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コロナ関連支援、新銀行など重点施策に手応え ふくおかフィナンシャルグループ


週刊経済2021年8月24日発行

「みんなの銀行」2カ月で8・5万口座

㈱ふくおかフィナンシャルグループ(福岡市中央区大手門1丁目)の柴戸隆成会長兼社長はふくおか経済9月号インタビューに応じ、コロナ禍が続く中での対応や、4月に設立した取引先支援の新会社、今年度までの第6次中期経営計画の進ちょく状況などについて語った。主なやり取りは次の通り。
―コロナ禍が長期化している。取引先への対応は。
柴戸 傘下3行のコロナ関連融資は、これまでに約3万1千件、合計で8千億円に上る。中小企業の貸出年率は7%に達した。緊急的な資金繰り支援という面では、峠を越えたと見ている。
―4月にSDGs支援の子会社㈱サステナブルスケール、投資専門の㈱FFG成長投資を設立した。これらの狙いは。
柴戸 2007年4月のグループ設立と同時に「CSR経営」を実践してきた。この考えを踏襲・進化させ、全社横断でSDGsの達成に貢献する「サステナビリティ方針」を策定した。サステナブルスケールでは、SDGsの取り組みを適切に評価し「見える化」することで、地域社会や取引先におけるSDGs推進をサポートする。
FFG成長投資では、地場企業の事業承継ニーズや、コロナ禍を契機とした事業再生ニーズがこれまで以上に増加すると見込み、お取引先へのソリューション機能を充実させる。規制緩和によって銀行グループによる株式取得が可能になったため、株主として、より能動的に事業の回復や成長に寄与することができる。
―5月にサービスを開始した「みんなの銀行」の状況は。
柴戸 7月末時点で、アプリのダウンロード数が19万件、口座開設数は8・5万件と、順調な滑り出し。狙い通りのデジタルネイティブ世代が中心で、口座開設可能な15歳から、39歳までが全体の約7割を占める。初年度に40万口座、3年後に120万口座を計画している。2年目からローン商品の取り扱いを開始して残高の積上げを図り、3年目の黒字化を目指す。
―21年度は現在の第6次中期経営計画の最終年度。進ちょく状況は。
柴戸 スタートから2年間を振り返ると、主要施策・新型コロナ対応ともに、期待を超える成果を上げている。昨年10月に発足した十八親和銀行でも、事業承継やデジタル化支援、販路開拓などの支援先数が、経営統合前から大きく増加している。
―今後の九州経済の見通しは。
柴戸 ワクチン接種の進展などによる回復が期待される一方、業種や地域によっては厳しい状況が継続する「K字型」が予想される。金融業界も低金利の長期化など、環境は決して楽ではないが「変革や成長の好機と捉え、難局を切り拓いていこう」と従業員に伝えている。現場でも自律的・主体的な動きが見られるようになってきた。