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ふくおか経済EX 2020

(株)シティアスコム


デジタルサービス本格化で顧客企業の「業務革新」を支援

独立系ICT企業で九州最大手の㈱シティアスコムは、2019年度に始動した中期経営計画でサービス分野拡大という事業構造の変革に取り組むとともに、デジタルサービス本格化で顧客企業の「業務革新」を支援するサービスを拡充している。加えて、グループ10社のシナジー発揮でさらに高みを目指している。

創立50周年迎える九州有数のICT企業

1971年に創立し、来年創立50周年を迎える㈱シティアスコムは、独立系のICT企業として、金融系や流通系、製造系の業務システムの開発とシステムの運用・保守を中核事業として成長してきた。現在では社員数470人超、ICT系を中心とした資格保有者は延べ1,000人超と九州有数のICT企業に成長している。中核事業で得たノウハウと技術力を活かし、自社パッケージ製品として展開する学校法人向けシステム「TOMAS-PS」は、製品化後30数年を経て、現在では全国422法人・約1,300校に導入。そのシェアは県内で81%に達し、九州では61%、全国でも25%と順調に顧客数を増やしている。

デジタルサービス事業への変革にチャレンジ

19年度に開始した中期経営計画「Challenge to the next」は2年目に入り、本格的に事業を転換する時期に入った。経済産業省が18年9月に「DXレポート」で指摘したDX(デジタルトランスフォーメーション)への乗り遅れで生じる企業の危機、いわゆる“2025年の崖”に対応するため、中計最終年度(21年度)のデジタルサービス事業の売り上げ比率を全体の半分近くまで伸ばす計画で、事業構造の変革にチャレンジする。
変革を推進するために、昨年度新設した「デジタルイノベーションサービス本部」が中心となり、働き方改革法施行後、急速に進む効率化や生産性向上に対応したソリューションの展開で、顧客企業のDXを支援している。1つは17年に自社でも導入したOffice365とRPA(ロボティクスプロセスオートメーション)だ。自社で働き方改革を実践してきた実績を踏まえ、展示会やセミナーで積極的に情報発信した結果、地場企業を中心に、19年度までに約50社に導入。新型コロナウィルス対策として、在宅勤務を導入する企業が増える中、問い合わせが多くなっている。
もう1つ積極的に取り組むのが、クラウド環境の構築やAI(人工知能)の活用だ。専門性の高い技術を補完するため、クラウドではベンチャーの㈱オルタブース社に資本参加し、顧客企業のクラウドシフトを支援する体制を採っている。AIではAIプラットフォーム「ReNom」を展開する㈱グリッド社との協業を進めるほか、地場の商業施設においてエネルギー利用の最適化をAIで実現するための実証実験を行っている。また、スマートフォンを利用したサブスクリプション型の情報配信/Cloud SNSサービス「Cloud Community」を発売し、自治体や大学での利用が進んでいる。

(写真左)前年に続き、昨年8月に子会社のサムライトと協力して六本松の蔦屋書店で開催した「家族でICTフェスタ」
(右)グループの成長に欠かせない要素として「人間力の向上」を掲げる同社。(写真は月1回の地域清掃)

グループ10社のシナジー発揮

昨年4月に資本業務提携し、グループの1社となった地場ICT企業の㈱パイオニア・ソフト社は、ベトナムにオフショアの子会社を保有する。ICTの現場では慢性的な技術者不足が課題であり、その対策としてオフショアの人材を活用する効果は大きい。現在は、自社パッケージ製品の保守開発で継続的に活用している。グループ各社は全てICTを中核事業としており、それぞれの得意分野は多岐にわたっている。各社の強みを活かした共同事業の企画やお互いの不足を補完し合う連携で、さらにグループ総合力を高める方針だ。

藤本 宏文 社長
ふじもと・ひろふみ/大分県竹田市(旧久住町)出身。1952年6月15日生まれの67歳。九州大学法学部卒。㈱西日本シティ銀行専務を経て、2011年6月㈱シティアスコム社長に就任。現在、一般社団法人福岡県情報サービス産業協会会長を務める

 

採用情報
募集職種/システムエンジニア(開発SE)
応募資格/4年制大学・大学院 全学部全学科、高等専門学校(21年3月卒業見込)
採用実績/2020年度21人
採用予定/16〜20人
インターンシップ/8月下旬開催予定
年間休日/120日(2020年度)
問合せ先/TEL. 092-852-5140
担  当/人事研修部 採用担当 大中

(ふくおか経済EX2020年)