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基礎素材産業、半導体関連は今後も堅調 髙田寿一郎


週刊経済2022年12月20日発行

㈱高田工業所社長に聞く

―11月に発表した第2四半期決算は、売上高、利益ともに大幅増、この業績については。
髙田 主力である化学プラントの定期修理工事が多い年にあたることに加え、エレクトロニクス関連設備の建設工事が増加したため前年同期比では増収となったが、ほぼ年初の予想通りの数字でもある。一方で外注費、資材、レンタル・リース等、様々な価格が上がっているが、工事の価格に転嫁し切れていない面もあるので、今後改善していきたい。利益は予想を下回ったが、計上時期が予定より遅れたためで、その分は下期には計上されてくると予想している。
―今年を振り返ると。
髙田 今年に関しては、コロナ禍よりも原材料等の価格高騰が大きかった。我々もエネルギー価格や資材、人件費の上昇によるコスト増などの影響を受けた。一方で我々の顧客である基礎素材産業に関しては、円安で業績も良いため、今後も設備の維持、保全、新規の設備投資への期待はできる。
―新年の見通しは。
髙田 ウクライナ侵攻の状況次第で世界情勢、世界経済がどう動くか、我々にどう影響するのか見通しは難しいが、鉄鋼、化学など基礎素材産業の設備は、稼働している以上、メンテナンスは必要なので、今後も忙しいかと思う。また世界的な半導体不足を受け、関連の設備投資も今後数年は増加し、市場は活況が続くと見ている。九州電力の原発再稼働に関わる案件は来年度で一段落する。今後は、ほかの原発の再稼働がどうなるかの情報収集が課題になる。
―今後の取り組みについて。
髙田 人手不足が続いているので、リクルート対策として八幡西区に独身寮を新設する。24年6月末頃の完成予定で、今どきのワンルームタイプで各戸風呂・トイレ付きなので、若い方に受け入れられる仕様だと思う。
―DXへの取り組みは。
髙田 DXと社内業務のIoT化の2つの面で取り組んでいる。DXはそれを使って事業につなげるものであり、資料の電子化やペーパーレス化などが業務のIoT化と捉えている。DXの点で言うと、ポンプ、コンプレッサーなど回転機の電流情報量診断に数年前から取り組んでいるが、改良を重ね、次第に浸透してきており、明かりが見えてきた感がある。先々がちょっと楽しみになってきた。建設、メンテ工事においては、例えばタブレットで工程管理を顧客と共有するとか、足場を組んで人が登る代わりにドローンで撮影をするといった活用もある。しかし、現場の最前線では、どうしてもまだ人手に頼る部分が大きい。
―社内業務のIoT化は。
髙田 将来的には、IT企業のようにフリーアドレス化して、パソコンがあればどこでも仕事ができるようにしたいが、それを実現しようとすると、もっとペーパーレス化などを進める必要がある。