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ゼオライト(株)
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水のトータルソリューションで持続可能な社会に貢献
(写真上)限外ろ過膜(UF膜)を使った排水再利用プラント
(下)茨城県の食品工場に設置した井水浄水装置。同所には排水処理設備も納入している
日本有数の創水プラントメーカーは、これまで培った技術力を生かし、循環型社会への貢献に軸足を移した事業展開を強化している。2月には河村勝美会長が逝去。絶大な存在だった創業者夫妻を失ったが、社員は前を向き、強固な経営基盤のもとで一歩進んだ地域課題の解決に挑んでいる。
創業者夫妻の遺志を胸に結束力強める
2月に河村勝美会長が逝去した。2020年11月に他界した河村恭輔名誉会長と草創期の苦難を乗り越え、技術の名誉会長を支えながら夫婦二人三脚で会社発展の礎を築いてきた同会長。温かい人柄と情熱を持ち合わせ、分け隔てなく時に優しく、時に厳しく接する様は「会社の母」、または「会社のシンボル」として、誰からも親しみを持たれる人柄だった。
「社葬には多くの方にご会葬いただいた。生前中にお世話になった取引先各位に改めてお礼を申し上げたい」。そう語るのは創業者夫妻の薫陶を受け、同会長から社長業を引き継いで7年目を迎える嶋村社長。創業者夫妻との関係は親子とも例えられ、自身を成長させてくれた両者への感謝の思いは人一倍強い。「創業者夫婦の功績はあまりに大きいが、二人の遺志を大切に継承しながら、全社が一丸となって社業にまい進することが何よりの恩返し」と前を向く。
排水リサイクル、災害対策のプラント需要高まる
名誉会長から継承した技術力、会長が人創りを通して作り上げた組織力のもと、持続的な経営基盤を確保してきたゼオライト。この安定基盤のもと、現在は循環型社会への貢献やSDGsなど、社会が求める環境経営の実践に事業の軸足を置く。
特に近年注目を集めているのが、基準値以下の水質に処理した事業所排水をリサイクルする独自技術だ。すでに創業時から工場排水などを膜ろ過処理して放流水質の維持を実践してきた同社は、03年に排水再利用システムを事業化し商業施設(厨房排水)や食品工場などに数多く納入。そして21年に限外ろ過(UF)膜を用いた新たな排水回収装置を開発すると、クリーニング工場等での実証実験を通して極めて高い排水回収の有効性が証明され、あらゆる分野での展開に弾みをつけている。またこの回収技術は、長崎大学、地場分析会社の太平環境科学センターと共同で進める「海洋プラゴミ」の調査事業にも活用されるなど、環境負荷低減に優れる技術としてさらなる水平展開にも期待が高まる。
一方で昨今の防災・減災への意識の高まりとともに、災害拠点病院などの重要拠点を中心に井水浄水装置の納入件数も順調に伸ばす。特にライフラインの二元供給の普及で、同装置の需要が高まる中、同社は災害発生時に装置の復旧・運転管理が速やかにできるよう「緊急通行車両等事前届出」を申請。非常時でも安全な水が供給できる万全なメンテナンス態勢を敷くことで、導入先の事業継続にも大きく貢献している。
(写真)産学で進める海洋プラゴミ調査用に開発した海水回収装置とろ過装置 |
健康経営優良法人に認定
職場環境の改善を一層強化
持続可能な経営実践は組織づくりにおいても同様だ。新たに導入したセールスフォースのシステムは、顧客情報やあらゆる知見の共有、見える化を可能にし、業務効率化や生産性向上に一定の見通しが立った。また3月には健康経営を意識した取り組みが認められ、経産省が定める「健康経営優良法人2023」に選ばれたほか、働き方改革をはじめ社員のモチベーションやエンゲージメントを高める施策も本格化。「今後も社員の希望や改善点はできる限り反映させていきたい」(嶋村社長)と、職場環境のさらなる充実で将来を見据えた人材の定着と確保を目指す。
今年中には産学連携で進めてきた自治体向け小規模水道事業を具体化すべく、地域社会が抱える新たな課題解決に挑むゼオライト。これからもあらゆる水道インフラの構築に寄与していくことで、人々のより良い生活と社会の持続的発展を支える。
(写真)「健康経営優良法人」の認定証 |
【DATA】
所在地/〒812-0893 福岡市博多区那珂5-1-11
TEL/092-441-0793
FAX/092-441-0796
創業/1969年11月
設立/1970年8月
資本金/9,000万円
事業内容/創水プラントの企画・設計・製造とメンテナンス、ROミネラルウォーターの宅配、家庭用・業務用浄水器製造販売
年商/35億1,700万円(2022年7月期)
従業員/106人
出先/(支店)東京、大阪、名古屋
(営業所)東関東、岡山、熊本、大分、長崎、北九州、宮崎、鹿児島
関連会社/㈱アクアゼオライト
URL/https://zeolite.co.jp/
採用情報
募集職種/営業系、技術系、メンテナンス系
応募資格/2024年大学・大学院卒業予定
詳しい採用情報はJP上の採用サイトで開示
(ふくおか経済EX2023年)