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1年半ぶりに低下し3・0%に 東京のCBRE調べ


週刊経済2022年1月12日発行

福岡市のオフィス平均空室率

2021年第3四半期(7~9月)の福岡市のビル(延べ床面積が3300㎡以上で新耐震基準に準拠したビル)のオフィス平均空室率は、前期(2021年第2四半期)から0・2ポイント低下して3・0%となった。6期(1年半)ぶりの低下。
事業用総合不動産サービスのシービーアールイー㈱(東京都千代田区)の調べによるもの。同社では「建設・土木関係、IT関連、コールセンターなどの業種を中心とした拡張、分室の案件が成約したことが、低下の要因と考えられる」としている。緊急事態宣言下の昨年9月、福岡市が主導する再開発事業「天神ビッグバン」の規制緩和第1号案件「天神ビジネスセンター」が竣工。全国的には新築物件の内定率・稼働率が高くない中、さらにはコロナ禍で企業の動きが鈍化している状況下でも、竣工時のテナント内定率は約90%という高稼働となった。「募集賃料も福岡のマーケットでは、これまでにない高価格帯設定だったものの『テナント内定率約90%』という実績は、その条件設定が決してマーケットを逸脱するものではないことを表し、改めて福岡の都市としての強さやポテンシャルの高さを示すものとなった」(同社)。
福岡では「天神ビジネスセンター」を皮切りに、21年から25年にかけて約26万㎡(8万坪)の新規供給が予定されている。その多くは24年12月期~25年度にかけての供給になるため、24年9月期までの影響は限定的と考えられるが、ここ5年の間に新規供給だけでも20%近く、福岡のオフィス総面積が増える形となる。一方で「IT関連、コールセンター業を中心に大型面積を必要とする一定程度の根強いニーズはあるものの、新規供給ビルへの移転に伴う優良な2次空室の発生など、テナントは選択肢が増え、オーナーは価格競争につながる競合物件が増える可能性が高い。テナント・オーナーともに、よりよい選択・決定のためには、常に市場の動きを的確に把握する必要があるだろう」と分析している。
想定成約賃料については対前期比0・2%上昇の1万6200円/ 坪( 共益費込)と、5期ぶりに上昇した。新たに供給されるオフィスがマーケットを全体的に押し上げていることも背景にあるが、堅調なテナント需要が下支えしていると考えられる。一方で、コロナ禍を通じたコスト意識の高まりから、募集賃料が2万円/坪(共益費込)を超えるオフィスについては、空室が長期化する事例も見られるという。