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3月期連結売上高は4289億円で4期連続の過去最高  九電工


長期大型案件の利益率低下で8期ぶり減益

㈱九電工(福岡市南区那の川1丁目、西村松次社長)の20年3月期連結決算は、売上高は前期比5・1%増の4289億3900万円で4期連続の過去最高、経常利益は同3・2%減の386億4300万円で8期ぶりの減益となった。
当期の売上高は、期首の手持ち工事が順調に進捗したことで設備工事業が4・9%増の4075億600万円、その他の事業も、グループで機材販売の㈱Q‐mastの事業が伸びたことで8・2%増の214億3200万円となった。設備工事の部門別には、屋内線工事が6・3%増の2246億7500万円、空調管工事が5・2%増の1359億3100万円、配電線工事が1・7%減の469億円だった。地域別には、九州域内は太陽光発電が伸びて増加、九州以外も関東を中心に太陽光発電以外の工事が伸びて前年を上回った。利益面では、長期大型案件を中心に労務費高騰等による利益率の低下が顕在化し、営業利益は2%減の360億2200万円、当期純利益は1・7%減の262億4500万円となった。
受注高は、長崎県宇久島の大規模太陽光発電工事受注などで前期比24・9%増の5070億2500万円と大幅増、初めて5千億円を突破した。部門別には屋内線工事が59・9%増の3308億200万円、配電線工事が0・3%増の475億7400万円、空調管工事は15・1%減の1286億4800万円。得意先別には九州電力が2・8%減の473億600万円、一般得意先が28・7%増の4597億1800万円で、そのうち官公庁関係は例年より130億円ほど減少しているという。
今期業績については「前期並みをめど」としているが、工事の遅延や景気停滞による受注減など新型コロナウイルスの影響が不透明なため未定としている。

24年度に年商5千億円の新中計

同社は今年度から、2024年度を最終年度とする5カ年の新中期経営計画をスタートした。
数値目標としては25年3月期で連結売上高5千億円、経常利益500億円、経常利益率10%以上、ROIC(投下資本利益率)10%以上を目指す。また新中計では「持続的な成長を実現するための経営基盤の確立」を主なテーマに掲げ、成長の基盤づくりのため、現状の施工力に見合った電気・空調衛生工事の受注量を確保・維持しながら、景気後退局面にも対応できる体質づくりを進めるという。具体的には、コア事業を支える技術者の確保に加え、施工管理方法の見直しや技術者の適正配置による「施工戦力改革」、競争力の源泉となる品質・コスト力向上をはじめ、働き方改革も見据えた「生産性改革」、クリーンで透明性の高い企業風土をつくり上げるための「ガバナンス改革」の実現を目指す。

2020年5月26日発行