NEWS

イムズの「イズム」、新しい天神にも 古場治イムズ館長


週刊経済2021年9月14日発行

8月末日閉館セレモニーあいさつ

8月31日、情報・文化の発信拠点として福岡をリードしてきたイムズ(福岡市中央区天神1丁目)が32年の歴史に幕を下ろした。夕刻に開催した閉館セレモニーでの古場治館長のあいさつは以下の通り。

「本日でいよいよ閉館。2019年1月に閉館発表し、それから2年半という長いようで短い、あっという間の時間が過ぎてこの日を迎えた。近づくにつれて多くのご来館者から温かい言葉をいただいたり、長年パートナーとして力添えしてくださった皆様から励ましをいただいたりしたが、明日以降、天神の街からイムズがなくなってしまうという現実を、当事者である私でさえもいまだに半分受け入れなれない状態だ。

イムズビルの特徴をよく聞かれるが、その時に思い出すのは、ちょうど私が大学生のころ、イムズの広告ポスターに掲げられていた「日常美術館」というキャッチコピー。当時は「常にアートがあふれる場所」という意味だろうと捉えていて、漠然と「いつもアートにあふれているイムズ」にあこがれていたが、その後、縁があってイムズで働くことになり、「日常美術館」の本当の意味とは、良き日常、皆様一人一人の毎日の暮らし、日常を素敵にすること、それが美しいアートであって、イムズはそのお手伝いするのだということに気づいた。

世の中の半歩先を行くカルチャー発信を信条として、さまざまなイベントを展開してきたイムズだが、実はお客様一人一人のかけがえのない日常に寄り添い、その日常をよりよいものにするためにそっと背中を押す存在であり続けたいという想いこそがイムズの真骨頂であり、イムズ「イズム」であったような気がする。イムズのイズムが新しく生まれ変わる新しい天神の街、そして福岡の未来にさらに優しく降り積もっていくことを祈念する」

イムズを運営する三菱地所グループでは、2022年度中の新築工事着手を目指し、「感染症対策を踏まえた安全・安心なまちづくりと、高付加価値なビルへの機能更新」を両輪とした建て替えプロジェクトを進めている。