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マリンハイドロテック㈱
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ペルーなど新たな海外市場開拓へ
近年の成長を支えてきた台湾をはじめとする海外市場での展開を加速させるマリンハイドロテック。さらなる事業拡大を目指し、漁獲量世界3位の南米・ペルーに照準を合わせて新たに動き出している。
銚子、台湾など国内外で積極投資
1962年の創業以来、一貫して海運・船舶用関連事業に携わってきたマリンハイドロテックが近年急速に成長してきた背景、それは海外市場での積極展開だ。
同社は船舶用油圧機器の設計・製造のほか、魚網を巻き上げる漁船用ウィンチ市場で高い国内シェアを誇り、台湾・韓国・中国など海外でのまき網船(海巻き船)占有率市場も、着実にシェアを拡大してきた。そして、新船の建設需要を背景に2013年に稼働させた台湾のメンテナンス工場を契機に、複数の海外拠点で設備投資して、受注体制を整備している。
同社が台湾などで手がける海巻き船は、全長90m、ヘリポートなども完備された大型の漁船で、マグロやカツオ漁など遠洋漁業で使用される船だ。特に海巻船の新船へのスクラップアンドビルドが増えたことで、新規の顧客を開拓することができた。
一方で、「台湾の新船需要も、峠を超えた感がある」と語る井手敏文社長。「これからは新たな海外市場での展開がカギとなってくる」と気を引き締める。
製造の拠点・下関製造工場(左)。約8600㎡の敷地内では日々、製品の製造・修理(右)が行われている
水揚げ量世界3位ペルーでの可能性
台湾に続く、新たな海外市場。その最右翼が南米大陸にある。
日本から移動に飛行機で36時間かかるペルーは南米大陸の西側に位置する人口3100万人の国で、同国の経済成長率は、南米トップクラス。豊富な鉱物資源を背景に、海外からの国内投資が活発化している。そして、ペルーは漁業が盛んなことでも知られており、イワシなど漁獲水揚げ量は世界3位を誇る。
「ペルーの市場規模は日本国内の2〜3倍。しかも当社が得意とする油圧システムは旧態依然としたまま。技術力やサービスは、現地の業者と比べても当社にも参入の余地があり、立地的に日本と離れている点などを加味しながら、今後の拡販の可能性を探っていくが、好機到来と捉えている」と井手社長は力強く語る。
メンテナンス事業、新商品開発を本格化
同社の取引先の製網メーカー(名古屋市)から紹介を受けての今回の参入計画だが、今年5月には社員数名を派遣し、井手社長も現地を視察する。将来的には、台湾のようにメンテナンス工場を建設し、新船需要から新たな顧客を開拓することで、メンテナンス事業へとつなげていく考えだ。「韓国、台湾という当社の主力海外市場に続く、3本目の柱にしていきたい」と井手社長は意気込みを語る。
今後は国内外の新船需要に支えられた急成長も一服感が生まれ、同社では収益性の高いメンテナンス事業に取り掛かることになる。
並行して注力するのは、設計からアフターフォローまで一貫して提供する“トータルサプライヤー”としての開発力の強化。
昨年には本社内に企画開発室を新設し、これまで基幹拠点である下関工場が担当していた商品開発を、同工場の製造部門・本社の営業部隊から選抜した社員によるチームに委ねている。「顧客の声を反映させながら新製品の開発に取り組んでおり、新たな営業・提案の呼び水していきたい」と、井手社長は笑顔で語った。
井手 敏文 社長 いで・としふみ/長崎県西彼杵郡長与町出身、1955年8月9日生まれの60歳、同志社大学商学部卒。長崎海星高校時代は3年連続甲子園出場、レギュラーにて2年連続出場。1979年、内田油圧舶用機械㈱(現マリンハイドロテック㈱)入社、2007年に代表取締役社長就任。座右の銘は率先垂範 |
企業DATA
所在地 〒810-0075 福岡市中央区港3-50-1
TEL 092-711-1110
FAX 092-711-5197
創業 1962年7月
設立 1971年12月
資本金 6,000万円
事業内容 船舶用油圧システムの設計・油圧装置の製造
従業員 150人
出先 [工場]下関[支店]福岡 東日本(静岡)、関西[サービスセンター]長崎、石巻、銚子
URL http://www.mhtc.co.jp
採用情報
募集職種 営業・設計・技術職
応募資格 高校、大学卒
採用予定 若干名(新卒)、中途採用は通年
問合せ先 TEL.092-711-1091
担当 総務部長 木下
(ふくおか経済EX2016年)