NEWS

EVの実車部品250点を揃えた常設展示場 県中小企業振興センター


週刊経済2023年12月12日発行号

展示部品活用した「電動化道場」

福岡県中小企業振興センター(福岡市博多区吉塚本町)は11月1日、地元自動車関連サプライヤー向けのEV分解部品の常設展示場「EVパーツギャラリー」を開設した。
福岡県と中小企業振興センターは、昨年7月に「電動化分野」(EVやハイブリッド車など)への地元サプライヤーの参入を支援する「自動車関連企業電動化参入支援センター」を開設しており、今回の展示場開設は同センターの機能強化の一環。電動化分野参入を目指すサプライヤーが、実際にEVの部品を手に取って確認することで、製品開発等のイメージを具体化することを目的としている。展示している部品数は約250点。約470万円をかけて日産「SAKURA」等で実際に使われている主要部品、モーターやバッテリー、インバーター等を購入・分解。手に取って形状等を確かめられる状態にしたほか、全部品の詳細な重さ等も一覧化した。営業時間は平日10時~16時。利用料は無料だが、事前の電話予約が必要。
また、分解部品の現物や動画を活用し、県内各地域で技術講習等を行う「出前電動化道場」を展開していく計画で、11月7日には第1回を北九州市の福岡県工業技術センターで開催。12月5日には、直鞍産業振興センターで第2回を開催している。
政府は2035年までに「電動車率100%」を目指すという目標を掲げており、国内自動車メーカーでは急速な「EVシフト」が進んでいる。電動化参入支援センターへの相談件数も、初年度が28件、今年度はこれまで57件と着実に増加しており、経営支援部の鶴祐一自動車産業支援課長は「電動車に限った部品展示場はおそらく九州唯一で、モーターやバッテリー等の『内部』を確認できる状態まで分解されたケースは、国内でも非常に希少」と強調。「電動化分野への参入を考えるサプライヤーは是非一度、訪れてみてほしい」と呼びかけた。