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マリンハイドロテック㈱
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技術力と一貫サポート体制で東アジアへビジネスを拡大
(写真左)東アジアでは、海外巻網漁船のウインチの受注が好調。(右)下関製造工場での様子
作業効率高め船上活動に貢献するトータルシステムサプライヤー
船舶用油圧機器を駆使して油圧システムの設計および油圧装置を製造するマリンハイドロテック㈱。油圧システムとは自動車や航空機、水門など様々なものを作動する時に使用するエネルギー伝達方法で、同社ではこれまでに海洋に関する漁船、タグボート、作業船やフェリーなどの船上活動で欠かせないウインチ(巻き上げ機)や油圧ユニットを製造してきた。下関に製品の製造工場、福岡、長崎、関西、石巻、焼津、銚子の6カ所に営業拠点を構える同社は、システムの組立て段階からアフターメンテナンスまですべてを一貫して提供するトータルシステムサプライヤーとして他社と差別化を図り業界を代表する企業に成長。年商も30億円を突破するなど成長を続けている。
4月1日には、静岡県焼津市にある旧焼津営業所を拡張移転。新社屋は約990㎡の敷地内に建築面積約930㎡の海外巻網漁船用ウインチの修理工場と2階建ての事務所を併設。福岡本社(約1000㎡)に次ぐ大きさで東日本支店としてメンテナンス事業を本格化し、新しい中核拠点となっている。
製造の拠点・下関製造工場。約8600㎡の敷地内では日々、製品の製造・修理が行われる |
国内で培った技術力生かし世界へ
近年では、新興国の魚の消費量増加も後押しし、海外事業が売り上げの半分を占める同社。進出時、海外には強力な競合会社があったが国内事業で培った技術を生かした当社独自のシステムが顧客の支持を得て実績を順調に伸ばしている。
現在、同社が展開する台湾、中国、韓国では海外巻網漁船用のウインチを販売し、台湾建造分の海外巻網漁船のシェアは100%を誇る。特に最近は中国での事業が好調で、井手社長も「中国の漁獲量は1500万トンで世界第1位、第5位の日本とは約3倍以上の差がある。これからも消費量は伸び続けるので成長市場になることは間違いない」と分析する。
新製品開発にも積極的で、今後は少人数で船上での活動をやっていけるような省人化システムの開発に営業、現場、設計の三位一体で着手していく計画だ。
(写真)静岡県焼津市に開設した東日本支店の外観(左)。海外巻網漁船に搭載されている「3ドラム パースウインチ」(右) |
社内の交流深め内部組織の基盤固め
特殊な業界に特化し、堅実な事業展開で飛躍する同社。2008年から2年連続でスタンダード・アンド・プアーズ社(S&P)の中小企業格付けで全7段階中上位2位の「aa」を取得している。そんな同社が現在取り組んでいるのが社内体制の整備。井手社長自身が同社生え抜きの経営者ということもあり、職場環境の充実に力を入れている。会社として収益を確保しつつ、働き甲斐のある待遇・福利厚生の整備を進めるほか、一昨年からはすべての社員を集めた社員旅行も実施。09年4月には有名演歌歌手による社歌CDを作成するなど社内全体の交流を深めるようなイベントにも積極的に取り組んでいる。
技術の継承目指し、採用を強化
堅調に事業の拡大を進める同社だが、今後の課題は次の一手を見据えた次世代の育成。現在、社員は約140人体制で、下関の製造工場では定年で退いた社員が嘱託社員として若い世代への技術の継承を進めている。人材に関しても、昨年は中途の人材を12人、4月には新卒で5人を採用し、来年も数人を計画している。
採用に関しては「まずはやる気と目の輝きを持っていることが必須条件」と話す井手社長。トータルシステムサプライヤーとして、受注からメンテナンスまで一貫体制を敷く同社では、製品に関する深い知識が欠かせない。そのため、どの部署も必ず現場からスタートし、油圧とウインチの勉強を始めて一人前になるまで5年以上かかるという。まだ見ぬ社員に井手社長は「目的意識を持って自己啓発に取り組み、会社の第一線で活躍したいという志の高い人材(財)に入社してほしい」と期待を寄せる。
ニッチ産業で安定した成長を続けている同社。若い力溢れるスペシャリスト集団として世界へ広がるマリンハイドロテックのビジネスには、世界市場への挑戦という無限の可能性が秘められている。
井手 敏文 社長 いで・としふみ/長崎県西彼杵郡長与町出身、1955年8月9日生まれの54歳、同志社大学商学部卒。長崎海星高校時代は3年連続甲子園出場中レギュラーにて2年連続出場。1979年、内田油圧舶用機械㈱(現マリンハイドロテック㈱)入社し、2007年、代表取締役社長就任。座右の銘は率先垂範 |
企業DATA
所在地 〒810-0075 福岡市中央区港3-50-1
TEL 092-711-1110
FAX 092-771-5197
創業 1962年7月
設立 1971年12月
資本金 3000万円
事業内容 船舶用油圧システムの設計・油圧装置の製造
年商 31億5000万円(09年12月期)
代表者 井手敏文
従業員 143人
出先 (工場)下関(支店)福岡 長崎 関西 東日本(静岡)(営業所)石巻 (他)銚子
URL http://www.mhtc.co.jp
採用情報
募集職種 営業・設計・技術職
応募資格 高校、大学卒
採用実績 年2人、2010年5人
採用予定 3人
問合せ先 TEL.092-711-1110
担当 総務部長 坂之上
(ふくおか経済EX2010年)