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念願の〝自社開発〟の賃貸マンション建設へ

（写真）熊本県菊池郡大津町の賃貸マンション完成予想図

不動産の買い取り再販や賃貸事業などを軸に急成長を遂げ、第2の成長ステージに入った。8期目の昨年8月には新会社2社を設立し、同11月から設立以来目標としていたHD体制に移行。今年3月には〝自社開発〟の賃貸マンション建設に着手したほか、新築ビルや中古物件取得などを同時並行で進めている。

熊本県大津町に“自社開発”10階建て賃貸マンション

念願の初の自社開発物件として今年3月熊本県菊池郡大津町に10階建て新築マンションを着工した。大津町は隣町の菊陽町に台湾の大手半導体メーカーTSMCの工場進出に伴い半導体関連企業の進出が相次いでいる。町自体もJR豊肥本腺の肥後大津駅周辺の一円整備に乗り出しており、今後の人口増加を見込めるエリアだ。
新物件の周辺にはイオン大津店やマリーンスポーツクラブ健康館など商業施設も整っており、将来的にはくまもと空港へのアクセスルートも整備される予定があるなど利便性の良い土地だ。同社ではさまざまな顧客のニーズに応えるため、1K（30㎡）28戸、1LDK（46㎡）10戸、2LDK（60㎡）16戸の計54戸の間取りで構成。樫村尚明会長は「外観へのガラスパネルをはじめ、顔認証機能付きのオートロックシステムの導入を検討している」と語るように、これまでのノウハウを結集した物件を企画し、ゆくゆくは自社での新築物件の開発を事業の柱の一つに据える方針だ。

春吉の新築テナントビルを取得

不動産の長期保有による安定経営を進める同社では、この約2年間で福岡都心部に新築ビルを計4棟取得した。樫村会長は「住居よりもテナントは一度入居すると退去しにくい。最初の入居づけは大変だが、戸数が少ない分管理もしやすい」とメリットを説明する。
1月に取得した春吉2丁目の6階建てテナントビル「OAK VILLA 春吉スクエア」は、春吉2丁目交差点の角地に位置し、視認性良好な建物。全面ガラスウォールで、6階はルーフテラス付きとなっており、現在はオフィスや飲食店が入居している。加えて今年6月完成予定の5階建てビル（春吉3丁目）も購入予定だ。「これまで取得してきた一等地の博多駅前、天神に加えて春吉に取得でき、計画通りに進んで良かった」と語る。
一方で以前から継続している中古1棟マンションの取得も順調で、直近では博多区美野島1丁目（4階建て）と南区野多目5丁目（3階建て）に購入し31棟目の取得となった。共同開発する戸建住宅も並行しており、福岡市南区、早良区、東区での計画が進行中だ。

（写真）熊本での地鎮祭後に撮影

2社立ち上げ万全な組織体制

昨年新会社2社を設立したのち、持ち株会社（HD）体制に移行し、第2の成長ステージに入った。㈱カシムラHDは親会社として不動産賃貸業と子会社の経営指導に専念し、傘下では「KASHIMURA不動産レジデンス㈱」が買い取り再販を主力とする不動産の販売・仲介を、「 KASHIMURA事業投資㈱」が不動産以外の他業種展開を担う。「経営しているおでん居酒屋『酉どうあん 春吉店』はコロナ前より客足が活発で好調。21年に開業した美容室もリクルートアワードにランクインし、注目店舗に選ばれた。中古車販売も軌道に乗っている」と不動産を軸に他業種へも着々と事業規模が拡大している。次はどの分野にチャレンジするのか期待が高まる。

樫村尚明 代表取締役会長兼社長 かしむら・なおあき／粕屋郡新宮町出身。1983年9月29日生まれの39歳、麻生工科専門学校卒。不動産賃貸仲介会社で成績トップを維持し、㈱えんに入社。賃貸営業グループに従事し25歳の時には責任者を務めた。趣味はゴルフ

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（ふくおか経済EX2023年）