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(株)筑水キャニコム
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海外展開を加速“うきは発”が世界基準に
「ものづくりは演歌だ!」。義理と人情のものづくりで、ユニークな名前の製品を数多く開発する㈱筑水キャニコム。現在海外46カ国で製品を展開しており、早期に取引先100カ国を目指す。海外展開のコンセプトは「Made by JAPAN」。県内でも有数の技術とブランドを持つ、うきは発の企業が世界展開を加速させている。
海外46カ国で製品を展開
同社では近年海外市場の開拓に力を注いできた結果、取引国は46カ国以上に拡大。売り上げの比率は全体の半分を占めるまで成長した。
「国内での販売も堅調に推移しているので、ここ数年は工場のフル稼働が続いており、納品が8カ月先になることも珍しくない。納期の遅れから生じる受注の取りこぼしを防ぎ、新規顧客を開拓するために新たな生産拠点の開設も検討している。これまで主力としてきた小型農業機械のほか、主に重量5トン前後の中・大型機も製造できる機能も視野に入れながら、キャニコムを次のステージに引き上げていく」と、包行社長は力強く語る。
新たな生産拠点を開設する場合、総工費は数十億円に上ると想定しており、同社が過去最大の設備投資を投じるほど、年々海外での同社製品の需要は高まっているという。
ボヤキ型開発スキームを海外に売り込む
海外展開を推し進める同社がテーマに掲げるのは、「Made by JAPAN」。現在、発展途上国の経済成長に伴い、世界的な食糧不足の深刻化が課題となっているが、そうした中で安定生産、高品質が高く評価されている日本型農業が世界中の農業関係者の注目を集めている。
同社では戦前の鍬などからはじまり、高度経済成長に伴って、機械化・近代化する国内市場に、約200点を超える商品を提供してきた。その中で培ったノウハウが、現在では同社の代名詞として広く知られるようになった、農家や農業事業者が発する日常の“ボヤキ”を商品に反映する開発スキームであり、同社が「Made by Japan」のもと世界に発信していくのも、“ボヤキ”をデザイン化する「仕組み」そのものだという。
「日本製を掲げれば売れる時代は終わった。しかし、ボヤキを通じてお客様の本音が漏れてくるのは万国共通。その想いを汲み取り、お客様が本当に欲しいと思える製品をお届けすることができれば、製品は売れる。日本型農業を売り込み、“ボヤキ”の開発スキームを売り込んでいく。そうすることで、CANYCOMを世界中の隅々まで浸透させたい」。包行社長の目は、真っ直ぐに世界に向けられている。
早期に売上100億円突破へ
現在、同社の売り上げは61億円。「就任して以降4期連続の増収。前期は21年ぶりに売上高60億円を突破した」と笑顔をみせる包行社長だが、すぐに真剣な表情に戻り、「2023年までに売上高100億円を本気で目指す」と語り、①100年企業②100カ国取引③売上高100億円の3つから成る短期目標「ビジョン300」について説明する。
そのすべての礎となるのが人材であり、同社では今年1月に人事・人材獲得機能を東京オフィス(グローバルヘッドワークオフィス)に移行。同所を拠点にインド、アフリカ、中東を中心とした人材採用を強化するために新設した「元気人財開発Line本部」の担当執行役員も東京に配置し、世界中から優秀な人材を獲得する方針を打ち出した。
「今年の目標は『プレゼンス』。存在感を上げるという意味だが、開発技術、営業、人材の面で、国内外での存在感を高めていきたい」。うきは発の産業用機械メーカーが、世界基準に照準を合わせる。
包行 良光 社長
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【DATA】
所在地/〒839-1396 うきは市吉井町福益90-1
TEL/0943-75-2195
FAX/0943-75-4396
創業/1948年1月
設立/1955年12月
資本金/1億円
事業内容/農業用・土木建設用・林業用運搬車・草刈作業車及び産業 用機械の製造販売
年商/61億6,000円(2018年12月期)
従業員/278人
出先/【国内】東京、福岡市、宮城、群馬、兵庫、 広島
【海外拠点】フィリピン、オーストリア、タイ
関連会社/CANYCOM USA、筑水農機(常州)有限公司、キャニコ ムコリア
URL/http://www.canycom.jp/
採用情報
募集職種/営業職、開発職
応募資格/理系大学院生、理系学部生、文系大学院生、文系学部生、短大生、高専生、専門学校生
採用実績/2019年度11人
採用予定/8人
年間休日/122日程度
問合せ先/TEL.0943-75-2195
担当/田中
(ふくおか経済EX2019年)