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海外不動産事業でフィリピンに初進出 西日本鉄道


週刊経済2022年8月9日発行

共同で低層マンション77棟462戸開発

西日本鉄道㈱(福岡市博多区博多駅前3丁目、林田浩一社長)は海外不動産事業でフィリピンに初進出し、同国アンティポロで現地住宅デベロッパー・アクセイア デベロップメント コーポレーション(以下アクセイア社、ポール・H.タンチ代表)と共同で実需向け低層マンションを開発する。来年7月に着工し、2024年5月完成予定。
今年度までの現中期経営計画の重点戦略として海外不動産事業の収益拡大を推進する西鉄では、現在ベトナム、インドネシア、米国、タイの4カ国で住宅・収益不動産などを展開。フィリピンは長期的な経済成長と人口に対する労働力が豊富な状態である「人口ボーナス」で堅調な住宅需要が見込める有望な市場として、今後の海外不動産事業において重要な国の1つになると位置付け、事業拡大を図る。
第1弾の開発はアクセイア社と共同で約4ha(約4万974㎡)の敷地に中間層向けの低層マンション77棟462戸を開発するプロジェクト。開発地、アンティポロは首都マニラ中心地から東へ約20㎞、車で約35分の距離に位置し、マニラへの通勤が便利な土地で、人口は約88万人。高台に位置するため周辺地域より涼しい気候で、住宅街が多く、中心には商業施設や路面店もあり居住環境が整っており、歴史的建築物もあるため観光客の流入も盛んで、賑わいのある地域という。
アクセイア社は1982年設立。資本金約16億円(グループ全体、2021年現在)、従業員234人(グループ全体、22年7月1日時点)。マニラ郊外で低~中間層向けの戸建て住宅を年間2千~3千戸程度開発。西鉄では、フィリピンの住宅市場を熟知する有望な事業パートナーとしてアクセイア社と今後も戦略的に連携し、同国での不動産開発を進めていく方針。

新福岡ビルに「イノベーションキャンパス」創設へ

西日本鉄道は7月27日、2025年春に開業を予定する(仮称)新福岡ビルに、CIC(ケンブリッジ・イノベーション・センター。本社・米国マサチューセッツ州、ティム・ロウCEO)運営の「イノベーションキャンパス」を創設する方針を発表した。
イノベーションキャンパスとはスタートアップ企業の成長を支援する目的のオフィススペース。CICは世界4カ国・8都市で9万㎡以上の同キャンパスを運営しており、2020年10月にアジア初となるキャンパスを東京に開設していた。新福岡ビルへの開設が実現すれば、アジア・国内2拠点目の施設となる。福岡市は約10年前に国家戦略特区「福岡市グローバル創業・雇用創出特区」に指定され、創業支援施設「フクオカグロースネクスト」を運営するなどスタートアップ・起業家支援に力を注いできた経緯があり、アジアに近接する地理的特性なども踏まえて進出を決定したという。新福岡ビルについて、具体的なテナント情報が発信されるのは初めて。
新福岡ビルの交流拠点と位置付ける、7階のスカイロビーエリアに施設を設ける計画で、面積は約3500㎡。プライベートオフィス、コワーキングスペース、会議室、キッチンや授乳室、仮眠室などのアメニティースペースを設ける。CICの特徴である、投資家などを集めた交流イベントを定期的に開催していく予定のほか、地元大学との連携も視野に入れていくという。
林田社長は「アジア・世界とつながるイノベーションのエコシステムを新福岡ビルで形成したい」と期待を込めた。日本語で会見に応じたティム・ロウCEOは「パーフェクトなパートナーとビルを得て、福岡に進出できて嬉しい。起業家が多い福岡で、CICのグローバルネットワークを役立てていきたい」とコメントした。