30億円かけ新工場 特殊車両、環境プラント量産へ

4期連続増収を続ける三友機器㈱では、30億円をかけた新工場のプロジェクトを進行中。家畜などを運送する際の特殊車両、有機物を急速堆肥化するプラントといった近年力を注ぐ新規事業の量産体制を築き、両事業をさらに飛躍させる。また、新工場建設に合わせ、グループ全体で人材獲得に注力している。

17年売上高は120億円突破

創業から43年、主力の食品包装プラントを基軸に成長を続けてきた三友機器㈱。同社が40年前に開発した茶葉を抽出するニーダーは、お茶成分抽出の自動化・大量生産化を実現した国内初の機械で、後に開発したコーヒーの成分を抽出するドリップ式コーヒー抽出機と並び、国内シェアの90%以上を占める看板製品となった。
そうした確かな技術とノウハウを他の分野でも応用し、新規事業として取り組んできた結果、売上高は92億円（15年12月期）、110億円（16年同）、120億円（17年同）と順調な伸びを見せている。そして、新規事業の中でも成長著しい、特殊車両事業、環境プラント事業の製造能力を大幅に引き上げるため、投資額30億円をかけた新工場プロジェクトを進めており、用地取得の最終段階を迎えている。

工場建設に合わせて毎年10人採用

同社が特殊車両事業に参入したのは2012年、後継者不足で譲渡先を探していた㈱小西ボディーと太陽ボデー㈱を取得し、両社を合併させて、三友ボディー㈱（糟屋郡久山町猪野、竹平元彦社長）を15年に立ち上げた。当初は食品包装の得意先であるボトルメーカーの運搬車などを製造していたが、畜産環境プラントでネットワークがあったJAや養鶏場向けに家畜運搬車を開発。同年に久山町に新工場も建設し量産体制を整えると、取引先の事業拡大に伴い、受注は右肩上がりを続けている。市場が小さいにも関わらず成長を続ける実績が評価され、経済産業省の「地域未来牽引企業」にも選定された。
「前期は三友ボディーだけで売上高14億円を突破した。特殊車両は競合も少なく、発想次第でさまざまな分野の企業に提案できるので、営業にも力を注いでいきたい」と語る河内会長。事業拡大と新工場に合わせて新卒採用にも力を入れ、毎年10人程度を雇用する計画だ。

海外展開進めるコンポ富士

もう一つの成長分野、環境プラント事業で躍動するのが、養鶏・養豚場で発生する家畜ふん尿や汚泥などの有機物を急速堆肥化するプラント「コンポ富士」。1台あたり2,000万円以上する同製品だが、国内だけで100台以上販売するまでになった。工場はフル稼働が続いており、建設する新工場で量産体制を整えていく。
並行して取り組むのが、コンポ富士の東南アジア展開。鶏肉や卵は宗教に関係なく消費されるため、同地域では養鶏場が増え続け、農場は巨大化し、その一方で、中間層の増加により宅地開発が進み、農場周辺にも住宅地が出来つつある。臭い対策や環境意識の高まりなどから有機性廃棄物処理のニーズが高まっている。
同社では15年に海外1号案件としてベトナムに納品して以降、フィリピン、タイ、インドネシアの現地企業と代理店契約を結び、販路を拡大。直近ではバングラディッシュの養鶏場に2台を納品した。
「廉価な中国、韓国製品もあるが、縦型コンポとしては世界最大の処理量を誇る性能や日本メーカーの技術力への信頼も相まって、各国から引き合いが増えている」と話す河内会長。中国の現地企業とのライセンス契約も大詰めを迎えており、実現すれば、東南アジア向けの製造拠点として機能させ、一気に販路を拡大していく考えだ。

河内 旭 代表取締役会長兼CEO かわうち・あきら／熊本県山鹿市出身。1946年1月9日生まれの72歳。65年㈱三友工業所入所。75年、当時の北九州コカ・コーラなど3社からの推薦で三友機器販売㈱を設立、常務取締役就任。95年専務取締役。98年代表取締役専務。2007年社長に就任。13年から代表権のある会長を務めている。14年に経営者賞、16年に「はばたく中小企業・小規模事業者300社」を受賞した。趣味はゴルフ

【採用情報】
募集職種／技術職
応募資格／短大、専門、高専、大学、大学院新卒見込み、同既卒（2016年以降）
採用実績／2016年度6人、2017年度6人
採用予定／6〜10人
（三友機器）問合せ先／TEL.092-711-8858　担当／上田
（三友ボディー）問合せ先／TEL.092-976-1761　担当／船越