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㈱ジャパンシーフーズ
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コラーゲン茶漬けの素“うなぎ茶漬”を発売
井上 幸一 社長
いのうえ・こういち/福岡市出身、1948年8月19日生まれの61歳。福岡大学法学部を卒業後、父親が経営する鮮魚小売業㈱天龍に入社。77年に同社百貨店内店舗店長を務め、女性の社会進出に伴う鮮魚加工食品の必要性を確信し87年に同社を創業。趣味は読書とゴルフ
5月に新茶漬商品“うなぎ茶漬”
アジ・サバ加工メーカーの㈱ジャパンシーフーズが開発した“ごまあじ茶漬”。「手軽に新鮮なアジ茶漬けが食べられる」と話題の茶漬けシリーズに5月、新商品“うなぎ茶漬”が登場する。
あたたかいご飯の上に、コラーゲンで固められた茶漬の素を載せ、お湯を注ぐと、ゼラチン成分とともに出汁が溶けでて、ウナギが現れる。乾燥材料を使用した茶漬けの素とは一線を画す、本格的な、うなぎ茶漬だ。
使用するコラーゲンは、アジの皮から、独自開発した低温高濃度抽出方法で抽出している。同社はアジを切り身にして全国のスーパーに販売しているが、切り落とした頭部や骨、皮が大量に残る。頭部と骨の一部は以前から養殖場などに提供していたが、皮の利用方法を模索していた。そこでアジの皮にコラーゲン成分が含まれることに目をつけ、3年前から抽出方法の研究を重ね、高濃度コラーゲンの抽出に成功した。
「アジの皮からとったマリンコラーゲンは、動物性と違い、安全で体に吸収されやすい」とコラーゲンドレッシングや茶漬けの素など、同成分を使用した新商品を続々と開発している。開発には、さまざまな小料理屋などを訪れ、店の味を研究。魚のつけダレ、薬味、出汁の味など細部にまでこだわりがある。「次は茶漬けシリーズ3アイテム目と、煮凝りにも挑戦したい」と意欲的だ。
5月に発売するコラーゲン茶漬けの素「うなぎ茶漬」 |
健康が気になる中年層に人気の“あじのたたき薬味しょうゆ”
「女性が社会進出したことで、魚をさばくことが手間となり、鮮魚離れが進んでいる」と分析し、“あじのたたき”や“あじの刺身”、“生さば”などを主力に、加工鮮魚を製造している。創業20年余りで全国のスーパーに卸し、年商22億円と国内トップクラスのアジ加工メーカーに飛躍した理由の一つとして、商品に付属する自社開発ドレッシングが挙げられる。
“マリンコラーゲンドレッシング”“あじわいドレッシング”“あと引き醤油 隠しにんにく風味”“煎りゴマ付しょうゆ”など、年間2アイテムのペースで開発し、刺身の新しい食べ方を提案。新たな鮮魚購買層を獲得し続けてきた。
3月に発表したのが、ウコンなど薬味成分含有のしょうゆ“アジのたたき薬味しょうゆ”だ。これまでしょうゆを摂取しすぎると体に良くないイメージが定着していたが「しょうゆにつけて食べることで健康を守る新しい商品だ」と注目を集めている。従来商品に比べて香り高く、深い甘みが特徴で「酒の肴としてアジを食べるときに最適。健康が気になる中年層に人気だ」と説明する。
徹底した衛生管理で食の安全安心を
これら新商品の開発はもちろん、新鮮で安全な魚を全国に届けることができる陰に、福岡市東区社領1丁目の食品研究室がある。
平均年齢25歳と若い女性スタッフ5人が所属する研究室では、鮮魚というデリケートな食材を取り扱う同社が安全安心の食を消費者に提供できるよう、厳しい品質管理を徹底している。加工工場(同区箱崎ふ頭5丁目)の製造工程から商品に至るまで、一般生菌・大腸菌の数を検査し、手洗いや器具洗浄など衛生管理マニュアルや製造マニュアルを作成し、現場に指導する。
鮮魚を加工し始めてから真空パックに梱包するまで最長20分と定めるほど、鮮度を保つためにはスピード加工が必要。「現状とかけ離れたマニュアルは、業務に差し支える。製造スタッフにとっても衛生面からみても最良の管理体制を随時提案している」。食の問題が相次ぐ中、長年顧客から高い信頼性を獲得している。
「食の安全安心は私たちが守ります」と笑顔の食品研究室スタッフたち |
日本一のアジ加工食品メーカーに
「日本一の鮮魚加工メーカーに育てたい」と“ジャパンシーフーズ”という社名を付けた。アジ・サバに特化した鮮魚加工食品をつくり続け、社訓である“小さな魚 大きな夢”に向かってまい進している。
さまざまな魚に手を広げた時期もあったが、大量仕入れ、大量生産できる大手には敵わず、井上社長は「アジで日本一になろう」と一念発起した。新鮮さの追求や、食べ方の提案、栄養成分の抽出などあらゆる研究を重ね、魅力ある商品を次々に開発している。「アジは、多くの栄養成分を豊富に含んでいる。遺伝子レベルまで研究すれば、無限の可能性を秘めている」と目を輝かせた。
企業DATA
所在地 〒811-1302 福岡市南区井尻5-20-29
TEL 092-593-7662
FAX 092-593-7663
創業 1987年9月
設立 1987年7月
資本金 5,000万円
事業内容 生食用アジ、サバ、シメサバ加工卸
年商 22億円(09年8月期)
代表者 井上幸一(いのうえ・こういち)
従業員 140人
出先 (工場)福岡市東区箱崎ふ頭5-9-29(食品研究室)同区社領1-11-9(営業所)関東、名古屋、大阪
URL http://www.jp-seafoods.com
採用情報
募集職種 (2009年春)製造・営業・研究開発
応募資格 大学卒・大学院卒
採用実績 08年度7人、09年度7人
採用予定 10年度6人
問合せ先 TEL (本社)092-593-7662
担当 井上 郁子
(ふくおか経済EX2010年)