FEATURE

ふくおか経済EX 2010

エコアス㈱


進化し続けるエコ・ビジネスモデルで汚泥処理シェアトップへ

(写真)福岡市博多区西月隈にある有機性汚泥リサイクルプラント。1日最大約200㎥の受け入れと最大約31㎥の処理が可能となる

産業廃棄物適正処理のため、排出者の実地確認が義務化

建築物の環境衛生管理、汚泥処理、環境測定・分析、空気触媒の4事業を柱に、多角的な事業展開で“環境ソリューション”を実践してきたエコアス㈱(福岡市博多区東那珂2丁目、大澤清和社長)。設立6年目を迎えた同社では、食品・飲食業界など排出事業者に対する「厨房グリーストラップ(油脂分解装置)」の清掃維持管理と有機性汚泥(産業廃棄物)の適正処理を重点テーマに掲げ、積極的に提案。これまで官公庁、民間の大型商業施設を中心に年間約3千件を超える受注実績を積み重ねてきた。
特に、汚泥処理分野においては、福岡市内唯一の有機性汚泥リサイクルプラント(固液分離式有機性汚泥脱水処理施設)を有した「収集運搬〜処分〜リサイクル」循環型処理システムと水質検査を併用したビジネスモデルは県内外から高い評価を得ており、数少ない有機性汚泥専門の「環境配慮型企業」として、独自のブランド力を確立している。
近年、産業廃棄物の処理(収集運搬および処分)については、排出事業者の責任が年々厳しく問われるようになっており、福岡県では02年12月に「福岡県産業廃棄物の不適正処理の防止に関する条例」を施行。第7条2項に基づき、「産業廃棄物の処理を委託した排出事業者は、当該委託に係る産業廃棄物が適正に処理されるよう、規則で定めるところにより、当該産業廃棄物の処理状況を定期的に確認しなければならない」と定めている。
さらに今年2月には、環境省から「2010年廃棄物処理法改正案」の概要が発表され、国政においても、「排出事業者による処理状況の実地確認の義務化」が制定される方向である。同社でもこれら一連の法改正に対する事業対策を着々と進めており、お客様(排出事業者)に対し、専任の施設管理技術者による詳細説明を付けた「プラント見学コース」を新たに設けた。既に同社には、多くの大手民間企業をはじめ官公庁関係者が実地確認のため訪れており、排出事業者のコンプライアンス(法令順守)強化の重要性を日々指摘し続けている。

排出事業者の実施確認義務化を背景に、同社では今年1月から「プラント見学コース」を新設。専任の施設管理技術者による詳細な説明を実施している

リンガーハット開発と業務提携、
グリーストラップ汚泥処理No.1企業へ

今年4月には、㈱リンガーハットグループのリンガーハット開発㈱(福岡市博多区豊1丁目、秋本英樹社長)と「グリーストラップ汚泥処理」における業務提携が実現。九州各県の「リンガーハット」、「浜勝」など計約250店舗(10年3月末現在)の厨房グリーストラップ清掃、汚泥収集運搬はリンガーハット開発㈱が担当し、収集運搬した汚泥についてはエコアス㈱の「有機性汚泥リサイクルプラント」に搬入、処分する。
処分事業は同4月から稼働しており、各店舗の清掃頻度は毎月1回実施。年間の汚泥処分量は約500㎥に上るという。同社の大澤社長は、「飲食業界の中でも、排出事業者が自ら産業廃棄物収集運搬業の許可を取得し運営することは、排出事業者責任を果たすという観点から極めて画期的なこと。今回の業務提携で、飲食業界と弊社との新たなビジネスモデルが確立した」と語る。
また、今回の業務提携と並行して同社が今年2月より運用をスタートさせたのが「スラッジ(汚泥固形物)処理システム」である。同1月にスラッジ回収装置「エコスラッジ・スーパークリーナー」を導入。有機性汚泥投入後に固液分離した骨や肉片、野菜の切れ端などの食物残渣、その他固形物等を効率良く吸引回収し、回収した固形物を富士開発㈱(鞍手郡小竹町、藤丸隆社長)に搬送。最終焼却処分するまでの新たな処理システム運用が構築できたことで、従来の有機性汚泥堆肥化リサイクルシステムとともに、分別を明確化したサービスの提案が可能となった。
汚泥処理のエキスパートとして、グリーストラップ清掃で県内シェアトップを目指す同社。今後もさらに進化し続ける「エコアスブランド」を提案していく。

今年1月に導入したスラッジ回収装置「エコスラッジ・スーパークリーナー」(右)。同装置の導入で業務効率化と安定した固形回収量の確保、それに伴う焼却処分ルートが確立。新サービスの領域が拡大した

 

大澤 清和 社長
おおさわ・きよかず/佐賀県唐津市出身 1953年4月7日生まれの56歳。法政大学法学部卒。同社は05年5月にISO14001認証を取得後、07年8月、福岡市から「社会貢献優良企業」を認定。趣味はゴルフ、釣り

 

企業DATA
所在地 〒812-0892 福岡市博多区東那珂2-10-55
TEL 092-504-8390
FAX 092-504-8391
設立 2004年4月
資本金 1000万円
事業内容 建築物環境衛生管理業、汚泥処理業、水質検査・空気測定業、空気触媒事業
リサイクルプラント 福岡市博多区西月隈
代表者 大澤清和
従業員 35人
E-mail info@ecoas.co.jp
URL http://www.ecoas.co.jp

(ふくおか経済EX2010年)