FEATURE

ふくおか経済EX 2017

(株)全教研


来るべき教育改革と永続企業に向けたチャレンジの年に

来るべき教育改革に向け、教育そのもののあり方を見直す動きが本格化する中、55年の歴史とグループ力を生かした総合力で質の高い教育サービスを提供。2016年11月には常務取締役だった中垣量文氏が社長就任。新たな舵取りのもとで教育コンテンツの開発と永続企業に向け様々なチャレンジを実践している。

歴史と総合力生かした質の高い教育サービスを

2020年に実施される大学入試制度を含む教育改革を前に、教育現場では今、従来の知識詰め込み型ではなく、知識を活用した論理的思考力や判断力、表現力を身に着ける資質の高い教育サービスの提供が求められている。

そんな中、今年創業55周年を迎える全教研は、多彩な才能開発講座を展開し、素質(個性)と環境(指導力)とやる気の相乗効果を重視する教育方針のもとで、早くから教育の多様化と高度化に対応。2013年8月には学研グループの一員となり、そのグループ力を生かした展開で教育コンテンツの充実に努めてきた。

新たな教育コンテンツが海外での導入実績着々と

今回の教育改革の柱の一つが、小学校でのプログラミング教育の必須化だ。最近では多くの学習塾などが導入を進めるプログラミング教室だが、同社の独自講座「プログラミング道場」は、ただ楽しむだけではなく、より論理的思考で学ぶ質の高い内容に評価が集まっている。

2015年には、これに着目したマレーシアのマハティール元首相の仲介によって、現地の子供たちを対象としたプログラミング教育もスタート。これが呼び水となり、今ではベトナム、台湾に加え、韓国では学校向け教材としての関心が寄せられるなど、アジアでの普及拡大に向けた動きも本格化している。

また英語教育も大きく変わる。同社では「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能習得を目指した専用アプリで英語指導を行う「全教研イングリッシュトレイン」を4月にスタート。授業は新学習指導要領(2020年から順次導入)に盛り込まれるアクティブラーニングにも対応し、生徒が主体となって意見を交わし学ぶことでコミュニケーション能力を育む新たな環境を整えた。

AIを駆使した自立型個別学習システムや最先端の英語学習アプリを積極的に導入

個別指導や既存講座はブラッシュアップ

新たな教育コンテンツの開発、導入の一方で、既存講座・教室のブラッシュアップとイノベーションにも力を入れる。特に需要の高い個別指導部門においては、「エコール」の新規開校に加え、既存6教室では医学部受験に特化した個別指導「医進会」も実施するなど展開を強化。また学研グループで推進するICTを駆使した自立型個別学習システム「PAPILS」を一部の集団型教室で導入しているほか、グループ内を含め全国200以上の学習塾で導入されている読解力育成プログラム「読む蔵(よむぞう)」は、新たなラインナップとして「古文」を開発し、今後の外販ビジネス拡大に向けた期待も高まっている。

ICTコンテンツの開発含めチャレンジの年に

「今期はチャレンジの1年。様々なプロジェクトを立ち上げ、実行していく」。こう抱負を語るのは2016年11月に就任した中垣社長。現在力を入れているICT学習システムの開発では、新たなプロジェクトメンバーに積極的に若手社員を起用しているほか、業務改善や働き方改革、新人事評価制度の推進、階層別研修を含む人材育成の充実など、職場環境に関する社内改革にも着手。社員の参加意識とモチベーションアップを図りながら、全社挙げた様々なチャレンジで永続企業へ向けた強固な経営基盤の構築を進めている。

中垣量文 社長
なかがき・かずふみ/久留米市出身、1956年4月2日生まれの61歳。明治大学工学部機械工学科卒。日之出水道機器勤務を経て88年4月に全教研に入社。90年10月常務、2016年11月社長就任。趣味はスポーツ観戦、読書

[CHECK]

執行役員をはじめ重要ポストに若手社員を積極的に登用し社内の活性化を図っている

【DATA】
所在地 〒810-0042 福岡市中央区赤坂1-15-9
TEL 092-718-0080
FAX 092-718-1555
創業 1962年7月
設立 1977年3月
資本金 1億円
事業内容 学習塾の経営年
年商 45億3,431万円(2016年9月期)
従業員 280人
出先 (学習塾)福岡・佐賀・大分・長崎・山口県内で約70教室
関連会社 ㈱インフィニットマインド
URL http://welcome.zenkyoken.com/

(ふくおか経済EX 2017より)