COMPANY

商品企画力を強みに創業70周年

（写真上）増築オープンした眺山庭の別館
（下段）左から、全室掛け流しの内湯付き、竹素材を使用した「BAMBIO」、紙パウダー配合の「PULPEACE」

モロフジホールディングス㈱の中核会社で包装資材メーカーの㈱モロフジは1953年の創業から今年で70周年を迎えた。群馬工場に食品包装専用のラミネート機を導入するなど設備投資を図るほか、グループ会社が経営する温泉宿が増築オープンするなど、包装資材の垣根を越えた事業拡大に力を入れる。

「諸藤紙店」という紙の卸会社から始まり、分社化や合併などを経て1989年に㈱モロフジを設立。包装資材の企画、製造販売を中心に、包装業界のトップランナーとして地域とともに発展し、特許を取得した商品は20以上となるなど、商品開発力を強みに成長してきた。取引先企業数は飲料メーカーや製薬会社などを中心に2万社を超えており、製品のうち9割が自社オリジナル商品であることも支持される理由のひとつだ。九州、福岡エリアにとどまらず、県外では東京・大阪・名古屋に営業拠点を置き、全国各地からの受注に迅速対応する体制を構築。また製造拠点は、グループ会社・㈱モロフジケミカルが熊本県南関町、群馬県伊勢崎市で運営する国内工場3カ所、そして海外には中国、タイ、ベトナムに製造拠点を置く。

食品パッケージ強化へ

手提げ袋のポリ製品製造を中心に、直近では群馬工場に食品包装に特化した機械「ノンソルベントラミネート機」を新たに導入した。5月からの本格稼働を控え、今後は食品パッケージの展開に力を入れていく。諸藤社長は「食品包装のニーズが増えてきたこともあり内製化を図った。納期短縮、価格競争力の向上、そして事業領域の拡大を狙っていく」と目標を語る。
今回の設備導入の投資額は2億3千万円。本格稼働後は群馬工場単体で初年度1億5千万円、2年目以降で2億円以上の売り上げ増加を目指すという。食品包装に特化した専用機械を導入したのは初の試みで、その背景には、同機械が環境対応商品を製造できる点にある。接着部分の溶剤が不要であることから無公害で環境に配慮した製品をつくることができる。
環境配慮という点でみると同社ではこれまで、プラスチック使用量を削減して紙パウダーを配合した手提げ袋「PULPEACE（パルピース）」や、竹粉末をプラスチックと配合した「BAMBIO（バンビオ）」（いずれも商標登録済み）、石灰石を活用した「ＬＩＭＥＸ（ライメックス）」、さとうきび由来の資源を利用したグリーンポリエチレンなど、世の中の動きに先駆けてさまざまな製品の独自開発に取り組んできた。過去には、ポリ袋とカップホルダーが一体となったドリンク持ち帰り袋「キャッチバッグ」が特許を取得するなど輝かしい成果を残しているほか、包装資材のＥＣ事業も早々に手掛け、インターネットでの通信販売を実現させた。自社通販サイト「イチカラ」や、段ボール受注の専門サイト「モロフジダンボール」、短納期・低価格・小ロットのカラー印刷ポリ袋のセミオーダーサイト「スピーディバッグ」のほか、今回新たに、シルク印刷に特化した専門サイト「モロフジ名入れ印刷.com」を開設するなど新たな動きもある。これらの自社通販サイトからの受注は増えているといい、EC事業の売り上げは前年比50％増と好調に推移している。

（写真上）新たに導入した食品包装専門のラミネート機 （下）モロフジケミカル群馬工場

温泉宿「眺山庭」の別館を増築

一方、グループ会社で宿泊事業のM.Ｓｔｙｌｅ㈱が運営する温泉宿「山鹿温泉 小さな丘の宿 眺山庭（ちょうざんてい）」が3月11日、別館を増築オープンした。本館の隣接地に5室からなる別館を建設し、全室に掛け流しの内湯を完備した。長屋タイプの広々とした部屋で、部屋ごとに内装、風呂が異なる点が特徴だ。同時に本館3階の客室空間を広くしたほか、シモンズのベッドを採用するなどしてリニューアルした。「眺山庭は全室内湯付き。別館は各部屋20畳で定員2〜5人と広々。ゆっくりと温泉を楽しむ時間を過ごしてもらいたい」と諸藤社長は笑顔を見せる。
包装資材の企画製造、販売にとどまらず通販、物流、農産物、宿事業などさまざまな分野に挑戦しながら発展を遂げてきた同社。今後も事業領域の幅を広げながら次なるステージを駆け上がっていく。

諸藤俊郎 社長 もろふじ・としろう／みやま市瀬高町生まれ、太宰府市育ち。1977年4月21日生まれの45歳。東京都立大学経済学部卒。卒業後、証券会社に入社し営業部、2004年に㈱モロフジに入社し営業部、06年常務取締役を経て16年8月に社長就任。趣味はキャンプ、テニス、海水浴

（ふくおか経済EX2023年）