FEATURE

ふくおか経済EX 2014

㈱ジャパンシーフーズ


最先端冷凍技術で新鮮な水産加工食品を世界に

(写真)対馬工場のCAS凍結機

水産加工メーカーの㈱ジャパンシーフーズは、これまで培った加工技術、商品開発力、高い鮮度を保つ冷凍技術を生かして、世界に挑戦し、“新生ジャパンシーフーズ”として、さらなる飛躍を遂げようとしている。
その布石となるのが、最先端の冷凍技術を駆使した冷凍食品だ。冷凍時に水産物の細胞破壊を抑える「セル・アライブ・システム」を導入するCAS凍結機によって支えられる技術を強化しており「生の魚に引け劣らないおいしさが保てる」という。
昨年7月に開設した対馬工場は、この大型CAS凍結機と超低温の冷凍庫を保有。対馬産業の振興に貢献したいという思いもあって、離島で生産するというハードルを乗り越え、同工場を買い取った。これまで「新鮮でおいしい魚を全国に届けたい」という強い信念の下、“生の魚”にこだわってきた同社だが、大規模な冷凍食品の製造が可能になり、時間による商品の劣化を懸念することなく、海外に進出することが可能になった。
そこで、北米の外食産業向けに、生アジを薫液に浸したスモークテイストの冷凍アジ食品を開発。これに国内大手量販店が注目し、6月、海外に先駆けて消費者向けに個食で発売することが内定している。「アジの新鮮さはそのままに、口の中でスモークの香りが広がり、酒の肴にぴったり」と新商品に自信を見せる。
「対馬は、海溝による海流の影響でプランクトンが豊富で水産物にとって恵まれた環境」であり、対馬産水産物を原料に新商品を開発している。第1号商品は対馬西沖のブランドアナゴを使用した“対馬のあなご刺し”。「アナゴは刺身として認知度が低いが、実はフグやヒラメの縁側に引け劣らない、甘みと旨みが凝縮された濃厚なおいしさがある」そうで、この春には付属のたれ“紅葉おろしポン酢”を改良。アナゴの旨みをさらに引き出す味を研究している。
主力である生のアジ・サバ加工食品を製造する箱崎工場では現在、品質向上、衛生管理の徹底はもちろん、大手食品工場経験者を工場長に抜擢し“再生”をスローガンに掲げ、体制の見直しを図っている。原料の産地・製造時間の管理の厳格化などを進め、商品の安心安全という基本に立ち返る同社。今後も魅力ある商品と顧客の信頼性向上を図り、井上社長の目標「従業員が夢を描ける企業」へと発展させていく。

井上 幸一 社長

 

企業DATA
所在地 〒811-1302 福岡市南区井尻5-20-29
TEL 092-593-7662
FAX 092-593-7663
URL http://www.jp-seafoods.jp
創業 1987年9月
設立 1987年7月
資本金 5,000万円
事業内容 生食用アジ、サバ、シメサバ加工卸、海鮮茶漬け各種
年商 31億円(12年8月期)
従業員 185人
出先 (工場)福岡市東区箱崎ふ頭5-9-29、長崎県対馬市(食品研究室)同区社領1-11-9(営業所)関東、名古屋、大阪、福岡

(ふくおか経済EX2014年)