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商業地は上昇率縮小も福岡、熊本2県で上昇 九州地方整備局


週刊経済2021年4月6日発行

令和3年地価公示・九州各県の概要

九州地方整備局は3月23日、2021(令和3)年1月1日時点の地価公示のうち、九州7県の概要を発表、地価変動率は前年比で上昇幅が縮小したものの、商業地で福岡、熊本の2県、住宅地では福岡、佐賀、熊本、大分の4県で上昇したことが分かった。
各県別で県全体の平均変動率を見ると、商業地では福岡県が前年比でプラス2・4。6年連続の上昇となったが、前年比に比べて4・3ポイント減と上昇が続いた6年間で初めて上昇率が縮小した。新型コロナウイルス感染症の影響で、土地利用が飲食店などに限定されているエリアや、売り上げをインバウンドに依存していたエリアの地点がマイナスに転じたことや、住宅地同様に割高感が顕在化したことで上昇率縮小となった地点が増加した影響が大きかった。26年ぶりに上昇へと転じた08年以降、4年連続で上昇を維持した熊本県は前年比3・3ポイント減のプラス0・2。熊本地震後の復興需要や都心部の再開発などによって地価は持ち直したものの、復興需要のピークアウトやコロナ禍、豪雨災害の影響で再び弱い動きとなっている。新型コロナの影響で感染者のクラスターが多く発生した歓楽街や接待を伴う飲食店街などでは賃料支払い猶予や減額要請、空き店舗の増加が見られているという。福岡、熊本を除く各県では、長崎県が昨年のプラス1・2から1・6ポイント減のマイナス0・4と上昇から下落、昨年までは3年連続で上昇していた大分県は前年のプラス1・1から1・5ポイント減のマイナス0・4と4年ぶりに下落に転じた。宮崎県と鹿児島県の平均変動率は宮崎県がマイナス0・7からマイナス0・9に、鹿児島県はマイナス0・9からマイナス1・4と下落幅が拡大した。佐賀県の変動率はほぼ横ばいで変動率は±ゼロだった。
各県別の住宅率の変動率を見ると、福岡県は7年連続上昇となったものの、上昇幅は前年のプラス3・5からプラス1・5、3年連続で上昇した佐賀県も上昇幅がプラス0・6からプラス0・3、4年連続で上昇した熊本県と大分県は、熊本県が前年のプラス1・1からプラス0・4、大分県ではプラス1・3からプラス0・6と上昇幅は縮小したものの、プラスを維持した。一方、長崎県は昨年がプラス1・2だったものの、今年は再びマイナス0・4と下落に転じた。宮崎県は0・1ポイント減のマイナス0・3と依然として下落傾向、鹿児島県は下落幅が0・2ポイント拡大し、マイナス1・1と23年連続で下落が続いている。