FEATURE

ふくおか経済EX 2011

㈱シダー


リハビリ特化型施設で介護業界に旋風を

全国71カ所に広がるデイサービスセンター、介護付有料老人ホーム、
その他介護サービス

ジャスダック上場で、全国でデイサービスセンター、介護付有料老人ホームなどを展開する㈱シダー。長年、医療機関でリハビリに携わってきた山崎嘉忠社長は、入院中にリハビリに取り組んでも退院後に体が弱り、再来院する人々を多く見てきた。これらの問題を解決するために、リハビリを習慣化する重要性を説き、実現の場としてシダー設立に至った。
現在、全国71カ所に拠点を展開し、オレンジや黄色などを基調とした清潔感ある空間にトレーニングマシンを並べ、理学療法士、作業療法士、健康運動指導士などの専門職員、介護職員、看護師を配属し、利用者のペースで健康維持に努められる設備を整えている。また、シアタールームやカラオケルーム、ラウンジを設置するのも特徴だ。「友人や家族と楽しく過ごしてもらえるように、一般のサービス業と変わらないものを提供することに重きを置く」という山崎社長のこだわりが表れている。
慢性的な人手不足が問題視される業界の中でも、着実に成長を遂げる背景には、リハビリに特化した施設展開とスタッフ一人ひとりが利用者に向き合う心を込めたサービスがある。次に同社が展開するデイサービスセンター、訪問看護ステーションから1施設ずつピックアップし、スタッフの声を紹介する。

古賀訪問看護ステーションスタッフ(上段左から鎌田聡史さん、駒形芳和さん、黒木忍さん、日野幸子さん、綱脇昇平さん、下段左から田中美穂さん、高原左知子さん、高木純子さん、渡邊真理さん、古川裕紀子さん)

自分の家族ならどのように接してほしいのか、という視点でサービス提供

昨年リニューアルした「あおぞらの里香住ヶ丘デイサービスセンター」(福岡市東区香住ケ丘3丁目)は、設立当初から運営する定員67人の施設だ。
閑静な住宅街に送迎用バスが近づくと、スタッフが入口に駆け寄り、一人ひとりに笑顔で声を掛ける姿が印象的だ。センター長を務める成合賢治(なりあい・けんじ)さんは入社9年目のスタッフで、自身の祖母が他界した際、デイサービスセンターを心の拠り所にしていたことを知り、前職を退職し、介護業界への就業を決意。入社から3年後に管理職へ昇格し、同センターのセンター長に就任した。「社内のステップアップ制度が充実しているので、目標を明確に掲げやすい。右も左もわからない状態でスタートしたが、スタッフ間の交流が事業部の垣根を越えておこなわれるため、仕事のやりがいを見つけやすい」と朗らかに語る。成合さんがスタッフと常々、確認することは同社のサービス理念である『親しき仲にも礼儀ありをモットーに、利用者の在宅生活が充実するように運動や接遇、サークル活動などすべてのサービスで質の高いものを提供する』ことだ。「スタッフ一人ひとりが利用者やご家族に、あなただからお願いしたいという言葉を掛けて頂いた時が最高にやりがいを感じる。これまで多くの方々と出会い、一期一会の世界だと痛感している。今後も一人ひとりに向き合ったサービスを提供していきたい」と力を込める。

香住ヶ丘デイサービススタッフ(左から吉村直文さん、成合賢治さん、福田徳子さん、鶴田浩子さん)

利用者に真摯に向き合う揺るぎない精神

福岡市東区、古賀市、新宮町、宗像市、篠栗町と広域で訪問看護を展開するのは「古賀訪問看護ステーション」(古賀市今の庄2丁目)だ。管理者の高木純子(たかき・じゅんこ)さんは入社8年目のスタッフで、看護師として病院で勤務した経験を活かし、より個人に向き合うサービスを提供したいと同社に入社した。
訪問看護は利用者の自宅を訪問し、病状観察や内服管理、人工呼吸器などの一部医療管理までおこなうほか、生活の一部に携わるため、スタッフ一人ひとりの力量が重要になる。「スタッフ一人ひとりが心に寄り添うサービスを提供するために、スタッフ間で本音で意見を交わし合える環境づくりに努めている」と力強い眼差しを見せる。
高木さんは今でも忘れられない思い出がある。難病の妻を自宅で看取った男性との出会いだ。「奥様が急逝され、御主人が本当に落ち込まれ、時々、お電話をしたりと気に掛けつつも、お会いする機会がないまま時が過ぎました。そんなある日、御主人が突然事務所を訪ねて来られました。お話を伺うと悲しみの果てに悟りが開け、思い浮かんだ句を渡したいと、一枚の紙を下さいました」。そこには『妻亡きて涙、涙の年月は慈愛の心にたどりつき、徳蒔く人の糧になり』と丁寧に綴られていた。句の中の『徳蒔く人』が高木さんだ。「一人ひとりの大切な時間に関わらせてもらえるということに感謝し、心と心が通うサービスを提供していきたい」と笑顔を見せる。
今年4月、設立10年を迎えた㈱シダー。スタッフ一人ひとりが利用者と真摯に向き合う揺るぎない精神で今後も全国に旋風を巻き起こしていく。

オレンジと白を基調にしたさわやかな印象の本社事務所

 

企業DATA
所在地 〒802‐0026 北九州市小倉北区大畠1-7-19
TEL 093-513-7855
設立 1981年4月
資本金 4億3228万円
事業内容 通所介護施設(DSC)運営、訪問看護、訪問ヘルパー、ケアプラン作成、グループホーム(GH)運営、有料老人ホーム運営、小規模多機能施設運営
年商 83億3200万円(10年3月期)
代表者 山崎嘉忠
従業員 1516人(2011年3月16日時点)
出先 デイサービス施設27、有料老人ホーム22、訪問看護ステーション6、ヘルパーステーション4、ケアプランセンター10、グループホーム2、小規模多機能1、合計71事業所
URL http://www.cedar-web.com

(ふくおか経済EX2011年)