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重要課題は生産性向上とコスト高対応 九電工


週刊経済2022年8月30日発行

佐藤社長インタビュー抜粋

㈱九電工(福岡市南区那の川1丁目)の佐藤尚文社長は、本誌9月号「地場主要企業トップインタビュー」に応え、今後予定している本社機能の一部移転や、昨今の世界情勢の影響、対応策などについて語った。主なやり取りは次の通り。
―2024年12月に完成予定の「(仮称)新福岡ビル」への入居に向けて、西日本鉄道㈱と「定期建物賃借予約契約」を締結した。天神にオフィスを設ける目的は。
佐藤 本社ビルは築46年が経過しており、災害発生時の事業継続性や、コロナ禍で変化したオフィスのあり方、環境配慮の観点からも、天神の一等地に開発される最新鋭のビルに本社機能の一部を移転することが最適だと判断した。どの機能を移すかは、現本社ビルや近接する福岡支店ビルをどう活用していくのかを含めて、検討を進めているところ。
―22年3月期の連結決算は、2期連続の減収、3期ぶりの増益となった。
佐藤 減収となったのは、新型コロナの感染拡大が始まった20年に大幅に受注が落ちた影響によるもの。こうした中でも利益率を改善し増益となったのは、デジタル技術を活用した工程管理などの成果だと思う。
―24年度までの中期経営計画で3年目となる今年度の重点施策は。
佐藤 テーマは「環境変化に適合した業務改革の実践」。ニューノーマルやカーボンニュートラル、環境経営などのさまざまな変化に対応していくため「業務改革の実践による生産性の向上」と「材料費・人件費の高騰を反映した価格交渉の推進」を最重要課題として、全力で取り組む。
―今期決算は、連結売上高が前期比22・2%増の4600億円、経常利益が0・5%増の370億円、当期純利益が4・6%減の250億円の予想。大幅増収を見込む要因は。
佐藤 佐世保市で取り組んでいる「宇久島メガソーラー事業」の進行のほか、経済活動が「ウィズコロナ」に移行してきたことを反映し、昨年の受注が好調に推移した。すでに進行中の案件も複数あり、売り上げは伸びると見ている。
一方、利益面は非常に厳しい状況。上海のロックダウンや円安、ウクライナ侵攻など世界情勢の影響で、資材の納期遅延や値上がりが出てきている。早めの発注や、新たな調達先の確保などさまざまな対策を進めている。