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ふくおか経済EX 2020

(株)else if(カムラックグループ)


障害者のIT人材を育成、企業価値を追求しさらなる挑戦へ

(写真左上)活気あふれる開発現場(右上)else ifで働くスタッフ
(左下)「and F」プロジェクトの説明会(右下)3月に開設した「おおいたオフィス」

ソフトウェア開発などを手掛ける㈱else if (エルスイフ)は、障害者就労支援事業の㈱カムラックと協業し、障害者のIT人材の育成に携わってきた。近年は、ノーマライゼーションな働き方を意識した採用プロジェクト「and F」を推進。2020年3月には大分拠点を開設するなど、エリア展開も加速している。

IT×障害者のスキームで差別化

ソフトウェア開発などを手掛ける㈱else if(髙森啓二社長)は、ITに特化した障害者就労支援を展開する㈱カムラック(賀村研社長)の関連会社として2015年に設立。else ifが受注した案件の一部をカムラックに委託し、障害者スタッフに技術教育をしながらHP制作やWebデザインなどのプロジェクトを共同で進めてきた。そうすることで、else ifにとって社会貢献性という付加価値が加わり、カムラックは安定した仕事を確保し高水準の給与を障害者スタッフへ支払うことができるという、独自のスキームを確立している。
2社の取り組みは、IT業界や障害者就労支援の業界からの関心も高い。近年、民間企業における障害者の法定雇用率が引き上げられるなど、各企業の対応力が求められており、IT業界も例外ではない。一方で、障害者のIT人材が少なく採用に悩みを抱える企業は多いのだ。髙森社長は、「障害者スタッフも、健常者と引けを取らない能力がある。お客さまからも品質面で高評価をいただいてきた」と自信を覗かせる。
また、障害者の就労支援に力を入れる大分県からの企業誘致を受け、3月にはelse ifが大分市西大道町2丁目に「おおいたオフィス」を開設。今後拠点機能を強化し、まずは10人体制を目指す考えだ。

ノーマライゼーションを実現、存在価値の高い会社づくり

カムラックグループが推進するのは、障害者の活躍だけではない。「ノーマライゼーション」の考えのもと、エルスイフでは18年から、女性のIT技術者などを対象とした採用プロジェクト「and F(アンド エフ)」を始動した。育児などでIT業界を離れていた女性技術者が、時短勤務や在宅ワークなどで働ける環境づくりを推進するものだ。「多様性から価値を見出すソフトウェア会社を目指していきたい」と髙森社長。定期的に開催する会社説明会では女性を中心に多くの参加者が集まっているという。

相談支援事業所を開設、教育機関などから相談受付

カムラックグループは、障害者支援の幅を近年急速に広げてきた。  13年に就労継続支援A型事業所の1拠点でスタートしたカムラックだが、現在はA型事業所2拠点に加え、17年には就労移行支援事業所を開設し、就労に必要な知識・能力の向上を目的とした訓練や就職活動支援も手掛けている。
また、19年4月に、福岡市から指定特定相談支援事業者の認可を受け、「カムラック未来支援事業所」を開設。障害者やその家族、高校などの教育機関から就労支援の利用に関する相談を受け付け、計画書の立案や関係機関との連絡調整などの支援を手掛けている。「障害者が社会で活躍するための入口と出口を用意した。ノウハウと実績が強み。まずは一度相談に来ていただければ」と賀村社長。今後は就労継続支援B型事業所も展開していくという。
「IT業界を変えていこう」という想いでスタートした同グループ。会社としての存在価値を追求し続け、さらなる高みを目指していく。

髙森 啓二 ㈱else if社長(左)
たかもり・けいじ/大分市出身。1972年8月18日生まれの47歳。大分県立情報科学高校卒業後、大手システムインテグレーター会社に就職。約20年勤務し、福岡拠点の責任者などを務め、2015年8月に同社を設立した
賀村 研 ㈱カムラック社長(右)
かむら・けん/愛媛県伊予郡砥部町出身。1972年1月31日生まれの48歳。日本大学農獣医学部卒業後、東京で大手ゼネコン、ITベンター企業に勤務。その後福岡でシステムエンジニアリングサービス会社などを経て2013年10月に同社を設立した

 

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担  当/藏田

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担  当/西島・河野
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