不要な点も、「消費電力のさらなる削減に期待が持てる」と高ポイント。また、商業施設では、40ワットだけでなく管が長い110ワット製品があるのも評価されているという。
同社では、初期投資と取付交換などの維持費のトータルコストにおいて、5年間で蛍光灯1本あたり3360円、1000本の蛍光灯を交換すると336万円の経費削減になると試算をしている。LEDを中心とした新照明市場は2020年には5兆円市場になるとも言われるなか、こうしたコストメリットや環境負荷低減に取り組める商材として広く提案していく方針だ。

超音波式除菌・消臭水噴霧器「えこる(Ecolle)」とその専用水「えこる水」

“データリンクにしかない”高付加価値商品を発掘・直販

また、同社ではLED蛍光灯「オセデル」以外にも、「高付加価値商品」の発掘・直販に力を入れている。3月からは、鳥インフルエンザ予防装置として話題になり、04年の東京都ベンチャー技術大賞奨励賞を受賞した㈱ハセッパー技研(東京都)の殺菌・消臭水製造装置「カンファシステム」を改良したオフィス向けの超音波式除菌・消臭水噴霧器「えこる(Ecolle)」とその専用水「えこる水」も発売。
これは、安全性の高い専用水を超微粒子として噴霧すると、その有効成分である次亜塩素酸が空気中に浮遊する細菌やウイルスと強力な酸化・塩素化反応を起こし除菌効果を発揮する仕組みで、タバコや生ゴミなどの消臭にも効果があるという。同社では、風邪(インフルエンザ)予防をはじめ、大腸菌(O‐157)・黄色ブドウ球菌対策をはじめ、常温噴霧式のため、寒暖を問わず1年を通してオフィスの衛生環境維持に効果を発揮する装置として需要を喚起していく方針だ。また、川島社長が「個人的にも惚れ込んだ」というカンファシステムは大手食品製造業や病院福祉施設など多数の納入実績が示すようにさまざまな効能があり、「えこる」とは違ったさまざま形での製品化も構想。「まずは“えこる”でその効能を広めていきたい」と今後の展開に自信を示す。
同社では、こうした開発元に近い位置での商品開発や発掘に今後も力を入れ、 “データリンクにしかない高付加価値商品”のラインナップを拡充していく方針だ。また、ここ数年でオフィス通販部門以外の直販営業スタッフを大幅増員。高付加価値商品の営業システムも確立しつつあり、その提案・納入を通じて、通販部門の既存顧客との結び付き強化や取り引きの再開、新規顧客開拓といった相乗効果も期待する。
「LEDは爆発的にヒットする可能性を秘めている」と期待する川島社長のもと、オフィス通販事業と高付加価値商品事業の2本柱に向け、“新生・データリンク”が幕を明けた。

12号目を迎えたオフィス通販カタログでは、さらにプライスダウン

 

企業DATA
【所在地】〒810-0021福岡市中央区今泉1-9-2天神ダイヨシビル3F
【TEL】092-716-3681
【FAX】092-716-9299
【E-mail】info@www.e-supply.co.jp
【設立】1990年5月
【資本金】3億5,450万円
【事業内容】オフィス用品全般の通信販売
【年商】20億6000万円(08年3月期)
【代表者】川島幸雄
【従業員】35人
【出先】(配送センター)福岡市東区社領1-10-26
【URL】http://www.e-supply.co.jp/

(ふくおか経済EX2009年)