FEATURE

ふくおか経済EX 2015

㈱ふくや


「味の明太子」とともに新たな味、新たな食文化を提案

博多を代表する味として全国で親しまれている「辛子明太子」の生みの親であり、ふくやの創業者・川原俊夫氏の生きざまを描いた「めんたいぴりり」。この春にはパ−ト2の放映とともに博多座で舞台公演されるなど再び脚光を浴びている。その魅力とふくやの新たな動を紹介する。

「めんたいぴりり」が再び

明太子をつくった男〜ふくや創業者の川原俊夫と妻・千鶴子の笑いあり、涙ありの生きざまを描いた感動の物語「めんたいぴりり」が、この春再び……。2013年夏、テレビ西日本の開局55周年記念ドラマとして放映された「めんたいぴりり」。その後、全国ネットのフジテレビをはじめ各地方局で続々と放映された。そして、この2月には「めんたいぴりり2」が放映。さらに、3月には福岡市の博多座で、テレビの配役とほぼ同じキャストで「〜博多座版〜」が上演され、連日、大勢の人が詰めかける盛況ぶりとなった。

ツブチューブが30万本を突破
「めんツナかんかん」大ヒット!

1948(昭和23)年、戦災で焼け野原になった博多の街に少しずつ復興の兆しが見えはじめていた博多・中洲市場の一角に誕生した小さな食料品店「ふくや」。店主の川原俊夫は翌年1月10日、博多の街で親しまれている「十日恵比須(えびす)」の日、それまで誰も食べたことのなかった新しい味を店に並べた。「味の明太子」の誕生である。その後、俊夫は数年をかけて味の工夫を重ね、ようやく彼自身、納得のできるものをつくり上げた。そして今では、明太子は博多を代表する味として、全国で愛されるようになった。
そして、この新しいものを追及する精神は、今もふくやに脈々と受け継がれている。食べた瞬間、口の中にオリーブバジルやオリーブオレガノ、ゴマ油などの新鮮な風味がはじける……。チューブ入りの粒タイプの明太子「tubu tube(ツブチューブ)」は、川原俊夫生誕100年を記念した新商品プロジェクトの一環として2013年に発売。以来、スパイシーハバネロやスパイシーブラックペッパー、和風だしなど風味のバリエーションも9種類に増え、累計販売数は30万本を突破した。
この3月には、業界初となる明太子風味のオリジナルのツナ缶「めんツナかんかん」が発売された。国産のびん長マグロのフレークを同社の「味の明太子レギュラー」の調味液で味付けした。漬け込み液をなじませたピリ辛味で、控えめの油で仕上げているのが特長。まろやかな美味しさで、しっかりとした肉質のツナに明太子の旨みが重なり、あとからくるピリッとした辛さが絶妙だ。

業界初の明太子風味ツナ缶「めんツナかんかん」

博多の食文化にこだわり

一方、博多の食文化に対するこだわりもふくやの特色だ。2013年4月には、福岡市東区の工場内に福岡・博多の食や文化が体験できる「博多の食と文化の博物館・ハクハク」を開設。「見る」「学ぶ」「触れる」「体験する」「食べる」「買う」と、様々な知的体験を通じて博多の食と文化を楽しめる施設として多くの人が訪れる。
昨年3月には明太子料理を提供する和食店「鱈卵屋(たららんや)」を中国・香港にオープンし、明太子を使った食文化の提案に力を入れている。7月には地下鉄姪浜駅えきマチ1丁目(旧姪浜デイトス)内にテイクアウト向け中華惣菜店「福来る家(ふくくるや)」をオープンした。創業時は中華商材の卸をメーン事業としていたことから「原点に戻って、新業態である中華総菜店舗の開発に取り組んだ」(同社)としている。
さらに昨年11月にリニューアルオープンした小田部店には、特製スープと自家製生麺を味わう「ちゃんぽん」や自慢の海鮮料理を気軽に楽しめる「海食べキッチン」とともに、海産物を販売する「海食べのすゝめ」を開設。静岡・由比の「特選まぐろ油漬け」や高知・黒潮の「きびなごフィレ」など日本各地のこだわりの海産物が揃う。

昨年11月にリニューアルオープンした小田部店

 

企業DATA
所在地 〒810-8629 福岡市博多区中洲2-6-10
TEL 092-291-3575
FAX 092-291-2460
創業 1948年10月
設立 1980年8月
資本金 3,000万円(グループ5億3,300万円)
事業内容 辛子明太子の製造・販売、食品の卸売・小売
年商 151億9,377万円(2014年3月期)
従業員 644人(正社員210人/2014年9月現在)
URL http://www.fukuya.com

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(ふくおか経済EX2015年)