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「夢と希望のまち」合言葉ににぎわいづくりへ  北九州商工会議所・利島会頭


NHK大河ドラマ効果など期待

北九州商工会議所の利島康司会頭は、コロナ禍の2020年は多くの計画が中止を余儀なくされた一方、「産学官一体で地元企業の経営支援に注力し、事業者からも経営相談が増え、商工会議所会員のニーズに応じた策を講じた結果、会員が増えた」と振り返った。また、毎年掲げるまちのにぎわいづくりのキーワードは「夢と希望のまち」を合言葉に掲げた。主な内容は次の通り。
―2020年を振り返って。
利島 新型コロナウイルスの影響で地元経済や北九州のにぎわい作りに大きな打撃を受けた1年だった。
―コロナ禍の景況感は。
利島 北九州商工会議所では会員事業所を対象に定期的に経営動向を調査していますが、昨年はコロナによる影響で売上高や経常利益などのDI(景気動向指数)が極めて厳しい数字となった。特にサービス、飲食、輸送などインフラ関連の業界は厳しい1年だった。
航空業界も大きな打撃を受けている。北九州空港や航空会社㈱スターフライヤー(北九州市小倉南区、白水政治社長)は北九州の交通基盤において極めて重要な存在。今後コロナと共存しながらも需要を回復させるために何ができるのか、関係団体との連携や、地元の商工会議所としてできることは全て実施する。
―これまでにぎわいを生み出してきた多くのイベントが中止に。
利島 商工会議所の仕事の大きな柱の一つは、まちのにぎわい創出。来年は今年中止になった多数のイベントがなんとしても開催できることを願っている。
―小規模事業者に対するさまざまな支援策に取り組まれた成果は。
利島 コロナ禍で今回ほど商工会議所の存在意義が問われたことはないと実感している。産学官が強固にスクラムを組み、中小企業などをきめ細かく支援することが何より重要だと考え、地道な取り組みを続けた結果、2020年は近年例を見ないほど数多くの事業所が新規入会した。私たちは21年も多くの地元の方々に「困ったときに頼りになる存在」、「北九州に商工会議所があって良かった」と言っていただけるよう、力強く前進する決意を新たにしている。
―長年積み上げてきたことの成果が現れた年でもあったのでは。
利島 国土交通省が昨年3月に発表した公示地価で、北九州市の住宅地が21年ぶりに上昇に転じたほか、商業地も4年連続で上昇するなどしたことが印象に残りました。これは、長年取り組んできたまちづくりによって北九州の魅力度が高まってきた証拠。
―毎年、その年のまちづくりにおけるキーワードを策定され、昨年はさらなるジャンプアップを目指し「ときめくまち」。今年のキーワードは。
利島 2021年は「アフターコロナへ向け新しい出発を 夢と希望のまち北九州で会いましょう」を合言葉にする。今年がコロナによる影響で本当に大変だっただけに、コロナの収束を願い、そのあとにやってくるであろう新たなステージに向かって、確かな足取りで出発を目指そうという気持ちを込めた。このまちで人と人が出会い、にぎわいが生まれ、女性や若者らが買い物や飲食、イベントを楽しみ、みんなの笑顔が広がる。そんなイメージを抱いている。
―来年気になっている話題は。
利島 2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」は、日本の商工会議所を設立した渋沢栄一氏が主人公。渋沢氏は「日本資本主義の父」と呼ばれた実業家で、24年度からの新1万円札の肖像にもなえるが、実は北九州とも深い関わりがある人物。渋沢氏は安川電機の創立発起人である安川敬一郎氏と親しく、明治時代、門司港の船だまりを整備した「門司築港会社」、洞海湾の浚渫(しゅんせつ)事業を進めた「若松築港会社」など、北九州の近代発展の礎を築いた企業の大株主として資金協力した。
これから北九州がアフターコロナに向かって、新しいステップを踏み出そうとする時、ゆかりの深い渋沢氏が大河ドラマの作品に描かれるのは、何かの巡り合わせのようにも思う。ドラマの中でぜひ「北九州編」も描いていただき、観光客の誘客などの相乗効果につなげられたら嬉しい。

2020年12月15日発行