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ふくおか経済EX 2022

(株)福岡リアルティ


バランス重視で資産規模2,500億円目指す

 

(写真)3月1日に取得した「博多筑紫通りセンタービル」

福岡・九州“地域特化型”リート、福岡リート投資法人は今春新たにオフィスビルを取得。今後もオフィスビル、物流施設等に重点を置いて資産規模の拡大を目指す。その資産運用を担う福岡リアルティでは、同投資法人のホームページや統合報告書のブラッシュアップも進め、投資家への情報開示の質を向上させている。

筑紫通りのオフィスビル取得

福岡・九州“地域特化型”リート、福岡リート投資法人は3月1日、福岡市博多区博多駅南2丁目のオフィスビルを取得した。  名称を「博多筑紫通りセンタービル」とし、規模は8階建て延べ床面積約8,622㎡、基準階貸室面積は約799㎡(約241坪)。築30年の物件だが、大手ゼネコンの竹中工務店による施工で、OAフロア、個別空調、エレベーター3基、立体74台・平置16台の駐車場を完備している。同日時点での賃貸借契約済を含めた稼働率は96.7%とほぼフル稼働状態だ。福岡市が再開発を進める「博多コネクティッド」のエリアに近接、博多駅から徒歩約8分の距離で利便性も高い。  同社の資産を運用する福岡リアルティの古池社長は「立地が良く、1フロアの面積が周辺のオフィスビルより広いという強みがある。今後テナントとの契約更改や入れ替え時にマーケット賃料に近づけることで、さらに収益向上、内部成長が見込めると判断した」と語る。  今回のオフィスビル取得によって福岡リート投資法人の資産規模は約2,063億円となった。同社では当面2,500億円規模を目指して資産の拡大を図っている。  その方向性について古池社長は「福岡リート投資法人が保有する資産は、キャナルシティ博多をはじめとした商業施設のウェイトが高い。現在のコロナ禍においては、リスク分散の意味も含め商業以外のアセットを積み増してバランスを取っていきたい」考えで、メインスポンサーである福岡地所とも協業しながらオフィスビルや物流施設、賃貸住宅などを軸に取得を進める方針だ。

(図上)ホームページに付加したチャートジェネレーター
(下)統合報告書のCEOメッセージ

HP充実度ランクで最優秀に

また、昨年リニューアルした福岡リート投資法人のホームページが、日興アイ・アールの「2021年度全上場企業ホームページ充実度ランキング」において、総合ランキング・業種別ランキングで、ともに最優秀サイトに選ばれた。同社ホームページでは、開示情報がすぐに分かるようニュースリリースを掲載し、投資口価格もトップページで確認できるなど、見やすさの向上に力を入れた。  さらにサイト内検索結果の表示を関連度順と日付順に切替ができる機能や、チャートジェネレーターも掲載するなどのマイナーチェンジも加え、機能の充実や投資家が知りたい数値、情報を伝達する仕組みを進化させている。

統合報告書第3弾を発行

昨年末には3号目となる投資家向けの統合報告書を発行した。今回、古池社長のCEOメッセージを新たに加えたほか、各部門リーダーからのメッセージもボリュームアップした。また環境・社会・組織に関する課題への取り組みは、投資法人、運用会社別に分かりやすく表示した。  一方でサスティナビリティ方針と取り組みにあたっての重要課題に関しては、具体的な数値目標を設定するまでには至っていない。他にも統合報告書を発行する上場企業が出始めている中、古池社長は「次回の統合報告書、あるいは決算IRの資料の中で、数値目標なども公表したい」と、情報開示のレベルをさらに引き上げていく考えだ。

古池善司 社長
こいけ・ぜんじ/福岡市出身、1962年10月11日生まれの59歳。九州芸術工科大学(現 九州大学芸術工学部)卒業。88年4月㈱福岡相互銀行(現 ㈱西日本シティ銀行)入行、91年8月福岡地所入社、21年6月24日付で福岡リアルティ社長に就任。趣味はゴルフ・ランニング

 

【DATA】
㈱福岡リアルティ
所在地/〒812-0018 福岡市博多区住吉1-2-25
TEL/092-272-3900 FAX/092-272-3950
設立/2003年12月 資本金/2億円
事業内容/福岡リート投資法人の資産運用(不動産の取得、運用、資金調達など)従業員/40人(21年8月)
URL/https://www.fukuoka-realty.jp

福岡リート投資法人
上場日/2005年6月21日 銘柄コード/8968(東京証券取引所、福岡証券取引所)
TEL/092-272-3900
決算期日/毎年2月末日、8月末日
URL/https://www.fukuoka-reit.jp

(ふくおか経済EX2022年)