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ふくおか経済EX 2020

(株)アイ・ビー・ビー/廣田商事(株)


事業発足から20年、段階別支援で起業家の成長をサポート

(写真上段・左から)4月22日にはBizCamp6期生が1年間の集大成を発表するプレゼンフォーラムを開催
オープンイノベーションコラボ企画でピッチコンテストを実施
(中段)毎年9月開催のパーティー。昨年は起業家や支援者など280人が出席
(下段・左から)昨年開催したibb社長塾50回記念フォーラム
ibbなでしこ塾では経営の基本についてレクチャー
「ibb離れ(はなれ)」こけら落としイベント
(右上)警固神社向かいのibb fukuokaビル

「数多くのアントレプレナーとIPO企業を輩出することでFUKUOKAを商機あふれるBusiness Incubation Cityへ!」のビジョンのもと、ステージ別の成長支援で起業家を支える㈱アイ・ビー・ビー。これまで培ったノウハウとネットワークを生かした新事業「+職(プラスワーク)」も開始し、さらなる進化を目指している。

事業開始から20年起業家成長の流れを確立

不動産業の廣田商事㈱のインキュベーション事業部門として2000年に発足。今年で事業開始から20年を迎える。これまでに200社以上が入居したインキュベーションオフィス「ibb fukuokaビル」内には定期的にアドバイスが受けられるワーキングスペース「ibb Tenjin Point」も設置し、ハード面で起業家をサポート。ステージ別に塾やセミナーを開講してソフト面からも支えるスタイルを確立し、多くのベンチャー企業の成長を後押ししてきた。
福岡の民間企業としてはいち早く起業家支援に取り組み、独自のサポート体制を構築してきた同社。まずは「ibbなでしこ塾」でこれから起業を目指す人や創業間もないアーリーステージの起業家が経営の基本を学ぶ。創業から数年が経過してステップアップを目指す人には講義と発表を組み合わせた10カ月間のスクール型プログラム「ibbBizCamp」でさらなる成長を促す。IPOを視野に経営強化に取り組む層向けには「ibb社長塾」を隔月で実施。上場企業経営者を交え、本音で語り合う場を設ける。起業家たちの成長ステージに沿ったプログラムを提供し、段階別に継続的に学んでIPOに挑戦するという流れが出来上がった。支援者や講師陣には経営分野の専門家、士業、先輩起業家らが名を連ね、起業の基本からIPO達成後のフォローまで手厚くサポートしていく。大手企業と連携してオープンイノベーション創出のための取り組みも広げ、意欲ある起業家の挑戦を支える。

(写真左)2000年7月のibb fukuokaキックオフ式
(右)ibb fukuokaビルでの定例会(2000年当時)

長期ビジョン折り返し地点へ新事業開始でさらなる進化を

2010年に策定した20年ビジョンも今年が折り返し地点となる。「2030年までの20年間で、福岡を拠点とするIPO企業を20社つくる」と掲げたこのビジョンのもとで5社、2000年から数えると計7社がIPOを達成。「BizCampにはこれまで約90社が参加し、その中から社長塾の受講にも意欲的な経営者が増えて着実にステップアップしていくようになった。この10年で足固めができたので、これから先の10年で進化、深掘りして目標達成を目指す」と廣田社長は力を込める。
これまでの事業で培ったネットワークを武器に、同社としても次のステージへ向かうために取り組みを広げる。オープンイノベーション創出などで築いてきた大手企業との関係性を生かし、副業可能な大手企業社員とベンチャーとをつなぐ新事業「+職(プラスワーク)」がスタート。ベンチャーにとっては人手不足解消、大手企業にとっては成長可能性のあるベンチャーとの接点が得られるなど双方のニーズを満たす構図を見据える。新事業開始に合わせて本社ビル内に交流拠点「ibb離れ(はなれ)」を開設し、副業マッチングや情報交換の場としての活用はもちろん、定期的に経営者向けの小規模セミナーや交流会を開催。「交流の場を利用して起業家同士でも会う回数を増やし、互いの意識を高めてもらいたい」と期待を寄せる。
廣田商事でも設立60周年となる2023年をゴールとした長期ビジョン達成に向けて歩を進める。グループ売上高10億円を目指して新規の不動産開発案件の進行へ意欲を燃やしながら、次の長期計画策定へ準備を進める。不動産業を通じた住みよい街の創造と起業家支援を通した輝く人材の発掘・育成で、より豊かな社会づくりへ貢献していく。

廣田 稔 社長
ひろた・みのる/福岡市出身。1963年10月15日生まれの56歳。福岡大学卒。趣味はテニス、バイオリン

 

(ふくおか経済EX2020年)