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㈱新出光
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事業ポートフォリオ変革へ
100周年に向けたプロジェクト始動
今年3月13日に創業83周年を迎えた㈱新出光は、全国約500カ所のサービスステーション(SS)を基盤に、IDEX(イデックス)グループとして関連企業13社を擁して「カーライフ」「エネルギー」「ライフスタイル」の3つの分野で拡大してきた。近年SS淘汰の厳しい環境にあって、07年度から取り組む中期経営計画では、「強い会社として生き残る体制づくり」を目指し、特にトータルカーケアサービスの拡充に努めている。また、将来的に石油需要が減るというリスクに早期に対処すべく、昨年4月には2026年の創業100周年に向けてグループの将来ビジョンを検討するプロジェクト『Target100』を立ち上げ、「事業ポートフォリオの変革」による収益構造の大改革に挑もうとしている。
約500カ所のSSを基盤に3つの分野で事業拡大
現在では売上高3117億円(08年3月期)、1人当たりの売上高は実に約5億円にのぼるが、振り返るとその歴史は決して平坦ではなかった。1926(大正15)年に石油販売業として産声を上げた同社は、激動の昭和史、そして日本のモータリゼーションの進展とともに歩んだ。戦争、敗戦という未曾有の困難の中に翻弄されるも、戦後は55(昭和30)年3月に新出光石油㈱として再スタートを切ると、高度成長、技術革新の中での石油需要の飛躍的増加に伴い大きく成長。89(平成元)年4月には石油業界の大きな変化に対処すべく、関係会社の新光商事㈱を吸収合併し㈱新出光を発足、マーケティング名称の「IDEX」を導入した。
2000年3月には業界初のISO9002認証を全社一括で取得するなど、約500カ所のSSを有する九州のトップディーラーとして、また産業や家庭など幅広い分野へ石油やLPガスを安定供給する全国有数の総合エネルギー商社として、業界をリードする存在となった。
近年は、SSの展開をはじめ自動車整備・車検、新車中古車販売・買取、ベンツ車の販売、カーリース、レンタカーなどの「カーライフ」分野や、社会・産業・家庭と幅広い分野へエネルギーを安定供給する「エネルギー」分野に、保険代理、レンタルビデオ、人材派遣、事務用品・OA機器販売などオフィスや家庭で暮らしと繋がる「ライフスタイル」分野を加えた3つの領域で事業を拡大している。特に01年4月からは「ソリューション(提案型)営業」に力を入れ、グループの総合力を生かした展開を図っている。
「攻め」と「守り」の経営を強化
07年度からスタートした中期経営計画では、「収益基盤」「人財力」「コスト削減」「財務体質」「リスクマネジメント」の5大強化策に取り組み、特にトータルカーケアサービスの拡充に努めている。初年度の07年度に業務効率化に一定の目処が立ったことから、08年度は「攻め」と「守り」の経営をさらに強化するため、組織変更を実施した。
「攻め」においては、カーライフ部に店舗・業態開発の専従部署として「店舗開発課」を新設し、従来のカーライフ課を「サービスステーション課」としてSSに特化した部署と位置付けた。さらに中古車事業チームを「カーライフ事業課」として格上げし、それぞれが専門性をもってシェアや収益基盤の拡大を図る体制を整えた。また、産業エネルギー部では、中期経営計画の重点課題である「本州地区の強化」の一環として仙台と高松に営業所を新設。東北、四国両地区でも地域に密着した展開を図っている。
一方で支援本部に、さまざまな経営リスクに対するヘッジを一括管理する「リスクマネジメント部」とリスク関連規定の運用、内部統制、社内監査、法務対応、個人情報保護などを管轄する「コンプライアンス課」を新設し、経営上の「守り」の体制も固めた。
さらに昨年は、5月に長崎県の㈱高尾石油店をグループ会社化。これにより、従来の仕入先だった元売4社に加え、出光興産㈱とも正式な特約店契約を締結。新たな仕入先が増えたことは、今後の「攻め」と「守り」の両面で大きな力になるだろう。
グループの将来ビジョン検討する『Target100』始動
また、昨年10月には従来の仕入先である九州石油㈱が最大手の新日本石油㈱と合併し、新日石との取引も開始。さらに、今年10月にはその新日石と㈱ジャパンエナジーを抱える新日鉱ホールディングス㈱が経営統合を予定するなど、ここに来て業界再編が加速しそうな気配だ。
一方で、政府の調査によると、第一次エネルギーの主力は今後も石油であることに変わりはないが、そのシェアは2000年の約48%から2030年には約38%にまで下がるという予測もある。同社ではそうした最大のリスクにどう対処していくかを早期に検討し、事業ポートフォリオを変革させて収益構造を変えていくため、昨年4月に100周年に向けてグループの将来ビジョンを検討するプロジェクト『Target100』を立ち上げた。
近年、LNG(液化天然ガス)や太陽光発電システムの販売を開始するなど新エネルギー分野に取り組んできたが、今後はその一層の拡販や新規事業・新商材の発掘を図るとともに、石油偏重の投資判断やグループ会社を含めた既存事業を見直す方針だ。もちろん、現在の基幹事業は石油販売業であり、その収益基盤のもと将来事業に投資できるわけだから、石油事業も、非石油事業もそれぞれ重要な役割を担うことになる。また、その意味でも、本体、グループ会社の分け隔てなく、グループ社員1人ひとりが重要な使命を担い走り続ける必要がある。グループ総力を挙げて「事業ポートフォリオの変革」という、それこそ“100年に1度の”大変革を成し遂げたときに、さらに強いIDEXグループへと変貌しているに違いない。
出光 芳秀 社長 福岡市出身。1937(昭和12)年4月26日生まれ。早稲田大学商学部卒。97年6月の社長就任以来、IDEXグループを率いる |
企業DATA
【所在地】〒812-0036福岡市博多区上呉服町1-10
【TEL】092-291-4134
【FAX】092-271-0958
【創業】1926年3月
【設立】1955年3月
【資本金】5億円
【事業内容】石油製品の販売
【年商】3,117億円(08年3月期)
【代表者】出光芳秀
【従業員】624人
【出先】(支店)九州5ヵ所、東京、名古屋、大阪、広島(SS)直営122特約店349計471カ所
【関連会社】㈱新出光パジェット・レンタリース、㈱シュテルン福岡など13社
【URL】http://www.idex.co.jp
採用情報
●募集職種:営業総合職
●応募資格:全学部全学科
●採用実績:08年度26人(大卒15人、高卒11人)、09年度28人(大卒16人、高卒12人)
●問い合わせ先:フリーダイヤル0120-376-182
●担当:人事部人事課
(ふくおか経済EX2009年)