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設立50周年、海外拠点強化でグローバル展開加速
コンクリート用金網を製造販売する福岡金網工業㈱は今期で設立50周年を迎える。昨年6月の社長交代で若返りを図り、新体制で新たなスタートを切った。九州・山口に製造工場6拠点を置き、海外初拠点となるインドには新工場を建設している。昨年9月には現地法人を設立するなど、グローバル展開にも弾みをつける。
インドに現地法人設立、新工場建設で海外展開強化
1934年、金属原料商として発足後、1961年からコンクリート用金網の製造・加工・販売をスタートし、今期で設立50周年を迎える福岡金網工業㈱。九州・山口圏内に多くの拠点工場を配備したことで輸送コストを低く抑えることを強みに、さまざまな要望に対応できる体制づくりで、厚い信頼を寄せられるまでに成長を遂げた。
昨年6月、父で現会長の山本健重氏からバトンを引き受けた山本崇裕社長。「社内体制の若返りとともに、生産拡大に注力していく」という方針のもとインドのグジャラート州に新工場を建設中で、6月の稼働を目指している。1年半ほど前から取引先が保有する工場内に製造機械を置き、現地製造に取り組んでいた同社。新工場の稼働により、これまで以上に海外拠点での生産拡大に力を注いでいく。
また、新工場の着工時期に合わせて昨年9月、インドに現地法人「FUKUAMI WIRING INDIA」を立ち上げ、現地需要に対応する体制も構築した。「インドは今後インフラが整備されていくタイミングなので、需要の伸びが期待できる。いままで日本国内で経験してきたことを、このように遠く離れた異国の地で生かせる機会に感謝し、インドの発展に貢献していきたい」と意気込む。
国内工場の設備投資で生産性強化
一方国内工場では、九州・山口で主要工場6拠点をメーンに稼働するなかで、各地域のニーズに応じた設備投資にも積極的に取り組む。特に長崎地方では、猪を捕獲する箱罠や漁師が魚を獲る際に使用する魚カゴの受注にも応えるため、稼働を停止していた工場を再稼働させた動きもある。
昨夏には、熊本工場に5000万円を投じて設備を導入。護岸や砂防ダム、造成地の施工で使用できるデコメッシュ(埋設型枠)の製造ラインを設けて製造を開始するなど、生産性強化に取り組む。
福岡市内での実績も多数
近年ニーズの高まりを見せているのは、建物の1〜2階の間の床を補強する床用金網「ファブデッキ」だ。建設需要の増加を背景に伸びてきた傾向もあるが、設置に手間がかからないことから、特に建設労働人口の減少による人手不足を解消できる点でも需要が増えている。福岡市内では物流倉庫への採用や、改装中の福岡空港、東区アイランドシティの福岡みらい病院、九大伊都キャンパスなどへの実績があり、今後の需要も期待できる。
産業用ロボット導入も視野
コンクリート2次製品用の金網(鉄線・鉄筋加工)製造を主として歩んできた同社。現在、既存工場で年間合計4000トンを生産しているが、従業員の高齢化が進んでいることが今後の課題だという。「次の50周年を目指し、労働環境の改善や品質の安定化を考えていきたい。将来的には産業用ロボットなどの導入も含め、製造ラインの機械化を目指したい」と先を見据える山本社長。
創業から変わらぬ「金網一筋」の精神で、ものづくり技術の向上と継承に努めながら、グローバルな視野で活躍できる企業へと成長していく。
[CHECK]
1934年に「山本松商店」として創業し、金属原料商として事業をスタートしたことが同社のはじまり
(ふくおか経済EX 2017より)