FEATURE

ふくおか経済EX 2011

リーフラス㈱


社員数1000人、会員数10万人、売上高100億円体制に向け、株式公開準備

(写真)国内20拠点、海外2拠点(上海・香港)で展開する各種スポーツスクール

スポーツ先進国である欧米諸国に比べ、30年は遅れているという日本のスポーツ。一部のプロスポーツを除くと、未だにビジネスモデルは構築されておらず、スポーツを職業にできる人は限られている。そんな業界に大きな変化をもたらしているのが、「日本のスポーツを変え、デザインする」という目標を掲げ、日本初の総合スポーツサービス企業として躍進を続けるリーフラス㈱だ。
その中核であるスポーツスクールは、「ココロに体力を。」の理念のもとに、全国で2万6000人を超える会員数を誇る。現在、サッカー、野球、空手、剣道、バスケットボール、テニスの6種目を展開しており、すべてのスクールにおいて、これまでのスポーツ指導に蔓延していた「しごき」や「暴言」といった「スポーツ根性主義」を一切排除し、子どもたちの健全な人間性を育むことを第一とした教育方針だ。この理念に多くの人々が共感し、多方面からの支持を集めていることが安定した成長を続ける要因のひとつと言えるだろう。

部活動指導、プロスポーツマネジメントに参入

2001年8月に、第一歩を踏み出した同社は、今年8月で設立10周年を迎える。設立から9期連続で増収、売上高20億円突破など、その成長ぶりは業界で「リーフラスの奇跡」と表現されている。この10年間を「自分自身が何かをしたというよりも、さまざまな縁によって自然な形で展開してきたと感じる。大きな理念と真剣な想いを周囲がサポートしてくれたことが形に結び付いている」と振り返る伊藤社長。創業月である8月に感謝の気持ちを込めて毎年開催している創業祭においては、10周年を記念して全国の社員が参加する大規模な式典を計画している。
また、次の10年に向けてまずは本格的な中学校部活動への参入に乗り出す。現在、約220万人が部活に所属しているが、指導方法が分からないスポーツ未経験者の教師が顧問のケースや、経験者でもしごきや体罰など旧体質の指導法が日常化している場合も少なくない。保護者からの相談や要望も多く、各地区のブロックリーダーが1校ずつ担当するなどのビジネスモデルを模索していくという。社会や地域の問題点を、スポーツを通して解決していくソーシャルビジネス企業としても使命を果たす姿勢だ。
さらに、引退後のプロスポーツ選手のセカンドキャリア採用を実施しているほか、女子サッカー「アンクラス」をはじめとしたプロスポーツマネジメントなど、プロスポーツ界の活性化に対しても役割を担う。一方では、障害者のスポーツも支援しており、今後は障害者アスリートの雇用、引退後は指導者になることによって障害者スポーツ普及を目指していく。

4月に開設した「スポーツ&航空ビジネス専門学校」(福岡市早良区西新6丁目)

47都道府県進出に向けて人材確保

2012年度からは、全国47都道府県への拠点設置を進める。これは、社会インフラとして人間性を育成するスポーツ指導をどの地域でも提供できるようにしたいという想いからだ。そのためには、圧倒的な数の指導員が必要となり、人材の確保が不可欠になる。新卒採用では毎年およそ1万5000人超というエントリー数の中から、理念を共有できる人材を厳選して採用してきたが、今後の事業展開加速に対応するためには毎年100人単位の新戦力加入が望まれる。
このことから、4月にスポーツ指導者養成学科を備えた「スポーツ&航空ビジネス専門学校」を開設。同校は1年間スポーツマネジメントや各種スポーツの指導スキルを磨き、卒業後は原則として同社に入社できるというものだ。これにより、新卒採用のほかに毎年約60人の安定した人材確保が可能になる。日本のスポーツを変えるために提唱する「1000人の指導員に対して10万人の子どもたち」というスクール構想実現への大きな一歩となるだろう。

「より社員に良し」の企業へ

「社員に良し」—同社の社訓であるこの言葉は、「社員が、成長し続けることができる」、「社員が仕事に自信と誇りを持って取り組むことができる」、「社員が生き方・考え方を学ぶことができる」、「社員が、仕事を通して自己実現と社会貢献ができる」という意味だ。
そして、「さらに社員に良し」の企業と進化するための一手として、株式公開準備に着手した。伊藤社長は「資金調達が目的ではなく、最大の目的は社員の“スポーツ指導員”という捉われ方を変えたいという点。スポーツサービスとソーシャルビジネスというこれまでにないビジネスモデルであることから社会的な位置付けの定義がない。株式公開によって、その部分を確立したい」と想いを語る。また、「ソーシャルビジネスとして株式を公開したい。ソーシャルビジネスは日本ではまだ浸透しておらず、社会や子どもへの投資ということを理解してもらいたい」と、利益ではなく理念先行型の株主を求める。さらに、株式公開に向けて組織体制を再編し、財務・人事・総務などの管理・サポート部門強化による組織の根幹整備も進めていく。
揺るぎない理念と実践力によって10年間で大きな成長を遂げた同社。社員数1000人、会員数10万人、売上高100億円体制に向けた新たな挑戦が始まった。

伊藤 清隆 社長
いとう・きよたか/愛知県出身、1963年11月21日生まれの47歳、琉球大学教育学部卒。趣味はスポーツと読書。著書に「百%正社員主義」

 

企業DATA
所在地 〒814-0001 福岡市早良区百道浜2-3-8 RKB放送会館
TEL 092-832-8015
FAX 092-832-8016
設立 2001年8月
資本金 1億3190万円
事業内容 子ども向けスポーツスクールの運営受託、社会人向けスポーツスクールの経営、スポーツ家庭教師、民間及び公的機関へのスポーツ指導員派遣、海外・国内スポーツ合宿やドーム大会等の企画・実施、スポーツビジネスコンサルティング、企業再生・再構築ビジネス
年商 28億円(平成23年4月期)
代表者 伊藤清隆
従業員 340人
URL http://www.leifras.co.jp/

採用情報
募集職種 総合職(業務全般)・アスリート職(スポーツスクールのプレーイングマネージャー)・一般職(人事・広報・労務・経営企画・経営戦略・商品・CS・システムなど、お客様や社員のサポート業務)
応募資格 専門・短大・大学卒(全学部、全学科)
問合せ先 0120-737-351(リクルートダイヤル)
担当 趙(ちょう)

(ふくおか経済EX2011年)