COMPANY

人とロボットの共生・協働社会の実現を目指す

（写真左）オゾン発生器搭載の自律走行ロボット「タクミクリン」
（右上）世界最大規模のロボット専門展「2022国際ロボット展」
（右下）「TiTra G」によるピッキング後の個別搬送デモ

搬送ロボットの企画から設計・開発、製造、アフターメンテナンスまで一貫して提案する㈱匠（たくみ）。昨年4月に開設した技術開発センター（博多区東那珂）に続き、今年は名古屋に拠点を開設予定。運用やメンテナンス・アフターフォローの充実を図る。「Robot More Familiar-ロボットをより身近に-」を追求し、今後も市場を牽引していく。

市場のニーズに合ったロボットを開発

数年前までは、人々の生活や企業活動において、ロボットの活用は構想段階でしかなかったが、自動化やDX化が進み、国もロボットの実運用に向けた取り組みを進めている。後藤社長は「人とロボットの共存は遠くない。当社としては、国産の自律搬送ロボットメーカーとしてのプライドを持ち、市場に合った製品づくりのコンセプトを組み込みながら質を高めていく」と思いを語る。昨年12月には建設現場での資材運搬を想定した「低床型1tAGV(仮称)」を発表。可搬重量は1トンで、前後左右、斜め、スピンターンで全方向への走行に加え、SLAMにもカスタマイズが可能だ。建設現場にとどまらず、より多くの資材を運搬できるよう各方面への導入を進めていく。
2月には東証一部上場で情報通信業などのFIG㈱（大分市、村井雄司社長）を引受先とする第三者割当増資を実施し、3億円の資金を調達した。FIGグループが培ってきたIoT技術やマシーン技術との提携を深め、搬送ロボットのさらなる普及に努める。

業界初、オゾンの力で除菌・脱臭

昨年4月から生産を開始したオゾン発生器搭載の自律走行ロボット「タクミクリン」。同ロボットは周囲の地図情報や障害物を検知する「SLAM技術」を活用し、無人環境下で自走しながらオゾンを噴霧。2020年5月に奈良県立医科大学によって新型コロナウイルスの不活性化が確認されたCT値60をベースにオゾン除菌する。オゾン発生器は、優れた技術力と実績を持つ、オーニット㈱（岡山県赤磐市・日本オゾン協会認定企業）製のオゾン除菌脱臭機「剛腕ツイン」のオゾナイザーを搭載。「もともと東京オリンピックの開催に向け、18年から除菌・滅菌ロボットの開発に着手していたが、タクミクリンは夜間に無人で除菌できる点がコロナ禍でのニーズにマッチする」と力説する。メンテナンスは月1回の掃除と年1回のフィルター交換のみ。「福岡県IoT認定製品」に認定され、県からの支援も受けながら、学校や病院、商業施設などへの本格導入に向け、各施設で試験導入を進めている。今後は有人環境下でも使用可能な濃度に調整できる小型化タクミクリンの開発にも力を注ぐ。

（写真）今秋リリース予定の「TiTra S」（左）と「TiTra G」（右上）

搬送ロボットTiTraシリーズは用途に応じてカスタマイズが可能

20年4月から販売している「TiTra（ティトラ） G」は、人が棚まで歩いてピッキング作業していたものを、ロボットが棚を運ぶことで、人の移動時間を削減。車体寸法や車体重量の異なる2タイプで、最大積載量は各500、1000㎏。床面に敷設した2次元コードを読み取りながら走行し、誤差＋－10㎜の停止精度を誇る。コンベヤなど他設備との連携にも適し、工場や倉庫で導入が進む。
今秋には「TiTra S」のリリースを控える。先端のSLAM技術、AIを駆使した走行制御により、周囲の壁や柱の形状を認識し、事前に登録した地図情報と重ね合わせながら搬送するタイプ。床面への敷設物は不要で、地図情報にない障害物に対しても、止まる・避けることができる。また、オフィス向けオーダーメイドSLAMロボットや、細かい仕分け作業現場などへの導入を視野に、軽量タイプ（10㎏程度）の搬送ロボットも計画中という。

後藤元晴 社長 ごとう・もとはる／大分県宇佐市出身。１９６８年３月２１日生まれの５４歳。ロボット技術が急速に発展していく中で “産業ロボットの将来性”を確信し、２０１５年に同社を設立。趣味はテニス

採用情報
募集職種／ソフトウェア設計、電気回路設計、ファームウェア設計、機械設計、営業、経理
応募資格／大卒以上
年間休日／120日以上
問合せ先／TEL.092-707-3620
担当／永冶（ながや）

（ふくおか経済EX2022年）