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保育園、幼稚園探しの新プラットフォームを開発

人材派遣事業や保育・企業主導型保育コンサル、ICT事業など幅広く展開し、3期連続で過去最高売上高を更新し続けている。新たな事業の柱として10月から、保育園探しのプラットフォーム「エンクル」をリリースし、保育園側が保護者をオファーする仕組みを確立、2028年までにグループ売上高100億円を目指す。

人材派遣事業を主軸に売り上げを伸ばし、24年3月期の全体売上高は前期比129％の45億円と過去最高を更新する見通しで大幅増収となる。全体売り上げのうち、半数以上を人材派遣事業が占めており、特に昨年は自社の派遣登録サイト「TOMIYO JOB（トミヨジョブ）」が好調だった。さらなる売り上げの底上げを図るべく新たな事業の柱となる新サービスの提供を今年秋から開始する。
サービス名は「エンクル」。同社が2017年から取り組む保育事業において、保育園を探す子育て世代と保育園の双方をつなぐプラットフォームを新たに開発した。「はじめての子育て、初めての保育園探しで親が直面する課題はさまざま。例えば、毎日通える距離なのだろうか、仕事が忙しくなったらどうしよう、など。そうした不安を抱えているが、それを解決できる十分な情報を得ることは難しい。『人気のある園をつくってしまうと空きに偏りが出てしまう』といった理由から、自治体は保護者に人気の園を伝えない傾向にある」と綾部社長は現状と課題を説明する。
新サービス「エンクル」に保護者が登録し、希望する保育園のエリアなど、さまざまな条件を入力しておくとだけで、「エンクル」に登録されている保育園から保護者に直接、オファーが届く仕組みとなっている。例えば、保育園の通園バスのルートが保護者の指定する条件に当てはまる場合、「通園バスがご指定のエリアを通過するので入園をご検討ください」のようなオファーが保育園から届くイメージという。プラットフォーム内のメッセージはラインのような機能でやり取りがしやすいといい、「空きが出ました」などの情報も、予め通知設定をしておけば、随時お知らせが届くようになっている。「直接オファーする仕組みなので、これまで園児募集にかかっていたコストを削減できる」と、保育園側のメリットも大きい。
加えて、保育園側が保護者にポイントを付与できる制度を設けており、保護者側は貯めたポイントを電子マネーとして利用できる。毎年、保育料を下げることが難しい保育園側が、例えば入園する園児が少ない年は、毎月ポイントを付与して還元するというもの。「空きが出れば通知でお知らせが届き、マップ機能でアクセスルートも確認できる。見学日記という機能を活用すれば、他の保護者が評価した内容を見ることができるほか、自身が見学した複数の園も記録でき、比較表も作成できる」とメリットを話す綾部社長。家族にも簡単に情報を共有できるため、保護者たちが負担に感じることなく楽しみながら園探しができる点も魅力的だ。保育園側にとっては、保護者からの見学予約をウェブ上で完結でき、メッセージ機能で見学後のフォローなどが可能となるため、手間がかからないというメリットがある。
同プラットフォームは保育園側が有料で、初年度は全国の保育園を対象に無料で利用可能。保護者へのオファー連絡などに別途費用が発生する。今後は同プラットフォームを10月に開設する予定で、運営は4月1日に別会社として法人化した「ENBI（エンビ）」が担う。保育園探しのインフラ整備により、同社が目標とする「2028年までに売上高100億円達成」が実現できそうだ。
「人材派遣や職業紹介事業、保育園運営や保育コンサル、ICT事業など総合的に取り組んできた当社だからこそ提供できる新サービス。悩める保護者たちが保育園選びの煩わしさから解放され、子どもと家庭に向き合う時間と笑顔を増やし、家族がもっと幸せになっていく世の中をつくっていきたい」と綾部社長は目を輝かせた。

綾部光希　社長 あやべ・ひろき／福岡市中央区出身。1989年9月26 日生まれの3４歳。福岡工業大学卒。大学時代にIT・通信事業で起業。2014年に富世グループに統合。その後保育事業、コンサル事業、ICT事業を立ち上げ17年に取締役、18年常務、20年代表取締役社長に就任。趣味はゴルフ、船釣

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（ふくおか経済EX2024年）