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6月の景気判断、7カ月連続で据え置き 日本銀行福岡支店


週刊経済2021年6月29日発行

輸出・生産を中心に持ち直し

日本銀行福岡支店(福岡市中央区天神4丁目、冨田淳支店長)は6月21日、6月の九州・沖縄の金融経済概況を発表した。
景気全体の基調判断は「厳しい状態にあるものの、輸出・生産を中心に持ち直しつつある」として、前月から据え置いた。据え置きは7カ月連続。主な項目別では、個人消費は「持ち直しの動きが一服している」と判断。今年春以降に新型コロナウイルス感染が再拡大し、年初よりも感染者数が多く措置も厳しいものとなったことから、対面型サービスを中心に下押し圧力が強まった。その中でも家電販売を中心とした耐久消費財や、巣ごもり需要関連の消費は堅調に推移しているという。また「持ち直している」とする生産(鉱工業生産)では、電子部品・デバイス、汎用・生産用・業務用機械が半導体関連向けを中心に増加した一方で、自動車は世界的な半導体需要の高まりによる供給制約の影響を受けて、生産水準を引き下げる動きが見られたため減少。食料品は飲食店向けを中心に「弱含んで推移している」とした。輸出は生産同様、半導体関連を中心に高水準で推移。5月の輸出額(九州経済圏)は前年を上回った。
冨田支店長は「感染症の動向については先行き不透明感が強く、引き続き注視していく必要がある。一方で足元ではワクチン接種も進んでおり、企業へのヒアリングでは、旅行や宿泊施設などの予約の動きが出始めるなど前向きな変化も聞かれている。福岡県では感染者数が減少傾向にあり、6月20日をもって緊急事態宣言が解除された。7月以降もこの状況が続けば、データとしても裏付けられる形で、経済活動や消費の回復が出てくるのでは」と見通しを示した。