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ホールディングス化で躍進「建設業界のIT化」へ切り込む

サイディング施工業で創業した小野純一郎社長が、住宅メーカーやＩＴ企業をグループとしたＯＮＯホールディングス㈱を設立した。“住”に関するトータルサービスの提供を目指すとともに、「建設業界特化型のビジネスマッチングサイト」という全く新しい事業に挑戦。業界の新たな時代を築く―。

“住”のトータルサービスを提供

1997年4月、とある企業の事業部を引き継ぐ形で小野社長が創業した、サイディング施工の「小野サイディング」。2003年には有限会社化、08年には壁面における角の加工に特化した㈱角匠を設立するなど事業を拡大してきた。近年では、M&Aや業務提携で新築注文住宅やリフォームなど不動産分野にも着手し、総売上30億円規模まで拡大。そして、2017年10月にホールディングス化に踏み切った。
現在は、㈱角匠や新築注文・建売住宅、リフォームの㈱フクワ、ライフォート㈱、電気工事業の㈾中江電気建設、ワールド電気産業㈲など住宅のあらゆる分野に特化する関連会社と連携体制を構築している。「2020年までに売り上げ100億円を目指したい」と小野社長。“住”に関するトータルサービスの提供で、さらなる事業拡大へ弾みをつける。

建設業界のビジネスマッチングサイト

また、今回のホールディングス化において新たな挑戦となるもうひとつの事業が、4月から運用を開始する「建設業界に特化したビジネスマッチングサイト」だ。「建設業界は縦の繋がりと地域の繋がりが非常に強く、横の情報共有が難しい。人員が余っている地域と人手不足の地域の差が開き、“とりこぼし”の状況が起こっている」とし、それを打開するためにも「建設業界のIT化が必要不可欠」と小野社長は断言する。
そこで同社が考案したのが同サイトである。サイトに登録すると、全国の案件を容易に確認することができる仕組みだ。だが、運営に向け懸念されたのが「IT知識の少ない職人への浸透」だった。実際にこれまでにも他社が運営するサイトの存在はあったが、定着したのは仕事や職人の数が圧倒的に多い関東のみ。そのため、定着への足掛かりとして、まずは今ある現場の業務を少しずつシステム化できるような機能をサイトの付加価値として提供。さらに、“住”の分野に関わる主婦や子ども、家族、またスポーツといったさまざまな方向に向けたコンテンツを増やすことで、情報が集まる“地域のプラットフォーム”を創造していくという。

独自の人材育成が成長の鍵

「いかに利益を追求できるかが重要。社員一人一人に“稼ぐ”という考えを定着させていくことが自己成長に繋がる」と小野社長。同社では、フレックスタイム制を採用するとともに、給料も出来高による年俸制を導入している。これも、建設業界の流動的な勤務環境を熟知し、創業から現在まで会社の成長に果敢に挑戦してきた小野社長の「自分の力で成功をつかみ取ってほしい」という思いだ。実際に社員の多くは、自分の働き方を見つけ高い収入を維持しているという。また、昨年から新卒採用も開始。管理や経営の部署に配属し、将来的に関連会社の社長を任せられるような人材を育成している。
一方、2017年春には、全国的にも珍しいサイディング施工の研修センターを開設し、職人の育成にも注力してきた。3〜4カ月で現場に送り出すカリキュラムを提供しており、メーカーやパワービルダーも視察に訪れるという。今後は他社からの案件も受け入れ本格的な研修事業として展開を見据えている。「業界の底上げに貢献していきたい」という決意を胸に、同社の挑戦は続く。

小野 純一郎 社長 おの・じゅんいちろう／北九州市八幡西区出身。1975年6月19日生まれの42歳。高稜高校特進科卒業後、建設現場での経験を経て、27歳で小野サイディングを創業。その後、法人化を経て起業規模を拡大し、2017年10月にONOホールディングス㈱を設立した。趣味はゴルフ

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