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天神ビックバン1号案件の天神ビジネスセンターが完成 福岡地所


週刊経済2021年10月12日発行

19階建て、総貸床面積は約3万9千㎡

地場総合ディベロッパー・福岡地所㈱(福岡市博多区住吉1丁目、榎本一郎社長)が、同市中央区天神1丁目で開発を進めてきた「天神ビジネスセンター」が9月30日に完成、10月4日に竣工(しゅんこう)式を実施した。
天神1丁目・明治通り沿いに完成した「天神ビジネスセンター」は、福岡市が都心部のオフィスビル建て替えを誘導する施策「天神ビッグバン」の1号案件として、2019(平成31)年1月に着工、航空法の高さ制限緩和や、市独自の容積率緩和制度などを活用し、建設が進められてきた。敷地面積は約3917㎡。鉄骨、一部コンクリート造り地上19階・地下2階建てで、延べ床面積は約6万1100㎡。2階から19階までがオフィスフロアで総貸床面積は約3万9279㎡、基準階貸床面積は2368㎡。ビルの高さは約89メートル。オフィスには、NEC(東京都港区、森田隆之代表取締役執行役員社長兼CEO)が九州の主要拠点を移転・集約するほか、㈱ジャパネットホールディングス(長崎県佐世保市、髙田旭人代表取締役社長兼CEO)がホールディングス機能の一部を東京から移転する。また、世界各国で経営コンサルティング事業を展開するボストンコンサルティンググループ(東京オフィス・東京都中央区、日本共同代表・秋池玲子氏、内田有希昌氏)のオフィスやシェアオフィスなどが入居、1階商業ゾーンにはアウトドアアパレルブランドの「patagonia(パタゴニア)」、地下鉄や天神地下街と接続する地下2階は因幡町通りの地下に位置することから「天神イチチカ」と名付けられた飲食ゾーン(11店舗)として22年春に開業する。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、市が打ち出した感染症対応シティにも対応、換気や除菌、非接触などの最新設備を導入している。自然災害やBCP対応では、福岡で供給されたオフィスビルの中で従来にない大規模免震構造を採用、法定の1・5倍を誇る耐震性能を実現したほか、72時間対応のデュアルガスタービン発電機を設置、非常時のテナント専有部の電力供給、エレベーターや共用部照明の稼働、トイレが利用できる機能も備えている。
竣工式であいさつした榎本一郎社長は「アクロス福岡以来26年ぶりにトップが入れ替わることになる」と切り出した後、「西日本ビルを取得し一つのエリアで開発を進めようと決めたのが13年前。天神ビッグバンがオフィスビルの開発が難しい状況に風穴を開けてくれた。天神ビジネスセンターは福岡らしい、天神らしい、世界のどこにもないオリジナルなオフィスビルとして完成した。東京や世界でも生み出せない価値を作れるようしっかり支えていきたい」とあいさつした。また、福岡市の高島宗一郎市長は「天神ビッグバンで竣工したビルはこれまで42棟、天神ビジネスセンターは43棟目となるが、天神ビッグバン1号案件として完成した。県民所得向上や支店経済から脱却できる機会になってほしい」と述べた。