FEATURE

ふくおか経済EX 2013

㈱ウエスト


新業態のチャレンジ、そして攻めの展開へ

うどん・焼肉でブランドを確立する㈱ウエスト。近年は次々に新業態店を投入。今期も矢継ぎ早に新規出店を控え、持ち駒を増やすことで立地に合わせた店舗展開を進めている。

新業態が続々登場、第3の柱に

これまでの焼肉、うどんに加え、手頃な価格の生そば、うどんと居酒屋の二毛作、住宅街のかき小屋など、飲食事業においてさまざまな業態に挑戦するウエスト。
3月15日、福岡市南区西長住3丁目に「しゃぶしゃぶウエスト」をオープンした。同店は昨年12月、北九州市若松区に出店したしゃぶしゃぶ専門店に次ぐ新業態。1号店の好調な滑り出しを受けて、早くも2号店出店に至った。メニューは豆乳、すき焼き風、辛旨チゲ、完熟トマトの4種のだしから選ぶしゃぶしゃぶ食べ放題ほか、すきやきも展開。それぞれに野菜バーやデザートバーを付けて、新しい需要を掘り起こしている。「同業態はオペレーションも非常にシンプルで、焼肉店で培った店舗展開が大いに生かせる。うどん、焼肉に次ぐ第3の柱を目指したい」と若山和夫社長は新たな風を吹き込みながら効率経営を追求する。
この春には、うどん・生そば・居酒屋のフルメニューをそろえた「ウエスト天神昭和通り」の2階に新業態の「ビストロ ウエスト」も出店。“ビストロ”とはフランス語で肩肘張らない小さな居酒屋を表す。同社が展開するビストロはピザを中心とした洋食居酒屋で、目指すは「ありそうで、なかった空間」(若山社長)。居酒屋ながら、女性が気軽に立ち寄れる空間を創出し、1階と合わせて重点的に夜の集客を取り込んでいく。

焼肉店ではタッチパネルを徐々に導入

リニューアル強化、関東は生そばが好調

うどん122店、焼肉53店を展開し、外食産業をリードする同社。出店、新業態と並行して既存店のリニューアルにも意欲的だ。うどん店は、ファミリー層の多い店舗を中心に小上がり席を増席し、単身者が多い店舗は可動式のテーブルに替え、ピーク時にも柔軟に対応。一方、焼肉店は座敷を個室に変更し、部屋の仕切りを取り外し可能にすることで宴会時にも対応。また、需要の高いサラダバーの面積拡大などの改装を進め、年内に焼肉店ほとんどの改装が完了する。
ここ最近は、関東地区への集中的な出店も目立つ。現在までにうどん12店、焼肉1店を同エリア内で展開。その中、重点特化しているのが生そばの導入だ。生そばのつゆはかつお節と濃い口しょうゆがベースの関東風。「これを取り入れたことで、博多うどんと関東そばの相乗効果を高めている」と、集客力も上々で、特に同地区内においては、生そば中心の展開になりそうだ。

需要の高いサラダバーは面積を拡大

人・サービスで付加価値店を創造

「今期は攻めの経営に徹する」とし、次々に新機軸を打ち出す同社にとって人材確保と育成が急務になっている。2010年から業態間の垣根を越えた人事異動を採用し、既存店の優秀な人材を新規店の店長として積極登用。組織体制の改変で効率良く、社内の連携がとれるようになったことで、情報共有や意思決定のスピードも加速している。さらに、今期から新卒採用も計画。「不景気の延長で消費者は価格ではなく、価値を重要視するようになってきた。そのため、人材教育に重きを置き、サービス向上によって価値を生み出す」と付加価値の向上で選ばれる店づくりを確立する。
長い歴史で築き上げたウエストブランドを守り続けるため、伝統を尊重しつつ、革新にも舵を切っている。

若山 和夫(わかやま・かずお)社長
千葉県銚子市出身、1948年5月16日生まれの64歳、YMCAホテル専門学校卒

〈企業DATA〉
所在地 〒812-0887 福岡市博多区三筑1丁目5-8
TEL 092-582-3911
FAX 092-574-0699
URL http://www.shop-west.jp/
設立 1966年3月
資本金 3億790万円
事業内容 飲食店(「焼肉ウエスト」、「うどん屋ウエスト」等)の経営
年商 132億円(2013年2月期見込み)
代表者 若山和夫
従業員 2000人(パート、アルバイト含む)
関連会社 ㈱西文、㈲河津ウエスト、㈲稲垣ウエスト

(ふくおか経済EX2013年)