国内外のツアーを企画し九州の旅行業活性化へ

今年創立25周年を迎えた旅行業の㈱アドツーリスト。年中無休営業の安心感を強みに、法人向け航空券予約システム「トルパ」は出張費や航空券手配などの間接コストが削減でき導入が広がる。さらに第1種旅行業者に登録変更し“九州発”の魅力的な国内外ツアーを企画し、九州の旅行業の活性化を図る。

第1種旅行業者に登録変更国内外の旅行を主催

インターネットの普及で誰もが簡単に航空券や宿泊先を手配できるようになり、旅行会社の存在意義が問われる今、アドツーリストが企画する“コア”なツアーが好評だ。

同社では15年に国内外の旅行を主催できる第1種旅行業者（観光庁長官登録旅行業 第1990号）に登録変更し独自商品を開発。今年1月に発売した、アメリカへの皆既日食観測ツアーは発売後1分で完売した。

第1種への格上げは第2種や第3種、旅行業者代理業と異なり、観光庁への申請が必要で営業保証金や基準資産など、登録要件のハードルが高い。これをクリアしたことで企画できる商品の幅が広がり、150社の提携旅行会社に多様な提案をし、九州の旅行業を活性化する。栗田社長は「普段旅行に行かない人が行きたくなるような企画で、人生最大の思い出作りをサポートしたい」と語る。

販売開始後1分で完売した「アメリカ皆既日食観測ツアー」

出張コスト最大3割削減し航空券手配も簡素化

法人向けの航空券予約システム「トルパ」は、出張コストだけでなく航空券手配などの間接コストも削減する。もともと個人向けにサービスを提供していた航空券予約システム「スカイウィンドウ」を応用し法人需要を掘り起こしているところだ。現在、導入企業は150社に上り、中には出張費を最大3割削減したところもあるという。

法人別の専用サイトに登録すると簡単に予約でき、代理で購入した場合には出張者のメールアドレスに航空券情報が届くシステムを構築。管理を一元化できるため、出張者の行き先把握や一括精算も可能にした。

予約画面では主要航空会社各社の料金を一括表示し、最安値を選んで購入できる。また搭乗便の変更にも対応できるシステムで、飛行機の待ち時間短縮や出張先での急な案件対応など業務効率化をサポートする。

「トルパ」予約画面。各航空会社の値段が一度に比較でき、予約も簡単

一体感生まれる社員旅行を提案

近年、社員間の円滑なコミュニケーションやモチベーションアップの観点から見直されつつある社員旅行。リラックスした雰囲気の中で交流し意外な一面を垣間見るなど、社員同士が打ち解け、旅行後には社内に一体感が生まれることから実施企業が増加しているという。同社でも今年3月、社員旅行で北海道に向かいその良さを実感しているところだ。

「社員旅行の実績がないお客さまにも積極的に提案し、中小企業ならではのスピードで対応していく」と意気込む栗田敬一朗取締役。365日対応できる安心感を強みに営業を強化していく。また、ハワイ専門旅行会社「アロハセブン」と提携しインセンティブツアーなどにも対応する。

「修理固成」（つくりかためなせ）を経営理念に、試行錯誤しながら新サービスや商品を一つひとつ創り上げ、今年で創立25周年を迎えた。

社内では入社年次に関係なく商品企画のアイディアを出し合い、トラブル対応などを学ぶ自主勉強会を開く。その一方で登山や農業体験など、自然と触れ合うイベントも開催。さらに年1回、国内どこにでも行ける往復航空券を進呈するなど、社員自らが体験し、刺激を受けることでこれまでにない旅を生み出していく。

顧客の喜びや驚き、感動を創造するための挑戦はこれからも続いていく。

栗田裕生 社長
くりた・ひろき／鞍手郡鞍手町出身。1950年9月22日生まれの66歳。趣味は農業

[CHECK]

毎年春と秋に開催する登山は社員の家族も参加しアットホームでにぎやか。「山頂の食事は格別」と栗田社長

（ふくおか経済EX 2017より）