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マリンハイドロテック㈱
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国内漁船用ウインチの“雄”が海外展開を本格始動
漁船用ウインチの国内シェアで70%を占め、船舶用油圧機器という特殊な市場で成長を続けるマリンハイドロテック。今年8月、同社は中国・青島で製造工場を稼働させ、アジアでの事業展開を加速させる。
急成長の背景に海外市場での飛躍
1971年の設立から40周年を迎えたマリンハイドロテック㈱は、1962年の創業以来、一貫して海運・船舶用関連事業に携わってきた企業だ。
現在では、船舶用油圧機器の設計・製造のほか、アンカーの投下や巻き上げなどに使用する漁船用ウインチ(巻き上げ機)市場で、国内シェア70%以上を占めている。
“ニッチ産業”の多くは、市場の成長性が限られているが、同社の業績は、2009年に売上高37億円を突破し、今期見込みは約39億円と急激に成長している。その理由はどこにあるのか。同社を率いる井手敏文社長は話す。
「アジアの新興国では魚の消費量が年々増加傾向にある。当社では、全体の半分を海外事業部が占めるため、業績の底上げにつながった」
同社では、台湾、中国、韓国での市場を25年前から開拓。海外巻網漁船用のウインチを販売し、特に台湾でのシェアは100%を誇る。
そして、40年目の節目を迎えた昨年、中国展開の拠点として現地に製造工場を建設することを発表した。
製造の拠点・下関製造工場。約8600㎡の敷地内では日々、製品の製造・修理が行われる |
漁獲量世界1位・中国を見据えた戦略
今年8月、中国の青島に完成する工場は、現地でパートナシップを組む船舶製造会社と共同で建設するもので、敷地面積は1万3200㎡。13年度から開始する2期工事と合わせると総面積3万3000㎡の大型油圧装置製造工場となる。
「中国の漁獲量は世界一の1500万トンと、世界第5位の日本とは3倍以上の差がある」と井手社長が話す通り、市場開拓の余地は残っており、同社では将来的に中核の下関工場と同水準に引き上げていく計画だ。このビッグプロジェクトの工場建設は、目標である売上高50億円に向けた、大きな布石となっていくだろう。
下関製造工場での製造風景 |
組織再編で、東西2支社体制に
また、同社では海外展開を加速させると同時に、国内に散らばっていた営業・メンテナンス拠点を刷新し、規模集約に取り組んでいる。1月に全国4カ所にあった支社のうち、長崎、関西支店をメンテナンスに特化したサービスセンターに改編。本社内にある福岡支店と、09年4月に拡張移転した東日本支店の“東西2支店体制”に組織変更した。
井手社長は「市場動向は日を追うごとに変化していく。人材や資源を集約することで、システムの組み立て段階からアフターメンテナンスまで、一貫して提供する当社の強みを、さらに磨き上げ、新規案件を獲得したい」と力強く語り、“攻めの姿勢”を貫く。
同社では急成長に伴い、人材増員にも力を注いでおり、新卒、中途採用を計10人程度採用する方針だ。「大切なのは“あいさつ”。提案型営業をできる社員を育成したいので、バイタリティのある人材が欲しい」と話す井手社長。船の入港状況に合わせシフトを組んでいた昔と違い、現在では週休2日制を導入するなど福利厚生面も整えている。
昨年の東日本大震災で壊滅的な被害を受けた石巻営業所(宮城県)を再建し、石巻サービスセンターとして再スタートを切った同社。大きな節目を迎えた昨年に続き、強い組織力と確かな技術力も持つトータルシステムサプライヤーとして、創業50年目を迎える今年を駆け抜ける。
井手 敏文 社長 いで・としふみ/長崎県西彼杵郡長与町出身、1955年8月9日生まれの56歳、同志社大学商学部卒。長崎海星高校時代は3年連続甲子園出場中レギュラーにて2年連続出場。1979年、内田油圧舶用機械㈱(現マリンハイドロテック㈱)入社し、2007年、代表取締役社長就任。座右の銘は率先垂範 |
企業DATA
所在地 〒810-0075 福岡市中央区港3-50-1
TEL 092-711-1110
FAX 092-771-5197
URL http://www.mhtc.co.jp
創業 1962年7月
設立 1971年12月
資本金 6000万円 事業内容 船舶用油圧システムの設計・油圧装置の製造
年商 35億円(11年12月期)
代表者 井手敏文
従業員 138人
出先 (工場)下関(支店)福岡 東日本(静岡)(サービスセンター)長崎、関西、石巻、銚子
採用情報
募集職種 営業・設計・技術職
応募資格 高校、大学卒
採用実績 2010年5人、2011年4人
採用予定 4人(新卒)、中途採用は通年
問合せ先 TEL.092-711-1110
担当 総務部長 坂之上
(ふくおか経済EX2012年)