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築地太田、日本通運と連合し輸出販路を拡大 アキラ水産


週刊経済2021年8月24日発行

5年後輸出額30億円を目指す

福岡市中央卸売鮮魚市場における仲卸地場大手の㈱アキラ水産(福岡市中央区長浜3丁目、上田浩祐社長)は、8月3日付で豊洲市場仲卸の㈱築地太田(東京都江東区豊洲6丁目、太田秀彦社長)、総合物流業を手掛ける日本通運㈱(東京都港区東新橋1丁目、齋藤充社長)と3社連合し、海外受発注システムを活用した鮮魚輸出プラットフォームを構築。日本各産地の水産品を「ジャパンブランド鮮魚」として輸出販路拡大を目指すプロジェクトを開始した。
これは日本の農林水産物・食品の輸出拡大を図る取り組みを支援する農林水産省の方針に基づき、同省が掲げる「令和3年度海外フードバリューチェーン再構築緊急対策事業」に3社企業連合「グローカル・フード・マーケット・コンソーシアム(以下、GFMC)」のプロジェクトが採択されたもの。新型コロナ禍の影響で外食産業の低迷や水産物輸出の落ち込みなどを受け、3社の強みを生かした新たなビジネスモデルを構築することで「コロナ禍やアフター・コロナにおける日本産鮮魚の輸出拡大に向けた需要創出を図る」(GFMCプロジェクト)のが狙い。
GFMCの強みは、アキラ水産がグループ6社を有し鮮魚介類の仲卸や加工販売を展開。タイやブリなど豊富な九州の魚種を多彩にコーディネートする事業実績があるほか、2006年には九州の鮮魚仲卸として初めてISO9001認証を取得。現在は食品安全マネジメントシステム「ISO22000」や流通加工段階認証「CoC MEL」の取得を目指している。築地太田は豊洲市場有数の水産仲卸の1つで、今年設立65周年を迎える老舗。現在、輸出事業では約20都市、同600店舗規模に拡大している。同市場内には対米HACCP認証取得の高度衛生加工施設を所有し、自社で海外受発注システム「Tsukiji OFM System」を開発。海外バイヤーとの直接取引を実現し、輸出業務の自動化を図っている。2020年11月には豊洲市場仲卸初となるマリンエコラベル認証「CoC MEL」を取得。また、日本通運は国内外に幅広いネットワークを有し、物流改善や物流コスト削減、鮮度保持など輸送課題に対するソリューションを提案。全国の産地から出荷される生産貨物を航空・トラック輸送ネットワークを活用し、新鮮な状態で海外消費地に届ける物流ノウハウを有している。
今後、GFMCではアメリカやベトナム、シンガポールの3カ国を対象に事業展開するほか、将来的には農産品や加工食品を視野に「生鮮品輸出サプライチェーン・プラットフォーム」を構築。5年後には輸出額30億円を目指す方針。