㈱キシヤ

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自販力高め事業領域を拡大
多方面から地域医療を支える

創業105年、地場老舗の総合医療機器商社として発展を続ける㈱キシヤ。1996年に九州地区に先駆けて構築したSPD（病院内物流管理）システムは、多くの医療機関で採用され、高い評価を受けている。医療のトータルサポートをできる体制構築に注力し、新風を吹き込む。

組織力強化でグループ4社体制に

「社会が求める社会から必要とされる本物の企業を目指す。本物とは何かを常に探求しながら」。
九州屈指の総合医療機器商社㈱キシヤは、この経営理念のもと医療機関との信頼関係を築き、発展を続けてきた。3月には医療機器販売の大同医科器械㈱（鹿児島市）を完全子会社化。グループ4社体制で各分野の専門性を高めるとともに組織力を強化した。昨年は県内5年ぶり、13カ所目となる福岡西営業所を開設。今春は北九州営業所の増改築、大村、鹿児島営業所の新築移転などが相次ぐ。サービスの充実と物流機能の高度化に専心し、地域医療の発展に貢献する。

取引先メーカーを招き、2年に一度開催している新春合同懇親会。今回（2月6日）は540人が参加

売上高700億円を目指す5カ年中期経営計画の初年度である今期（15年5月期）は前期比3.3％増の550億円で、8期連続の増収を見込む。楠田幸次郎社長は「新規SPD業務の受注と医療施設の移転、増改築に伴う備品獲得が寄与している。今後は自販力を強化し、事業領域を拡大していく」と語る。SPD（病院内物流管理）とは、病院の医療材料などの在庫を一元管理し、院外から供給することで、過剰在庫の削減や配置スペースの効率化を図る仕組み。同社はこのシステムを九州で初めて構築し、県内ではすべての大学病院に導入実績を持っている。医療費や社会保障費の急増が懸念される『2025年問題』を見据え、このほど医療機器レンタル分野に参入。子会社で病院物流支援業の㈱ティーエッチエルと協業し、新たな市場の掘り起こしに着手した。さらに医療ロボットメーカー・インテュイティブサージカル社製の手術支援ロボット「ダビンチ」の九州地区取次店となり、サービスを開始。医療のトータルサポートをできる体制構築に本腰を入れている。

手術支援ロボット「ダビンチ」

多様な人材の活用が成長の鍵

価格競争や新規参入などによる厳しい業界下において、着実に成長を遂げてきた背景には、現場教育を基本とした人材育成がある。日々の仕事を通じて指導を受けながら、問題解決能力を向上させ、社員一人ひとりが成長していくことが重要ととらえている。それらを補完するために、新入社員のみならず若手・中堅社員や監督者、管理職まで対象を広げ、業務に対する基礎的な内容から自己啓発、業務改善など課題別に研修を行っている。
多様な人材の能力を生かそうという観点から「ダイバーシティ」の考え方のもと、長期的視点での制度構築、社員育成に取り組んでいるのも大きな特徴だ。同社の女性の割合は20%で、主に事務職として働く人が多いが、そのうち9人は営業職で活躍している。昨年6月には初の女性営業本部課長が誕生。女性採用枠の増加も計画中という。また、知的障がい者の雇用にも力を入れており、現在11人が物流センター、営業所に勤務。保護者や特別支援学校との連携を密にしながら、フォロー体制を整えている。
新卒採用では業界への理解を深めるべく、2年前から医療業界3社合同セミナーを開催。若手社員によるパネルディスカッション、実際の採用面接を再現した公開模擬面接などを実施し、年々参加者が増えてきている。
“顧客中心”の伝統的精神を変えることなく、「真心を知識で包んで仕事に臨む」という姿勢で、新風を吹き込む同社の躍進に注目したい。

楠田 幸次郎 社長

企業DATA
所在地　〒812-0062 福岡市東区松島1-41-21
ＴＥＬ　092-622-8000
ＦＡＸ　092-623-1313
創業　1910年6月
設立　1968年6月
資本金　5,000万円
事業内容　医療機器・病院設備・福祉及び介護用品販売　他
年商　550億円（2015年5月期見込み）
従業員　496人
出先 （営業所）福岡市西区、北九州、久留米、飯塚、佐賀、長崎、大村、佐世保、熊本、大分、宮崎、都城、鹿児島 （在宅福祉店舗・物流センター）福岡市博多区
関連会社　㈱ティーエッチエル、㈱オルソ・メディカル、大同医科器械㈱
ＵＲＬ　http://www.kishiya.co.jp/

採用情報
募集職種　総合職（営業、物流管理）、一般職（事務）
応募資格　2016年大学卒業見込み（全学部全学科）
採用実績　12年度17人　13年度24人　14年度20人　15年度19人
採用予定　16年度11～20人
問合せ先　TEL. 092-510-1000
担当　人材開発課　土井元昭

（ふくおか経済EX2015年）