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正晃ホールディングス㈱
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グループ1000億円へ向けエリア戦略、営業展開が加速
持株会社制の導入により、主要エリアである九州をはじめ首都圏、関西、北海道で展開するグループ各社が、それぞれの地域に密着したエリア戦略を加速する。昨夏には中核の総合試薬ディーラー・正晃㈱の福岡物流センターが稼働、一層の物流効率化を図った。「グループ1000億円」という大きな目標へまた一歩近づいた。
最新設備導入の「福岡物流センター」が稼働
2016年に持株会社(HD)制が本格スタートした。創業70周年の歴史を持つ日本最大の総合試薬ディーラー・正晃㈱(福岡市)を中核に、ライフサイエンスの専門総合商社・㈱バイオテック・ラボ(東京都)、試薬卸の㈱フロンティア・サイエンス(北海道石狩市)、竹内化学㈱(和歌山市)、医療分野でIT関連事業を展開する正晃テック㈱(福岡市)、理化学機械の輸入や化学物質の実験を受託する㈱スクラム(東京都)の6社が連なる。HD制の導入によりグループ各社の責任が明確化され、全国展開を見据えたエリア密着の経営体制を構築。各拠点ネットワークのさらなる充実やM&Aによるエリア戦略の強化、キメ細かな営業展開が加速する。
さらに昨夏、本社近くの福岡流通センター内に最新鋭の物流施設「福岡物流センター」が本格稼働した。九州・山口をカバーする中枢倉庫として冷凍、冷蔵、定温の保管スペースを備え、大学や企業の研究機関、医療機関向けの一般試薬、臨床検査薬など約3500品目を管理。コンピュータによる自動搬出入システムや多発する自然災害に備えた免震設備、非常用予備電源を設置するなど、最新鋭の設備で品質管理や在庫の一元管理、物流の効率化が可能となった。印正哉社長は「グループの物流拠点機能に加え、将来的には取引メーカー側の九州ブロックでの倉替え(製品の移し替え)のニーズにも対応できる」と期待を寄せる。
一番の戦略は人材育成
5カ年計画の3年目である2020年度は、グループ1000億円という大きな目標に向けて様々な動きが具体化してくる。竹内化学㈱では年内に本社新築移転を計画。より効率的なロケーションの実現で関西エリアでの拠点機能が高まる。川崎市のライフイノベーションセンター(再生医療等の拠点)内のレンタルラボ(貸研究室)は、各種研究機関からのニーズが高く、新たなラボの展開も検討している。
またここ数年、注目されてきたのが研究施設の移設・引越サポートビジネスだ。大学病院や研究施設などには精密理化学機器や冷凍サンプルなど細心の注意が必要な物品が数多い。各種試薬や理化学機器を取り扱う正晃は、そのノウハウを活用し、いくつかの移設・引越に携わってきた。2019年度からは事業部を立ち上げてサービス充実を図るとともに、将来的には全国展開を念頭に専門会社として、グループの一翼となる事業へのステップアップを目指している。
このほかにも、首都圏エリアでの営業機能強化を目的とした新たな拠点展開、久留米営業所や大分営業所の建て替え、フロンティア・サイエンスの札幌市への本社移転、アジアでのネットワークの強化など、様々なプロジェクトを控えている。
学術研究や医療分野では、その動きが広範囲に及ぶため、多くの情報を収集しそれを提供できる企業が必要とされる。印社長は「全グループ社員一人ひとりが高度な情報を持ったパートナーであると認めてもらうとともに、高付加価値な営業のできる精鋭集団を形成することが不可欠。やはり一番の戦略は人材の育成」と力強く語る。
印 正哉 社長 福岡市出身、1954(昭和29)年2月23日生まれの66歳。福岡大学商学部卒。趣味は車、カメラ、旅行 |
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(ふくおか経済EX2020年)