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倒産件数が9カ月連続で前年下回る 帝国データバンク


週刊経済2021年4月27日発行

福岡県の企業倒産集計3月

帝国データバンク九州支店(福岡市中央区舞鶴)がまとめた福岡県の3月の企業倒産件数は、前年同月比30・3%減(10件減)の23件と9カ月連続で前年同月を下回った。負債総額は、同364・1%増の82億7900万円と、3カ月ぶりに前年同月を上回った。
業種別では、小売業(9件、構成比39・1%)が最多となった。以下、サービス業(4件、同17・4%)、建設業、製造業(各3件、同各13・0%)が続いた。前年同月との比較では、卸売業(2件、同8・7%)、運輸・通信業(1件、同4・3%)など5業種で減少し、前年から増加したのは、小売業のみ。地域別では、福岡地区が16件(前年同月比128・6%増)、北九州・筑豊地区が4件(同63・6%減)、筑後地区が3件(同50・0%減)となった。
帝国データバンクが毎月実施している「TDB景気動向調査」(2021年3月調査)によれば、福岡県の景気DIは38・4と、2カ月連続で改善した。福岡県は、3月21日に不要不急の外出自粛と飲食店等の時短要請が解除されており、DIも2カ月連続で改善しているが、企業からは先行きを不安視する声もいまだ多く聞かれる。  福岡県の3月の企業倒産件数は、約3分の1を「新型コロナウイルス関連倒産」が占めた(23件のうち8件)。従来のコロナ関連倒産の傾向として、政府などから支援を受けていたものの、支えきれず事業継続を断念した企業が大半となっている。これまで全体件数に占めるコロナ関連倒産の割合は低く推移していたが、このまま増加傾向が続けば全体件数を押し上げる要因になりうる。福岡では、繁華街を中心に夜間の人出が増えてきており、飲食店をはじめとするサービス業の業績回復が期待される。しかし、他の都市圏でリバウンドの兆候がみられることを考慮すると、福岡県でも再び増加に転じる懸念は大きい。感染者を増やさず経済を回復させることが難しい現状において、ワクチン接種でどれだけ感染者数を抑えられるのかが重要となってくるだろう。