FEATURE
イフジ産業(株)
Tag:
東証一部昇格、 「中品種中量生産」で新たな市場開拓へ
3月2日付で東証一部昇格を果たしたイフジ産業㈱。一連の設備投資が完了し、「中品種中量生産体制」が整った。従来の「少品種大量生産」に「中品種中量生産」を加えた展開で新規顧客を獲得し、液卵販売数量は増加を続ける。来期からはその展開を本格化し、新たな市場開拓に乗り出す。
中品種中量生産体制がフル稼働
「東証一部に昇格したといっても、特別に何かが変わるわけではない。これまで以上に業績の安定と向上を目指し、やるべきことを着実に進めるのみ」と藤井社長。東証一部昇格に気負いはなく、視線は常にその先を見据える。
社長就任当初から製菓・製パン中心の「少品種大量生産」に「中品種中量生産」を加えた新機軸を唱え、設備投資を進めてきた。その中核を担う関東工場は総投資額18億円をかけ増設を完了し、2月から本格稼働に入った。年間生産力は1.5倍の3万t。また、以前は福岡の本社工場や関西工場に生産委託していた製品の専用ラインも設置。ユーザーの細かい要望に応じたオーダー生産が可能となり、現地での製販一体体制を確立した。
一方、関西工場には自ら進めた取引で、マヨネーズ向け専用ラインを設置した。業界2例目となる10tタンクローリーで液卵を直接供給する仕組みが軌道に乗り、業務効率が飛躍的に向上。基幹工場として役割を発揮しつつある。両工場とも小ロットの小袋商品ラインを備え、ストアベーカリー向けの供給体制が整った。
一歩遅れていた福岡の本社工場にも昨秋最新割卵機を導入。名古屋工場を含め全工場に配置を終え、4年間で7台の最新割卵機が揃った。「中品種中量生産体制」がすべて整い、来期からフル稼働に入る。
教訓生かし危機管理と体質強化
仕入れ面では生産農家との委託生産が軌道に乗り、全体の15%に当たる年間8,000tの原料卵を安定的に調達できる仕組みを確立した。
1964年に藤井徳夫会長が創業し、試行錯誤を重ねながら72年に同社を設立。液卵メーカーとして第一歩を踏み出した。その後は右肩上がりの成長を続け、2001年8月にジャスダック上場。12年5月には東証2部に上場し、独立系トップメーカーとして不動の地位を確立した。
ただ、その道のりは決して順風満帆ではなかった。近年では鳥インフルエンザの発生や東日本大震災など試練が続き売り上げは伸び悩んだ。その試練を教訓として危機管理体制や経営体質の強化に生かしてきた。
農家との委託契約もその一つで、原料卵不足に伴う価格高騰のなか、原材料の安定調達を目的に始まった。「社長就任時に、売り上げを伸ばすため、まず仕入れを安定させることを考えた」と打ち明ける。
受け継がれるベンチャー精神
第3四半期連結決算は、売上高が前期比1.9%減の108億5,500万円、経常利益が同17.7%増の5億4,600万円。3期連続の増益はほぼ確実で、液卵販売数量は4期連続で過去最高を見込む。「中品種中量生産」がその原動力になっているといえよう。
グループ会社の日本化工食品㈱では「一房総味㈱」を設立し、房総半島に水揚げされた鰹と鯖を手火山式焙乾製法で仕上げた鰹節・鯖節をふんだんに使用した高級和風だしの販売を始めた。即席めんの調味料製造で、メーカー側の厳しい要求に応えてきたノウハウを生かしBtoC市場に挑む。
主力の鶏卵関連事業では「中品種中量生産体制」が整い、新たな市場開拓に動き出す。「製菓・製パン業界以外は当社が踏み込めていない分野で、開拓の余地は十分にある。人口減少で縮小する国内市場だが、新たな市場開拓で持続的な成長が可能」と自信を見せる。増え続ける液卵販売数量は来期5万tに達する見込みで、次の6万tに照準を定める。
独立系トップメーカーの地位を確立し、東証一部昇格を果たした同社だが、創業当初からのベンチャー精神を失うことはない。冒頭のコメントは、さらに先を目指して挑み続ける同社の姿勢を表している。
[CHECK]
同社が市場に供給する液卵を卵に換算すると年間10億個分。実に国民一人当たり8〜9個を口にする計算になる
【DATA】
所在地 〒811-2318 福岡県粕屋郡粕屋町戸原東2-1-29
TEL 092-938-4561
FAX 092-938-5537
創業 1964年4月
設立 1972年10月
資本金 4億5,585万円
事業内容 液卵・冷凍卵の製造および販売、鶏卵加工製品全般・その他惣菜食品の販売
年商 144億7,800万円(2016年3月期連結)
代表者 藤井宗徳
従業員 105人(16年3月末現在)
出先 関東工場(水戸)、名古屋工場(安城)、関西工場(京都)、福岡工場(本社)
関連会社 日本化工食品㈱、一房総味㈱
URL http://www.ifuji.co.jp/
【採用情報】
募集職種 営業・研究開発・生産管理・品質管理
応募資格 大学卒、大学院卒
採用予定 各職種とも若干名
問合せ先 TEL. 092-938-4561
担 当 採用担当 矢上(やがみ)
(ふくおか経済EX 2017より)