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㈱サニックス
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電力小売全面自由化を好機とし、
エネルギー事業の業容を拡大
需給管理の様子
この4月に、電力小売が全面的に自由化された。日本におけるエネルギー政策の節目の年だ。サニックスにおいても、電力小売事業の拡充に取り組み、20兆円超ともいわれる市場に挑む。
エネルギー事業の一貫として電力小売事業の本格展開へ
太陽光発電、そして資源循環型発電(廃プラスチックのリサイクル発電)という二つのエネルギー事業に取り組むサニックス。今年度もこれらを主力事業に位置づける一方、電力小売事業についても本格的に取り組む構えだ。
同社は、小売全面自由化に先立ち、昨年11月に「登録小売電気事業者」のライセンスを取得。電力小売事業の展開に備えたが、その原点はさらに過去に遡る。
同社は15年前、資源循環型発電事業の着手にあたり、将来の電力小売を見据えて、「特定規模電気事業者(新電力)」としての登録を行っている。また、2年前に、グループ内に電力小売を業とするSEウイングズを設立し、この間、北海道内の官公庁や病院等へ供給してきた。
新電力のライセンス及びグループ会社での経験が、サニックス本体での電力事業のベースとなっているのだ。
苫小牧発電所及び太陽光発電所から電力調達
同社は、北海道電力、東京電力、中部電力、関西電力、中国電力、九州電力の6電力管内を供給エリアとし、電力小売事業を展開している。
当事業のポイントとなるのが、冒頭で触れた二つのエネルギー事業の存在だ。苫小牧発電所及び、自社で販売・設置した各地の小規模太陽光発電所(同社顧客)から、電力を調達。これらの自社電源と、JEPX(卸電力市場)、一般電気事業者(大手電力会社)のバックアップ電源を組み合わせて調達し、コストダウンを図っている。
太陽光発電所からの調達においては、買取制度上の買取単価に上乗せした価格で買い取ることでメリットを打ち出し、調達先を確保。昨年10月の電力小売開始に伴い、順次買取を開始し、現在、東京電力、中部電力、関西電力、中国電力、九州電力の各管内において、小売の電源として利用している。
小売全面自由化を目前に、自前の発電所をもたない大手新電力が電力事業から撤退したことは記憶に新しい。比較的安価な自社電源を有することは、同社の強みといえる。さらに言えば、太陽光発電の特性として、電力料金が高騰する夏場に電力確保が容易となるのも、利点だ。
中小規模の高圧需要家を対象に電力の供給先を開拓
同社は、大手新電力が対象としづらい中小規模の需要家をターゲットとし、確実に電気料金削減メリットのある提案を行うことで、供給先を開拓している。ここ数年の太陽光発電事業の積極展開によって社名の認知度が高まっていたことも奏功し、比較的スムーズな営業活動が行えているという。
2月現在、同社グループでは、工場や運輸関係の倉庫等、約300件の高圧需要家に電力を供給しているが、すべての需要家に対して、コストメリットが出せている。昨年夏の営業開始以降、供給先を順調に増やしており、今期当初より収益に貢献する見込みだ。
小売全面自由化を受けて低圧需要家も視野に
4月からの小売全面自由化によって、一般家庭を含めた低圧需要家も営業対象に加わった。シロアリ防除等の一般住宅向け事業で多くの顧客資産を有する同社だが、一般家庭への小売参入については、業界の動向をにらみつつ検討中とし、商店等の事業者を対象に低圧需要家の開拓を進めるという。
エネルギー事業拡充の鍵となる電力小売事業。「製造から販売、施工、メンテナンスまで」の太陽光発電に続き、当事業においても、「発電・調達・営業・需給管理」を一貫して社内人材で行う体制で臨み、柱の一つとしての成長を図る。
企業DATA
所在地 〒812-0013 福岡市 博多区博多駅東2-1-23
TEL 092-436-8870
FAX 092-436-8871
創業 1975年4月
設立 1978年9月
資本金 140億4,183万円
事業内容 環境資源・エネルギー事業
年商 956億2,900万円(2015年3月期連結)
代表者 宗政伸一
従業員 2,882人(2015年9月末現在)
出先 西日本SE(ソーラーエンジニアリング)部門4地区本部30拠点、東日本SE部門3地区本部15拠点、HS(戸建て住宅向け)部門4地区本部41拠点、ES(法人・事業主向け)部門2拠点、産業廃棄物処理・リサイクル部門15工場(2016年2月末現在)
関連会社 ㈱サニックスエナジー、㈱北海道サニックス環境、㈱C&R、㈱サニックスエンジニアリング、善日(上海)能源科技有限公司、㈱SEウイングズ、㈱サンエイム、㈱サニックス・ソフトウェア・デザイン、㈱エネルギー総合開発研究所
U R L http://sanix.jp
(ふくおか経済EX2016年)