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タカラ薬局グループ
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先駆的な店舗展開で目指すは県内100店舗
福岡県内に的を絞り展開するタカラ薬局の店舗分布図
「医療のある街づくり」を理念に調剤薬局を展開するタカラ薬局グループは近年、年間5‐10店舗というペースで店舗展開を加速させている。その背景には、福岡というエリアに的を絞る一貫したドミナント戦略と、常に同業他社の先を行く先駆的な店舗形態、そして業務に関わる人々との「末長いお付き合い」を大前提とする同社の姿勢がある。
複合医療施設という新しいスタイルを開拓した「メディカルシティ」(写真・メディカルシティ伊都Ⅰ) |
複合型医療施設「メディカルシティ」をプロデュース
同社の店舗展開でもっとも特徴的といえるスタイルが複合型医療施設「メディカルシティ」だろう。
通常、医院の建設が決まった時点で初めて、調剤薬局の必要性が生じる。よって、医院の開業に合わせて薬局出店を検討する「門前型」が従来のスタイルだが、同社は薬局出店の“必要性”を創出する手法を取り入れた。つまり、薬局の出店に先駆け医院の開業そのものをプロデュースするという逆転の発想だ。
そういった医院の開業支援を目的に設立された子会社が㈱タカラメディカル。その地域に不足する診療科目をリサーチし、立地の選定、施設の建設、テナントである医師の募集など、医院開業に関わるあらゆる業務をトータルにサポート。複数の医院が併設する施設をオープンし、そこに同社調剤薬局を出店するという新たな出店スタイルだ。㈱タカラ薬局の小川明久社長は「10年以上前に当グループが始めた時点では県内に例がない形だった」と振り返る。業態の認知が進むにつれ開業を企図する医師に大きな支持を受け、現在までに11件のメディカルシティをオープンした。
開業支援の最大の強みは、冒頭にも挙げた「末長いお付き合い」にある。医院が開業した後も、もよりの薬局と共に様々な側面からの支援を続けていく「長期支援」こそが、医師やオーナーから支持される要因となっている。もちろん、長期的に支援を続けていく“理由”がある。薬局が医師からフィーを受け取ることはないので、医院開業に伴うコンサル業務では同社に利益は発生しない。利益は医院に患者が来て、調剤薬局を利用した際に初めて生まれる。いわば医院の長期的な発展が同社の発展にもつながる“二人三脚”の関係であり「開業したらそこで業務は終了」といった開業支援とは大きく性格が異なる。小川社長も「医師が幸せな引退を迎えるまでが当社の仕事。その意味では、“開業”支援というよりは“開業医”支援といったほうが正しい」と表現する。
同社薬剤師は、独立を含め自分に合った将来を選択できる |
フランチャイズ制で薬剤師の独立を支援
また、同社ならではのスタイルのひとつに「フランチャイズ制度」が挙げられる。同社で勤務する薬剤師をオーナーとした「タカラ薬局」の独立開業を支援するシステムだ。
独立開業を支援する背景には、薬剤師を取り巻く環境がある。薬剤師の“技術”や“経験”は制度的に評価される仕組みがない。「誰が調剤しても薬剤師であれば同じ」という勘定項目なため、自然と給料の安い若年者に雇用が偏りがちで、企業としても年功で給与を上げにくい。そこで、「今までは固定給を払っていた社員に、今度は逆に我々が固定給もらう」というスタイルを考えた。そうすることで、経営によっては薬剤師の収入も大幅にアップし、仕事に対する意欲にもつながる。
対象となるのは、同社に数年の勤続経験を持つベテラン社員。開業用地の選定・交渉、医師の紹介など開業までは同社が包括的に支援するが、開業した後は仕入れから店づくりまですべて経営者たるオーナーの仕事。「その意味では、フランチャイズではなく“暖簾わけ”に近い」と小川社長は説明する。立地は、個人経営のクリニックなどに併設する門前薬局が多く、“地域の顔”になることが望まれる。そのため、「地域のソフトボールに参加したり周辺を掃除したり・・・積極的に地域に愛されるために努力するようになる」と小川社長は笑顔で語る。
これまで15人がこの制度を活用し独立しているが、同社がその能力に見合うと判断した人材であり、誰でもいいというわけではない。同社が薬剤師にもっとも求めるスキルは“コミュニケーション能力”。「相手にわかりやすく“伝える”ことがもっとも大切な仕事。人と話すことが大好きな人材を求めたい」と小川社長は期待を込める。
車から降りずに薬を受け取れるドライブスルーを設けたモデル店舗 |
店舗体制整え地域の住民と“末長いお付き合い”を
現在、福岡県内に55店を構え、なおも店舗展開を加速させる同社が目指す目標は「県内100店舗」。「県内のどこからでも15分でタカラ薬局に出向ける体制」(小川社長)を構想する。将来的には、10店に1店の割合で本部機能を持つ“ハブ薬局”を配置していく予定だ。
近い将来、地域住民の生活にとって不可欠な薬局へ成長することが、同社の描く“夢”。福岡という地域との“末長いお付き合い”を経営指針に、今期もさらなる飛躍を期する。
小川 明久 社長 1966年12月10日生まれの42歳。福岡県直方市出身。福岡県立直方高校卒。85年㈱富田薬品に入社。外資系製薬メーカー勤務を経て、94年に㈱タカラ薬局に入社。96年に同社社長就任。趣味は写真、ペット(犬)と遊ぶこと |
企業DATA
【所在地】(本社)福岡市東区御島崎2-2-41
(サポートセンター)福岡市博多区博多駅前3-25-24八百治ビル6F
【TEL】(本社)092-433-5425(サポートセンター)092-436-2900
【FAX】(サポートセンター)092-436-2901
【事業内容】薬局・薬店の経営
【資本金】5200万円
【代表者】㈱タカラ薬局小川明久(おがわ・あきひさ)
【関連会社】㈱タカラメディカル㈱幸陽堂薬品
【年商】35億円
【従業員】180人
【店舗】福岡県内に55店舗
採用情報
●募集職種:薬剤師
●応募資格:薬剤師有資格者、薬科大学卒業予定者
●採用予定:10名
●問い合わせ先:092-433-5425
●担当:岡村水上
(ふくおか経済EX2009年)