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㈱アキラ水産
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“鮮度”を強みに、加工品を全国へ拡販
(写真)アキラ水産オリジナルの加工品。左は、「刺身に出来るものを干物にしている」というほどの鮮度が売りの干物。右上は「アキラの鯛茶」、右下は「アキラの鯖茶」
鯛茶、干物、漬け魚類など60アイテム以上
明太子の「あきらめんたい」、「アキラの鯛茶」、「アキラの鯖茶」。
これらはすべて、鮮魚仲卸の㈱アキラ水産のオリジナル商品だ。仲卸で九州トップの実績がある中、この数年、“加工”に力を入れている。
同社は、06年頃からオリジナル商品の開発に着手。07年には鮮魚市場西卸売場棟内に専用工場を開設し、加工業に本格参入した。量販店などに向けて魚をさばいておろす1次、2次加工に加えて、3次加工としてオリジナル商品を手掛ける。08年には、グループの海産物加工品製造会社を吸収し、新たに「アキラ水産加工事業部」を立ち上げた。
取扱商品は「いわし明太子」、「さば明太子」、「ぶり西京味噌漬け」といった漬け魚類のほか、各種の一夜干しなどで、この1年半でラインアップも増加。現在では、干物系、漬け魚系、コンシューマーパック系でそれぞれ約20アイテム以上がそろっている。
東名阪を中心に全国に向けて販路を拡大している中、顧客からも好評を得ている。特に「いわし明太子」、「さばの一夜干し」などは、地元百貨店や関東・関西地区の量販店でのフェアなどで高い人気がある。また同社は、10〜12月中の韓国・済州島近海のサバを確保。この時期の同近海のサバは脂の乗りがよく、「さば明太子」や「塩さばフィーレ」といった商品化がされ、月に1万尾以上を加工・販売している。
オリジナル明太子「あきらめんたい」。左から1kg、700g、400g。右上は切子で200g |
競り落とし後“5分以内”、バイヤーの目利き直後も
同社の加工品の最大の強みは、その“鮮度”。これは、鮮魚市場西卸売場棟内に工場を設置していることが大きな意味を持っている。競り場のすぐ上に位置しているため、水揚げされた鮮魚を競り落としてから5分以内に加工が可能だからだ。同時に、仲卸売り場棟内の同社の売場からも近いため、売場に並んださまざまな鮮魚をバイヤーが目利きし、そのまま加工品にすることもできる。このロケーションの良さは、地元同業の中でも随一だ。
加えて、衛生管理面の充実も鮮度保持に一役買っている。加工場には異物混入を防ぐための金属探知機や、殺菌効果を促す急速冷凍機などを完備。一方社内では、既に06年に鮮魚仲卸業として全国で初めてISO9001の認証を取得。今後は食品安全マネジメントシステムのISO22000の認証取得も目指していく。
「他の食品と同様、水産物を扱う現場でも、品質、衛生、鮮度管理は重要課題」と語る安部社長。今後も、九州で獲れた鮮魚を“鮮度”感のある加工品として拡販していく。
百貨店フェアなどで人気の「アキラのさばめんたい」と「アキラのいわしめんたい」 |
お馴染みとなった市場開放の「市民感謝デー」
仲卸の傍ら、加工分野の強化は、食生活の変化を背景としたニーズの多様化に対応したもの。変わらないのは「魚をいかにして食べてもらうか」という思いだ。そこで、最近の若者を中心とした魚離れを食い止めようと、魚食普及の活動も積極的に展開する。
中でも、福岡魚食普及推進協議会の会長を務める安部社長は、毎月第2土曜日開催の鮮魚市場開放イベント「市民感謝デー」で陣頭指揮をとっている。
「市民感謝デー」は、普段市場に入ることができない一般人を対象に、月に一度市場を開放するもので、全国でも珍しい取り組み。08年7月から開催されており、新鮮な魚介類や加工品が手に入るとあって、開場前には市場敷地内に長蛇の列ができるほどの人気ぶりだ。現在では、毎回1万人以上の来場があり、市民の間ですっかりお馴染みのイベントとして定着してきた。安部社長は「これからも魚の美味しさをもっとPRしなければ」と意気込む。
毎月第2土曜日開催の「市民感謝デー」で、多くの来場者でごった返す同社の売場 |
90年以上続く“顧客第一”
同社は大正中期の1918年の創業。現在、博多の台所として賑わう「柳橋連合市場」の前身、「明市場」がルーツだ。安部社長の祖父・栄次郎氏、伯父の明氏、父の篤助氏が興した。後に、青果や呉服までそろえる「明百貨店」へと発展。これまで、地元・博多の水産の礎を築いてきた。当時から良い品を安く提供し、庶民に喜ばれることをモットーに大盛況だった。
92年がたった今でも、その精神は「顧客第一」と「薄利多売」として、社内に脈々と引き継がれている。
安部 泰宏 社長 あべ・やすひろ/福岡市出身。1939年3月29日生まれの71歳。福岡大学付属大濠高校卒。趣味はゴルフ。全国水産物卸組合連合会副会長。九州地区水産物卸組合連合会会長。福岡市鮮魚仲卸協同組合理事長。福岡商工会議所議員。地場経済界に広く交流があり、04年7月から福岡城西ロータリークラブ会長を務め、05年4月に藍綬褒章を受章した。福岡ソフトバンクホークス・斉藤和巳投手の後援会長も務める |
企業DATA
所在地 〒810-0072 福岡市中央区長浜3-11-3-711
TEL 092-711-6601
FAX 092-715-3293
創業 1918年(大正7年)
設立 1947年4月
資本金 2000万円
事業内容 (福岡市中央卸売市場)鮮魚仲卸全般
年商 80億円(グループ)
代表者 安部泰宏
従業員 100人(グループ)
関連会社 ㈱コウトク水産、㈱一心、㈱安部水産
(ふくおか経済EX2010年)