FEATURE

ふくおか経済EX 2013

㈱ふくや


創業者・川原俊夫氏の
生誕100年プロジェクトが次々と

博多を代表する味として地元・福岡のみならず全国で親しまれている「辛子明太子」。創業メーカー・ふくやでは、創業者・川原俊夫氏の生誕100年を記念して博多の食と文化の博物館の開設や新商品の発売など様々なプロジェクトを展開している。

今春、博多の食と文化の博物館・ハクハク誕生

2013年4月24日、福岡・博多の食や文化が体験できる「博多の食と文化の博物館・ハクハク」がふくやの工場内に誕生!「見る」「学ぶ」「触れる」「体験する」「食べる」「買う」と、様々な知的体験を通じて博多の食と文化を楽しめる施設を目指す。
博物館ゾーンでは祭りや食、工芸などの魅力を紹介しながら、その文化に息づく「博多の人の心」を感じることができる。工場見学・ふくやヒストリーゾーンでは、味の明太子の製造過程とふくやの歴史を楽しみながら学べる。体験ゾーンでは1名から最大144名までが同時に自分の好みの辛さで「my明太子」の手づくり体験が可能になる。このほか、厳選された博多の魅力の品々が揃うショップやオリジナリティのある食と憩いのカフェも備える。

4月24日にオープンする「博多の食と文化の博物館・ハクハク」 

1949年、博多の味「辛子明太子」が誕生

1948(昭和23)年10月5日、戦災で焼け野原になった博多の街に少しずつ復興の兆しが見えはじめていた博多・中洲市場の一角に小さな食料品店が誕生した。店主の名は川原俊夫。妻・千鶴子とともに創業した15坪の店が、その後、半世紀を超えて続く「ふくや」の歴史の第一歩だった。
翌年1月10日、博多の街で親しまれている「十日恵比須(えびす)」の日、俊夫は、それまで誰も食べたことのなかった新しい味「味の明太子」を店に並べた。その後、数年にわたる試行錯誤を重ね、ようやく彼自身、納得のできるものをつくり上げた。さらに俊夫は明太子の製法を知りたいという人には、その製法を惜しむことなく広めた。結果、辛子明太子は博多の食文化を代表する全国区の商品へと育っていった。
1913(大正2)年1月25日に釜山で生まれた俊夫は、釜山中学を卒業後、1932年に満州電業に入社。1933年20歳の時、徴兵検査をうけ、以後召集と解除の繰り返しが続く。そして沖縄戦の際には宮古島の守備隊で幾多の地獄を見てきたという。そして終戦。1946年に博多に引き揚げてきた俊夫は、残りの人生を人のために生きようと、妻・千鶴子ととともに「ふくや」を創業することになる。

プロジェクト第3弾「tubu tube(ツブチューブ)」(左からオリーブバジル風味、オリーブオレガノ風味、ゴマ油風味)

こだわりの新商品が続々と

「味の明太子」のふくやでは「博多の食と文化の博物館・ハクハク」のオープンをはじめ、昨年から俊夫の生誕100年を記念してこだわりの新商品を発売するプロジェクトを進めてきた。新商品第1弾は辛さへのこだわりをとことん突き詰めた明太子「辛皇 ~ ホットエンペラー 〜 」。従来の明太子にはなかった別添えのオリジナル辛味ソース「辛皇醤(ホットエンペラーソース)」を加えることで刺激的な辛さのバリエーションが楽しめるのが大きな特徴だ。
第2弾は原料であるスケトウダラの原卵にこだわった逸品「百代の過客(はくたいのかかく)」。北海道でも希少な噴火湾産のスケトウダラの中でも最も鮮度が良いとされる一泊物(網を入れてから24時間以内に水揚げされたもの)の原卵を使用する。弾力ある上質な原卵を和風の出汁をきかせたダシに漬け込み、辛さの中にやさしさのある味わいが魅力。
明太子の粒子とほぼ同じ大きさの調味カプセルが使われていて、口にいれるとオリーブバジル、オリーブオレガノ、ゴマ油の風味がはじけるチューブ入りの粒明太子「tubu tube(ツブチューブ)」が第3弾の新商品だ。ごま油やオリーブ油は、明太子と大変相性が良いが、油の酸化等の問題で、これまでは商品化が困難だった。tubu tubeは、それらを閉じ込めた調味カプセルを使用することで、風味を保つことができるようになった。チューブ入りで使いやすく、料理のバリエーションが広がりそうな逸品だ。(文中敬称略)

〈企業DATA〉
所在地 〒810-8629 福岡市博多区中洲2-6-10
TEL 092-291-3575
FAX 092-291-2460
URL http://www.fukuya.com
創業 1948年10月
設立 1980年8月
資本金 3,000万円
事業内容 辛子明太子の製造・販売、食品の卸売・小売
年商 154億4936万円(2012年3月期)
従業員 621人(2013年3月現在)

〈採用情報〉
当社ホームページをご覧ください。

(ふくおか経済EX2013年)